影裏のレビュー・感想・評価
全113件中、41~60件目を表示
感じる人に、感じる映画。
暗く、じめっとした背景、切なくもあり、また不気味でもある、不思議な感覚に包まれました。
最後のシーンで、今野は互助会の契約変更の通知を見て、日浅が存命であると気づき、泣き震えながら笑みを浮かべたのが印象的でした。
私は、昔好きだった人と連絡が取れなくなり、嫌われた、距離を置かれた、と思い、絶望と苦しみで寝込んでしまったことがあります。時が過ぎ、ある日突然SNS上で私のページを訪れてくれていたのを見つけました。私は二人で食事をしていた頃の楽しい思い出や、突然居なくなってしまった時の苦しみ、そして探してはいけないと悟った時の悔しさを感じ、涙を噛み締めました。
それを思い出しました。
NHKの地域発ドラマのようだ
鑑賞後にまず感じたのがそれ。
主人公ふたりの裏の顔、かたやソフトなゲイにかたや経歴詐称の放蕩息子。
重々しい語呂のタイトルからすると、少し拍子抜けする設定だというのが率直な印象。
物語の内容にしても口うるさい隣人・鈴村(永島暎子)の存在が主人公・今野(綾野剛)の心理描写に上手く絡めていないし、会社の同僚・西山(筒井真理子)と共に日浅(松田龍平)を回想するシーンを冒頭に持って来た意図も伝わってこず、演出が全体的にバラバラ。
今野のパーソナリティを象徴するシーンとしてジャスミンを愛でる姿を重ねて描いていたり、映画を観ながら涙するのも安直な感じが否めない。
さんさ踊りの風景も地域紹介のアリバイ作りのようでストーリー展開から浮いてしまっている。
商業作品としての意味合いを見出すとしたら震災発生日を見据えた公開スケジュールぐらいか?
辛辣な言い方だが、力のある俳優陣の良さを潰してしまっている典型のような作品。
余談だが、制作サイドに松田龍平の母・美由紀の名があるのは何か政治的な力が働いているのかな?
お前が見てるのは、ほんの一瞬、光が当たっているとこ
震災前後の岩手。やたら下着姿の綾野剛が出てくる理由は、なるほどそれかというそれなりの訳がある(そこが中村倫也の登場理由なのだから)。演じる今野の地味さは、自分を卑屈に感じている部分と人には知られたくない部分が彼の心に宿っているからなのだろう。
松田演じる日浅ははじめから、社交的に見えながらもミステリアスな存在である。山火事やザクロの話題は、彼の底の知れない人間性を想起されてぞわっとする。さらに、「苔はさ、木漏れ日の下の古木が好きなんだよ、死んだ木に苔がついて、また新しい芽が出る、その繰り返しだな」「人を見るのは影の裏から」「屍の上に立っているんだよ、俺たち」の台詞の意味深さ。だから、二人が交友を深める間柄になったとしても、今野はどこか見えない彼の本性に怯えている様だった。家族の話す彼の人物像(つまり、影の一番濃いところ)を知るに従い沸き起こる今野の戸惑いは、当然なのだ。父親に「あいつは元来、そっち側の、盗人の類のような人間なんです」と悪態をつかれるような男なのだから。だから、震災後の行方知らずの彼の消息が、不吉(不安ではなく)に思えて仕方がない。
ラスト、今野の笑顔の意味について解釈はいろいろあろう。ちなみに僕はあそこで、泣いた。日浅の勤めていた会社からの案内状に日浅の筆跡を認め、彼の存在を確かめた今野。その彼は今はどこにいるか不明ではあるにもかかわらず、彼が”存在したこと”の確認ができた安堵。その感情が見えたからだ。それは、かつて彼を疎かにしてしまった自分を悔いていたからだと思う。そして愛していた感情を改めて確認できたからだとも思う。
そう、今野は今、日浅の屍の上で生きているのだ。
僕はそう解釈して、するっと涙が出てきたのだ。
誰もが年齢にあったそれまでの人生を生きてきた。人に知られていない人生を生きてきた。人には知られたくない人生だってあった。それは今野だって、日浅だって、そして僕だってそうだ。
タバコをふかしながら見つめる日浅の幻影が、「ニジマスだってそうだろう?」と言った気がした。
描き方が今一歩。
