運び屋のレビュー・感想・評価
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あなたは一番大事なものに時間をかけている?
麻薬の運び屋をしていた90歳のおじいさんのお話。
単に実話を元にしたというよりは、もっと普遍的な「自分が本当に大切にしたいもの」がテーマ。主人公としてはそれが家族ではあるのだが、家族だけではなく、本当に大切な何かを大事にすることの大切さを解く。
主人公アールは家族との大事な時間を仕事に費やしてきた人生によって、家族からは半ば絶縁状態だった。
自分に本当に大切なものは家族との時間である、そこに至るまでの心の変遷を描くのが本作。
時間が大切だった、お金でなんでも買えたが時間だけは買えなかった、というセリフは印象的。奥さんからも、主人公が仕事で育てる花と同じように、家族も時間をかけて大事に育てなければならない、と言われている。
また、若者に対しても、本当に大事なものに目を向けなければならないという思いを吐露している。
この映画は麻薬の運び屋という犯罪者に対して、仕方がないとか、すごい理由があってみたいな、そういう描き方はしていない。100%犯罪だ。だが、奥さんが倒れて余命幾ばくもない中、麻薬を運ぶ途中であのような状況であなたは奥さんの元に戻ることができるだろうか。時間に間に合わなければ死が待っている。それでも戻れるだろうか。何があなたにとって重要で、何がそうではないか。僕たちは、この映画を通して、それを問われている。そう思える。
犯罪劇なのに奥深きヒューマンドラマ
アマプラで視聴。
家族よりも仕事や自分のプライドを優先してきたアール。後半からは焙煎された90才の彼から溢れ出る人間味に涙する。監督主演のクリント・イーストウッドがチャーミングでリアリティー溢れる主人公を熱演し、観るものを惹き付ける。
劇中台詞に「愛される理由にお金持ちになる必要なかった」
今の世の中で忘れがちである家族が何より一番大切だと綴るこの物語は本当に傑作です。
きっかけが無いと・・・
老いのリアルを丁寧に。戦争に行ったプライド、金も名誉も欲しいし、なめられたくない。仕事にかける現役刑事たちのギラギラしたハリつやが、老いてもなおの姿を際立たせます。記事に着想を得て?のこの奥行きの持たせ方、さすがの仕上がりです。
最高のロードムービー
この作品を最高と言わずして何という…の様な素晴らしい作品です。特にロードムービーが好きな方なら作品の良さが分かると思います。比較的ゆっくりとした展開はアメリカの田舎の穀倉地帯での出来事をよく現していると思います。主演のクリンとイーストウッドは年齢がほぼ90歳だとか。それなのにこの演技力は素晴らしい!グイグイと作中に引き込まれて行きます。内容は恐らく米国で実際にあったであろう麻薬取引に関する物語だが、切口によってここまで素晴らしい作品になるのかと、改めて関心した至高の作品です。^ ^
笠智衆のような佇まいをみせるイーストウッド。 時代から取り残された...
笠智衆のような佇まいをみせるイーストウッド。
時代から取り残された彼の役柄に「古き良き時代のアメリカ」を見る。一方から見た歴史の側面。
面白がりたいが。
幼稚な被承認欲と性欲から安易に悪銭に溺れた爺さんを盆栽好きな爺さんは良い人だよねと何となく許してどうする。
敬老の前に断罪だろ。
どうした巨匠、晩年の貴重な打席で凡打。
ストイックに健さん倍賞ならまだ見れた話しかも。
面白がりたいが、これは無理だ。
これぞ哲学
人に歴史あり。誰しもそれぞれが生きた時代に翻弄されながら、その中で様々な葛藤と成功と挫折を繰り返し味わうものだ。日常の何気ない習慣はその人物を形作ってきた過去のエッセンスを物語る。カーオーディオから流れる音楽、女性にもギャングにも自然体で放つ軽妙な軽口。そんなところからも、この老人の若かりし頃を察する事が出来る。
昨今の技術革新速度は目覚ましい。電子ガジェットは10年も待たず陳腐化するし、差別用語認定された言葉も差別の意図なく用いられていた時代もあった。
自分の生涯、半分以上を占めてきた常識を否定してまで、たかだか10年20年ぽっちの最近台頭してきた「新常識」に迎合する必要はあるのか?
