飛べない鳥と優しいキツネのレビュー・感想・評価
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大人っぽい意匠
原作はWeb漫画とのことで、おそらくターゲットも若い世代だと思われる。共感がじわじわと拡がって映画につながったのだろう──と思った。
素朴な子を起用していて、効果的なファンタジーが挿入される。
善悪を単純化しない。
幸不幸の都合調整がなく、安易な救いに走らない。
シビアだが、さわやかな後味がある。
さながらEigth Gradeのようだった。
俳優は一般庶民を演じてもショービスな背景が見えるものだが、この主人公には、無垢を感じた。たんなる主観、あるいは新鮮だから──なのかもしれないが、素の感じが、ほかにいないほど顕著に出ている。
転じてこんな子を、探して、見分ける慧眼やマネジメントに底力を感じた。なんていうか、一事が万事である。近年の韓国映画の好調と、新人の発掘、俳優の多様性はつながっていない──はずがない。
また追尾の撮影がうまい。
少女が歩いている。
ただそれだけを爽快に撮っている。随時そのフォロー/トラッキングショットがあらわれ、過酷な現実や悲哀が、相殺される。
ファンタジーの挿入と洗練された撮影によって、悲劇を悲劇的にしない軽妙があった。
主人公は少女だが、映画にはそこはかとない大人度がある。
すなわち作品の共感は同世代に拡がったものだが、映画の意匠はEigth Gradeのような広汎な見応えを持っている。
日本にもよくある、ありがちな映画のそとづらと内容を持っていながら、ペーソスはありがちな映画にはない。
いじめを主題にして、この滋味へ持っていくことが、きょうびの日本映画にできるとは思えない。
成長なのか?
考え方次第では見方が変わる。
思春期ってその最たるものかもしれない。
はじめの主人公のあり方にイラっとしつつ。
家も学校もかなり鍼のむしろ状態。
その中のわずかな光が裏切りにより消え、死にたいってなってからの話。
死ぬ気になれば出来ないことは無い。
それからの主人公はちょっと弱いところも勿論あるけど前より全然好感持てる。
なんで思春期ってあんなにいじめが流行るのか。
それはずっと疑問だけど。
最後のハルに合う下りは、希望があっていい終わり方。
関係性の変化が凄い
クラス一の人気者が助けてくれた でもその友達はイジメる あ、裏切られた 私悪くないのに 先生、保身に走った 私のせいになった イジメてた友達は味方だ 新しい友達もできた 勇気出したら私悪くないって解ってもらえた 新しい友だちの悩みも解決だ 人気者がイジメられてる 一度は私を助けてくれた人だ 助けたやったみんな仲良しだ
って話で、主人公と登場人物の関係がクルクル変わるんだけど、その変わり方がすごく自然で納得感あんの。この脚本がうまい。
新しい友だちは着ぐるみかぶってフリーハグやってんだけど、着ぐるみがいいんだよね。無表情なのがすごく優しく見える。
主人公がはまるゲームのシーンはファンタジー要素があって、それがちょっと大事なシーンで使われたりして、面白かったな。
小さな話だけど、丁寧に描いてあって、面白いよ。
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