運び屋のレビュー・感想・評価
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こんな犯罪礼賛映画を、なぜ作る?
90歳のじいさんが違法薬物の凄腕の運び屋だった、という一枚の記事を元に、自由に想像を膨らませて、クイント・イーストウッド88歳が造り上げたお話です。
舞台の一つであるメキシコ国境の町、エル・パソは、たしかに危ない雰囲気の漂う町で、郊外の砂漠の絶望的な雰囲気も含め、その空気感が伝わってきます。
北上するにつれ、緑が濃くなり、白人が暮らしやすい豊かな地域に違法薬物が運ばれて行く道すがら。
これも一つの隠しテーマなのかも知れません。
しかし、国境線を超えるわけでもなく、単にアメリカ国内で違法薬物を右から左に動かすだけで、一回あたり何百万円(最初は110万円、最後は札束一固まりで数千万円)という報酬を貰えるんですよ、って宣伝しちゃってるもんだから、人生に希望を持てない人たちがワンサと殺到するんじゃないかと、観ていて思いました。
それだけの報酬を掴んでおきながら、最後は刑務所で大好きな花の手入れをしながら余生を過ごせるわけで、これは捕まった者勝ちですね。
なぜ、こんな犯罪礼賛映画を作ったのだろうかと、観ながら考えていました。
90歳近くになって、やることが(もしくは「やれることが」)なくなってしまったクイント・イーストウッドが、このニュースに触れて、久しぶりにナニかを賦活されたから、だったのではないかと思うのです。
生きている限り、できることはある。
それを88歳老人が証明するための映画なのでしょうね。
迷っている人は見て損はない。
レジェンド
90歳近いクリント・イーストウッドが出演してるだけで凄い。老人がコカインの運び屋と言うストーリーは面白い。力の抜けた自然の演技が良い。ブラッドリー・クーパーの演技もいいが、いくら逮捕前に偶然会って会話したからって、罪を犯した者に対して、優しすぎると感じた。
音楽がスパイス
WOWOWにて前情報なく鑑賞。
非常に良い作品だった。
クリント・イーストウッド演じる運び屋アールは飄々としていてどこか憎めない。反面、黒人やメキシコ人、バイク乗りなどへの発言など、悪意なく出てしまっている。
自分の中の常識を時代の変遷に合わせられておらず、スマホを扱えないのと同様、取り残されてしまっている。
物語では、組織のボスが変わることで、システマチックな組織になり、個の自由から効率を求めた組織利益の追求にシフトチェンジしているが、その分ルートが読みやすくなり捜査網に引っかかってしまうという皮肉。
一方で時代が変わっても普遍的なものは家族。
後半部分は家族との絆を再構築していく。
また、高収入を得ることで何歳でも人は自信を持てるという希望はあったが、本当に大切なものは金では買えなかった、という文字にするとありきたりだが映像で観ると学ぶことが多い。最終的には、変わろうと努力していて、人は何歳でも変われるんだなぁと思う。
最後のシーンが俯瞰で終わることの意味を考えているが、まだ分からず…。
以下、うろ覚えの印象的なセリフ。
「一緒にいるのにお金なんて必要ない」
「あなたは人生最悪の悩みの種、そして人生最愛の人」
「おじいちゃんは遅咲きなだけ」
「家族が一番大事、仕事は二の次なんだ」
憂いのある老人クリントに感激
素晴らしい人生
何でもない演技に引き込まれる
見応えあり
イーストウッドの映画は安心して観れる。
家族
90歳の『運び屋』を描いた作品。
家族より仕事を優先してきた主人公のアール。
だがその仕事も手離さなければならない事に。
孫の結婚相手の友人から『運び屋』の仕事を紹介され…
最初は一回だけということだったが、
羽振りが良すぎるのですぐ次の仕事の依頼を受ける。
友人や麻薬組織からの待遇は良くなるが家族だけは振り向いてくれない…
デカイ仕事の途中で孫からの連絡で
倒れた奥さんの元に向かいようやく家族とも和解。