ガンコ爺ィにはガンコ爺ィなりの気概があるのである。
昔はもっと縦の関係であらゆる世代と親しく話す機会があった。
かつて歳の離れた友人や先輩であった彼らは、今や60代、70代のガンコ爺ィになった。けれど、若い頃に彼らから伝え聞いたバックボーンの時代背景を知っているから、彼らの言動を奇異だとは思わない。今の若者の目にどう映るかは知らないが、老境の悟りに到達すれば、周囲のまなざしに臆する必要もないだろう。
しかして、齢80、90に達しても葛藤の選択を迫られ続けるのが人生というものらしい。主人公は壊れた(壊した)家族関係の修復を選んだ。犯罪に手を染める事になっても。
クライムサスペンスだが、非常に「静か」である。興奮もアクションも不要なのだ。もはや、そんなものは主人公の心を波立たせはしない。彼の心を揺らすのは家族達の想い、ただそれだけなのだから
アプローチはまるで違うが東京物語がよぎった。これは「イーストウッド流東京物語」である。
切なく哀しく、そしてハートフルでもある。喜びも悲しみも、すべてが穏やかだ。
それにしても、子供時代のヒーローは幾つになろうとヨイヨイになろうとカッコいいもんはカッコいいのである。
視聴後、数十年ぶりに44マグナムの刑事に会いに行った。どうやら映画というものはタイムトラベル機でもあるらしい。
シンプルなメッセージ
老人が運び屋をやる、シンプルなストーリー。予告編を見て、何も裏切られないそのシンプルさ
それでいてちゃんと一つだけのシンプルなメッセージを映画を通して送ってくれる。
最近こういう映画少ない気がする。
クリント・イーストウッドだからこそ、なのかはわからないけど、ベテランだからこそなことではあるかと思う
シンプルなメッセージを一つだけ、それが一番伝わる。覚えておこうと思う。
とても良い
見上げた老人
往年の精悍さやアクションはないが、タフでちょいと粋なイーストウッドにただただ感心する。この歳で主演・監督なんてすごすぎる。自分が同じ年齢になったとき、どこまで動けるか?
結局老いてくると多少弱気になってきて、それまで疎遠であったにせよ家族に回帰していくものなのか? 別れた奥さんの看病が決定的だったかな。 すごく遠回りしたが、冷たい関係が変わっていくのだろう。 仲直りした家族とどれだけ時間を取り返せるか、塀の中と残された寿命という二つのハードルがあるが、ほんのり温かい気持ちになった。
イーストウッドの存在感あっての説得力
アールは家庭を顧みず仕事に打ち込んできた、まさに仕事が趣味の男。
花がそんなにお金になるとは私は知らなかったが、その業界では品評会で高評価を受け一目置かれた存在。
栄光の時代も終わり、気がつけば孤独に。その埋め合わせをするかのように、その仕事が危ういと感づきながらも運び屋となる。
面白いのは、アールの堂々とした立ち居振る舞いや言動に、マフィアたちも巻き込まれていくところ。友情めいたものまで育んでしまうのだから、イーストウッド爺さんの存在感恐るべし。若い女性になぜかモテる、というのも説得力。対比して奥さんの苦労は仕事だけじゃなかったんだな、というのも垣間見える。
また、お金の使い道について考えさせられる点も。
運び屋という仕事は汚いものだが、報酬の使い方は孫の学費や退役軍人のサロンの修繕など、周囲を喜ばすことばかりだ。チンピラがろくでもないことに使うより、よほど善用しているといえる。
違法になるのは、それが法律違反だと定められているからであり、定めたのは第三者の意図であり、こちらの承諾無しに存在してきたものでもある。
アールの代わりに結局誰かが雇われるだろうし、彼が運び屋のままの方が社会的には益だと考えると、そこに複雑なものが去来する。
しかし、積み荷の正体を見てしまった以上、アールは無用な言い訳をせず罪を潔く認める。どちらかというと粗野な人間で紳士然としていないからこそ、不器用な人生を送った男の悲哀がより立ち上る。
「ミリオンダラー~」や「グラン・トリノ」のように劇的すぎないのがよい。きっと獄中でも「アール節」で周囲を巻き込んでいくんだろう。
少ない会話で彼の背景を汲み取るベイツ刑事の存在も、出しゃばりすぎず良い。
しかしブラッドリー・クーパーってこんなにさっぱりした顔してたっけ。
運び屋
最後自分の命が失われるのを覚悟して、奥さんを看取りに行ったのが感動。それによってまた家族を失うことを防いだ。
その結果が法廷でのシーン。娘と孫が励ましてくれたシーンは本当に良かった。ある意味ハッピーエンドであるが、罪を犯せば捕まるという現実も表現。
人種とか差別にも視点。
彼の人柄の良さがギャングにも伝わり、仲良くなってたのも良かった。
ラストシーンでデイリリーを植えるアールの後ろ姿 それは2020年のアメリカの後ろ姿なのです
愛してるメアリー
昨日より今日の方が?
