「僕たちの真実の危機」新聞記者 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
僕たちの真実の危機
「他の誰より、自分自身を信じ、そして疑え」
国際的NGO「国境なき記者団」の発表では、日本の報道の自由度は、ランキングを下げ、世界で72番目、G7ではイタリアに抜かれ、最下位に沈んだ。
ナショナリズムの台頭による、政権の報道機関に対する圧力や、政権与党に対するニュース番組スポンサーの忖度、報道機関自体のスポンサーへの忖度なども疑われる。
また、記者クラブの内輪体質や閉鎖性も指摘されていた。
この作品は基本的にフィクションだが、大学設置などは特定の出来事を想起させる。重要書類の改ざん、主たる担当者の栄転・失脚、担当公務員に自殺者が出てしまったこともそうだ。
そして、感じたのは、僕たちの真実の危機は、所々で鎌首をもたげる嘘や隠蔽、そして忖度というより、これをまとめて常態として温存しようとする政府の組織的対応にあるのではないかということだ。
家族やキャリアを人質に行われる脅迫や、尾行、嫌がらせは、まるで映画で観た反社会的勢力や海外のマフィアのようだし、いつもトカゲの尻尾のように切られるのは弱い立場の人間だ。
国民主権の「知る権利」をあざ笑うかのようだ。
「他の誰よりも、自分自身を信じ、そして疑え」
僕たちは、ただ、日々流れるニュースに接し、それを受け入れ、特定の政党や政党派閥に結果的に都合よく考えるようになってしまっていないだろうか。
全てを疑うのは難しい。しかし、真摯に危機感を発信している人は少なくない。
だから、少し情報の間口を広げ、少し客観的に、そして、感情に支配されずにニュースに接してみることは出来ないだろうか。
通常、新しい映画が上映されるタイミングで、テレビが取り上げることが多い。
しかし、この映画にそれは見当たらない。
参院選のポスター用ボードがちょうど設置されるタイミングでの上映開始で、メディアが、この映画を取り上げることの是非を忖度したのかは分からないが、実は、思ったより上映館の数は多い。一部のシネコンは回避したが、特段、不便なところまで足を運ぶ必要はない。
今や、映画の方が、物語という形を借りて、真実に肉薄しようとしてるのではないか、そんな風にも思わされるし、原作者や映画の製作者、出演した俳優さん、上映した映画館は勇気があると思う。
アメリカでは、華氏119や、記者たち、バイスのような映画もある。
世界的に真実は危機に晒されているのだろう。
ツィートを見ていると、このタイミングでの上映は、意図したものであるようだ。
日本アカデミー賞もやりますね~まさかの作品賞!
逆に日アカ離れもあるのかもしれませんねw
作品賞取ったのなら地上波放送もあるのかもしれませんが、その時にまた何かが湧いて出てきそうです・・・
ワンコ様
明けましておめでとうございます!
「i新聞記者ドキュメント」のレビューを拝読しました。超濃厚な内容ですね!政治経済に疎い自分でも、叩いて出す所か分厚く積もった政権の埃が見えます…。永田町もそろそろ大掃除の季節…。
ちなみに以前のコメントのやり取りは、いつの間にか消されてしまっていたんですね…。
今年もワンコ様のレビュー楽しみにしております!