「綺麗だった。ややわからなかった」天気の子 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
綺麗だった。ややわからなかった
絵は相変わらず魅力的だ。気持ちよい綺麗さに、磨きがかかっている。ただ今回はベースが雨の日なので、前作ほどの晴れやかさは、なし。力が入っていたのは、逆に「水の描写」。特に、いくつかあった「空=海で、空にも魚が泳いでいる」という幻想的なシーンがウリだろうか。
(たしかにコンセプトの一部が「海獣の子供」とかぶっているんですね)
一方、話は、なんだか、とっちらかっちゃったなあという印象を受けた。
脚本は「天気、世界の形」という観念的なものを語る一方で、主人公二人の話はストレートな青春ストーリーとして語られるので、全体としての一体感は今ひとつだった。
世界の形を語りたいのではなく、「もしもあなたが、世界の命運を握っていたとしても、世界のために行動する必要はなく、あなたがしたいようにしていいんだよ」というメッセージを伝えたいのかも知れないなあ。
それが、須賀が最後に主人公に言う「お前らが、雨を降らせ続けてるなんて、そんなわけ、あるわけないだろ」なのかな。青少年の時期には、そのくらい気負っていることが多いが、考え過ぎるな というメッセージだったのだろうか?
-----------追記
ultoさんによると、「新開誠監督は、二人の愛と世界の破滅が関係するセカイを描くことが多い」か。なるほど、そのままですね。ありがとう、ultoさん。
ーーーーーーーーーー追記
時代にはあってる気がする。
社会より個人を。
ちょうど今の日本が変わろうとしている姿なのね。
だから、59歳の自分には、わかりにくかったんだ。
俺は、なんだかんだ言っても、ひと昔前の社会主義的日本人なんだなあ…
2022/11/6 追記
いま観ると、上のレビューがだいぶ恥ずかしいけれど、あえてこのまま残しておこう。自分の成長のために。
「世界系(たとえ世界の運命を握っていたとしても、自分は自分が一番大切と感じることを行う話)」という言葉も知らなかった自分を忘れないように。
それでもなぜ、映画館で初見の時には、「全体としての一体感は今ひとつだ」と感じたのだろう。見事なストーリーなのにな。という反省から、当時のレビュー3.0から4.0に上げました。
まあ、気にすんなよ、青年。世界なんて、最初から狂ってるんだから。