明日はもっとだよ
第1回目
カーラジオから宗教の時間
イエスは迷える人を救うために来た
局を変える
お気に入りのオールディーズが流れ出す
思わず一緒に口ずさむ
君を愛してる
昨日よりも今日
今日より明日はもっと
Spiral Staircaseの「モア・トゥデイ・ザン・イエスタデイ」という曲
白人男性5人組、1969年ビルボードの12位まで上がったヒット曲
ちょうど50年前
アールは40歳だった
ベトナム戦争たけなわ
しかしアメリカは絶頂期だった
外で認められるほうが、ずっと大事だと思った
家での俺は役立たずだから
アール、メアリー
縮めて読むと何となくアメリカと聞こえ無くもない
つまり、アールとメアリーはアメリカの戦後そのものだった
世界の為にとがむしゃらに働いて、戦った
でもそのために国は疲弊してしまった
今のアメリカは老人になったアールとメアリーのようだ
偉大なアメリカ
そんなことメアリーも娘も孫娘も求めてなんかいなかった
家族の為に尽くしてくれる父、平和で安穏な暮らしであれば良かった
もう昔のように羽振りの良い事はできない
だけども見栄は張りたい
周囲の者が困っているなら援助してやりたい
そのためになら多少怪しげな仕事でも金になるならと手を出してしまう
これはヤバいと思ってもまあいいかと目をつむる
気付けばドップリ浸かってもう抜け出せない
単なる老人の物語なんかじゃない
これはアメリカの半世紀の物語だ
アールとはアメリカそのものの暗喩だ
デイリリーの花言葉
「憂鬱が去る」や「苦しみからの解放」「憂いを忘れる」などです
アメリカは今や老いました
憂鬱であり、苦しんでいます
正に2020年のアメリカ大統領選挙はそれです
そしてコロナ禍に蝕まれています
勝ったのはバイデンと言う老人
どこかクリントイーストウッドに似ています
彼は偉大なアメリカを取り戻すとは言いません
しかし、外で認められる事が大事だと言っています
トランプの方がメアリーの望むことを言っているように思います
バイデンはアールのようなアメリカに戻すと言っています
現実の今のアメリカは、麻薬や暴力に満ちてしまってます
外国人達が、ますますいいようにアメリカを利用し蝕む一方なのです
メキシコの屋敷でのシーンは、クスリ、女、暴力で大抵の人間は言いなりにされてしまうことを説明しています
若者達は彼らに取り込まれて転落するか、彼らを取り締まることに忙殺されてしまっているばかり
しかもネットに依存して自分の頭で考る力を失っています
言葉尻だけ政治的に正しいのかだけを問い、本質に目を向けることを忘れてしまっている
パンク修理のシーンはそういう意味だと理解しました
アメリカの理想だった未来に目を向けている若者なんかもうどこにも居はしないのです
もしかしたら、アメリカの理想なんて、メアリーの様に埋葬されてしまったのかも知れません
それでも思わず一緒に口ずさむ
アメリカを愛してる
昨日よりも今日
今日より明日はもっと
ラストシーンでデイリリーを植えるアールの後ろ姿
それは2020年のアメリカの後ろ姿なのです
アールの着ていた衣装は特典映像で、過去の出演作で彼が役の中で着ていたものばかりだと知りました
クリントイーストウッドが出演した様々な映画
それを振り返ってみるとアメリカの半世紀も思い返されてしまう
そのような効果を狙ったのだと思います
若い時に着ていたであろうスーツはお洒落で生地も仕立ても良いものです
2007年のリーマンショックとネット販売に押されて農園が差し押さえになってからは、安物の量販店のカジュアル衣料ばかり
大阪、東心斎橋にある、とある馴染みの音楽バー
少し前ひさびさに行ってみると、Spiral StaircaseのアナログLPレコードをJBLのスピーカーで鳴らしていました
この曲「運び屋」で掛かっていたんです
いい歌でしょ
それをこのバーのマスターから教えてもらいました
お嬢さん方、会場を間違えてますよ
美人コンテストの会場は3階ですよ
そんな軽口を言える老人に成りたいものです
アールとメアリーの物語
それは日本にも多少翻案すれば、そのまま当てはまるのかも知れません
日本版リメイクを作るべきだと思いました
90歳の運び屋
クリントイーストウッド扮する退役軍人アールストーンは、サニーサイド花農場として賞を受けた。しかし、娘の結婚式には出席しなかった。12年後、花農場はインターネットに潰されトラックの運送を始めた。孫娘の結婚パーティーでアールは仕事ばかりで家族をないがしろにした事を妻から攻められた。アールは、輸送の仕事で前と同じホテルまでと指示され新たな電話機をもらった。しかし、それは麻薬の仕事だった。果たしてアールの運命は? 退役軍人で恐いもの無いからと言ってヤバい仕事だと分かって続けるかな。度胸も大したもんだけど人生の楽しみ方としてはどうかねぇ。
全484件中、61~80件目を表示