「大人と子どもの目線、簡単にどちらが正解か決められますか?」天気の子 にんじんさんの映画レビュー(感想・評価)
大人と子どもの目線、簡単にどちらが正解か決められますか?
中二病の極地とも言える主人公。無謀な家出なんてしちゃうし、突発的に銃を撃ってしまうし、指輪なんか買っちゃうし、本気で晴れ女の伝説なんか信じちゃって、陽菜が人柱になってしまったと思い込んでしまうし…。
大人目線からしたら、こんな感じ。どおーしても冷ややかな目で感じてしまう。私も痛いなーコイツって思いました。まだ島の少年っていう設定だから、この痛々しさ、共同体からの解放されたい願望が許されてるかもしれないけれど、それでもイタい。
それでも主人公からしたら、そしてファンタジーの世界からしたら、真剣そのものの事実ばかり。
主人公の真剣さと、刑事や圭介の冷ややかな指摘とのギャップが、見る側に余計に痛々しさを与えるけれど、それと同時に、単なる現実/空想、正解/不正解で物事を二律背反で分けてしまっても良いものか?!と疑問を投げかけられたような気もした。
本当に大人や社会の目線だけが正しいのか、私たちが当たり前と思ってる現実だけが正解なのか…
「帆高と陽菜の目線だってもしかしたら、現実かもしれないでしょ?」「人間って、大人って、本当にそこまで偉いもんですか?」「思ってるよりも世界は複雑で狂ってまっせ?」と投げかけられたような気もした。
現実からこぼれ落ちる陽菜を救おうとするのは、まさに途中で出てきた、ライ麦畑でつかまえて、ですね。キャッチャーインザスカイとでも言いますか。
全体的に、言わんとすることかが世界観から浮ついていなくて良かった。
それに比べて「君の名は。」はモチーフ重視で空振りだったかな。
アニメだから、モチーフや世界観が面白い方が興行収入に繋がるのかもしれないけど、個人的にはこっちの方が良かったです。