当然最後は捕まるが
結果としてはアールは大切なものを取り戻した。
CMを見て気になり鑑賞したけど、
もっとハラハラする展開かと思いきや、
運び屋で稼いだ金で楽しむ展開にビックリ。笑
どんどんリッチになってくし女と遊ぶし
これはいつ報いを受けてもおかしくないと思った。
だけど元軍人なので肝がかなり座っていて
ちょっとした脅しにはビクともしない。笑
悪口や言い返しにユーモアがあり、
ちょっとしたピンチを凌ぐことで
不信感を持っていた組織の連中からも
少しずつ好意を持たれる感じの人柄の良さが見ていて面白かった。
歌ってるシーンも和む。
クリント・イーストウッドは
基本的に無表情だったけど、
その演技も年齢設定も役にピッタリだった。
朝食で警察との会話のシーンがあったことで
捕まったシーンも心に残るものがあった。
教訓『金で時間は買えない!』『家族を大切に!』
口が悪いとこを楽しそうに演じてたのはよかった
高齢にして多作なクリント。
この映画のテーマは老いと時間。なんてったって自分のあの顔が使えるんだもんな。有無を言わせぬ説得力を醸し出すあの顔。
脚本はツッコミたくなる点もあって、イーストウッド映画は意外とそういう面が多く、そこを自身の存在感で押し切っちゃうという展開が多い気がする。
家族愛とか云々よりも前に「う~ん あんたが悪い。自業自得」っていう内容でした。(自分で言っちゃてるし)
しっかしイーストウッドは、マッチョイズムなのか反マッチョなのか、人生を謳歌してるのか厭世的なのか、アメリカを愛してるのかそうでないのか、さっぱりわからない感じが空恐ろしい。どっちともとれる謎の作家性ではないですかね。
イーストウッド久々のはまり役
クリント・イーストウッドって人は映画監督としては超一流で、なんでこうも傑作ばかり作れるんだろうと不思議に思える位物凄いお方です。しかしその反面、俳優としては大根もいい所で困ったもんでした。理由は表情に乏しく、喜怒哀楽が顔に出ないからです。だからニヒルで無表情な役はそのままでもとてもハマって見えます。昔のマカロニ・ウエスタンやダーティ・ハリーなんかはその好例です。しかし表情を必要とするシリアスな作品では、それはそれは酷いことになります。
ということで本作はイーストウッド主演と聞いて、即見る気が伏せました。だから劇場では見ず、WOWOWで放映されたので暇つぶしに見た程度でした。
しかしこれは大誤算でした。この主人公役はもう彼以外はあり得ない程のはまり役なのです。あの無表情さが年齢を重ねて怖い物無しの老人役にピッタリなのです。実際役通り90歳近くになったイーストウッドは痩せて背中も曲がり始めて、外観もこの役のままになっています。まさに演技をする必要もなく、彼自身をそのまま演じれば良いのです。
ストーリーもこの手のクライム物とは全く違う人間ドラマになっていて、若いチンピラギャングが慌てふためくようなハラハラする場面も、主人公の年齢からくる落着きで全て交わしてしまうのです。それはもう滑稽な程です。
周りから邪魔者扱いされ、家族にも見捨てられた主人公がギャングの麻薬の運び屋という仕事を得、徐々に信頼を勝ち得て、遂にはギャングの大ボスにまで気に入られてしまうという下りは全くお笑い物です。
特に本作の優れているところは、随所に主人公の人生哲学が散りばめられているところでしょう。またそれを演じるのが同年代のイーストウッドだからこそ言葉に重みがあります。その90歳の主人公でも自分の元妻の死に立ち会って初めて、この世の中で何が一番大切なのかを学ぶことになります。それはとても感動的なシーンになっています。
本作はテーマの重さも含めて、クリント・イーストウッドの演出・演技の集大成といっても過言ではありません。まさに名作の域に入っている傑作だと思います。
実話のイーストウッド
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