劇場公開日 2019年6月28日

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「意欲は買いたい作品」新聞記者 わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5意欲は買いたい作品

2020年8月2日
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日本アカデミー賞を賛否両論ありながら取った作品。主演女優も『反政府のイメージがつくから』という理由で二転三転したとか(監督はインタビューで否定しています)いろいろな評判を聞いていましたが、Netflixにて配信が始まったことで視聴しました。

藤井監督は「デイアンドナイト」が物凄く好きで。清原果耶ちゃんきっかけに見ましたが、善悪の概念を揺さぶってくる脚本と、光の使い方や風車を使った丁寧な演出が印象的な作品でした。次回作も非常に期待しております。

さて、今作は「あれ?どこかで似たようなことあったような…」と思わせるような設定の連続。フィクションでありながら、ノンフィクションでもあるような作品でした。この意欲は非常に買いたいです。

また、演者が素晴らしかったです。特にW主演の2人の佇まいが素晴らしい。両者が上司に別場所で同時に詰められるシーンの迫力がスゴくて息を飲みました。

とはいえ、面白かったかと言われれば難しいところ。逆に残念だなと思うところが多くありました。ちなみに『現政権万歳!』という思想の持ち主ではありません。

今作品の一番の問題点は、内閣情報調査室の描き方です。今時そんな職場ある?って思うくらい真っ暗に近い暗さで仕事をしてるんです。『存在=悪』だと描きたいんだろうけど露骨です。調べてみるとプチ鹿島さんが「逆に明るく描いた方が怖く見える スタバに行きながらああいった仕事をしてる方が恐ろしい」というニュアンスのことをおっしゃっているようですが、まさにそうだと思います。

あと、大学の設立動機がこれで良いのっていう。観客にはリアルに怒っている問題より分かりやすくなるから良いんだろうと思ったんでしょうけど…

ラストシーンも違和感がありました。主人公がその決断をしたんだったらそういう提案をされることなんて想像できるでしょうに、何を今さら狼狽えてるんだと。その提案をのんだかどうかは分からない、見る側に委ねる点は好きなタイプの終わり方だけど、だったら女性のあの表情で終わらせずに、たとえばすれ違って終わるとか、表情を捉えているカメラが徐々にボヤけていくとかいう終わり方をした方が深みが出るんじゃないかなあと思ったりしました。

恐らくノンフィクションで起こっていることの方が恐ろしいんでしょうから、政治について考えるきっかけになる一本ではあると思いますが、「新聞記者」とタイトルをつけるんだったらもう少しその足で真実を知りに行く描写も欲しかったです。そういう意味で、連続ドラマ『知らなくていいコト』の方をおすすめします。そして藤井監督には、次回作に大いに期待しようと思います。

わたろー