「英国映画史上、類を見ない野心作だが、蓋を開けてみると最高に爽やかな仕上がり」イエスタデイ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
英国映画史上、類を見ない野心作だが、蓋を開けてみると最高に爽やかな仕上がり
リチャード・カーティスといえば、「ラブ・アクチュアリー」でビートルズが効果的に響いたり、「アバウト・タイム」にはアビーロード絡みの削除シーンがあったのが懐かしい。そこに投入されるのがダニー・ボイルという極北にある要素。これは二人だからこそ挑むのを許された、映画史上類を見ない野心作だ。
序盤はボイルの縦横無尽の映像力がキマる。大停電になるところや、主人公が戸惑いつつ状況を理解していくくだりなど、説明的な流れを軽快なテンポで描き切る点が素晴らしい。スケールの大きな展開を上手くまとめあげるのも彼のお家芸。一方、終盤に顔を出すのはカーティスの持ち味だ。オリジナルとは何か。先人たちに敬意を払いつつ、いかに新たな試みに挑んでいけるのか。表現者ならではの葛藤が程よい熱量で発露する。
二人の持ち味が微塵も損なわれていないのが最高に嬉しい。野心的な試みは見事に実り、爽やかな印象を持つ快作に仕上がった。
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