製薬会社本社勤務から盛岡に転勤になった今野(綾野剛)、そこの職場で働く派遣社員!?の日浅(松田龍平)とパートの西山(筒井真理子)。
同僚ということから仲良くなり、釣り・飲み・キャンプ・互助会の会員に印と公私ともども仲良くなるが、途中で仕事を辞めてぱったりいなくなる。就職して数か月後いきなり今野の前にあらわれ、仲が再開する。
平坦な日常が淡々と流れてるような空気感だが、いろいろな要素を含んでいる。
LGBT
非正規雇用
東北の震災
田舎の閉塞感
ノルマのために無理やりの営業
4年間の空白
親子兄弟の確執
岩手の大自然
ただ、どの項目も中途半端で深く描かずに、日浅の言葉ですべてを解決しようとしているが、抽象的すぎてフワッとして伝わってこない。
日浅の空白の4年間何をしていたのか、どんな意味があったのか、偽造卒業証書の意味など未解決のままで消化不良。
合わなかった…余白多すぎ
余白たっぷりセリフ激少ない説明描写無し感情表現も曖昧なとこが多々。
好みの問題ですが、ちょっと私には難易度高くて合わなかった…。要所要所理解できる箇所もあったけど、全体的に理解が追いついていない。特に前半。綾野剛がやたら下半身露出するのとかどのような意図が…?
あと、予告で感じるミステリーぽさというか「親友が突然いなくなった」パートが予想よりかなり少なくて、拍子抜けだったりもしました。
『影裏』はある意味100%の恋愛映画です。
ブログにネタバレ感想を書きました。あの小説をよくここまで巧く広げられたなと感心しました(原作はつまらなかったので……)。
本作では綾野剛の新境地を見た気がします。ただ、どんなに主人公をダサく地味な男に描こうとしても、綾野剛がかっこよすぎるために全然ダサく見えないのは困ったことです(笑)
https://tomarigi.hatenablog.jp/entry/2020/03/02/160000
愛したひとが別の面を持っていても愛せるかどうか
沼田真佑の芥川賞受賞作の映画化。原作は未読ながら、主役ふたりの顔合わせが楽しみでした。
岩手県・盛岡に転勤してきた今野秋一(綾野剛)。
勤務先は薬品卸会社の東北支社。
慣れない土地で心細さを感じていた今野は、ある日、ふとしたことから別部署で働く同い年の日浅典博(松田龍平)と知り合う。
馴れ馴れしいでもなく、ぶっきらぼうでもない日浅との距離感が心地よかった今野は、しばしばふたりで渓流釣りに行く仲になる。
が、その後、半年ばかりした後、日浅は会社を辞めて音信不通となってしまう。
姿を消して3か月ばかりしたある頃、ひょっこり今野の前に姿を現した日浅は、ライフイベント互助会の営業マンになっていた。
そして、東日本大震災が発生し、今度こそ日浅は行方不明になってしまう・・・
という物語で行方不明になった日浅を探そうとした今野は、日浅の別の顔を知ることになる・・・
こう書くとサスペンス映画、ミステリー映画のようだが、そうではない。
その手の映画ならば、原作小説は芥川賞ではない別の賞を受賞しているだろう。
この映画の主題とするところは、愛した人物が自分の知っている面と異なる面を持っていても愛することができるか(できる)、というところだろう。
で、その主題をわかりやすくするために、主人公の今野を同性愛者にしている(原作でもそうなのかは未読なのでわからないが)。
ただし、この設定を、説得力あるように描くには、少々演出の細やかさが欠けているように思う。
つまり、日浅が行方不明になるまでの間で、心底、今野が彼を愛していることを示す描写が少ない(唐突に今野が日浅に挑むエピソードは底が浅すぎる)。
途中、ふたりの間柄を示すアイテムとして煙草が登場するが、この扱いが上手くない。
1度目、今野が日浅から吸いかけの煙草を渡されるシーン。
今野は、急いで煙草を消すが、ここは少なくとも、ひと口、吸う仕草が欲しかった。
2度目、契約数が覚束なくなった日浅が、今野のアパートの前で待っているシーン。
日浅が帰った後、部屋の前の階段のところで、幾本もの日浅の吸い殻を見つける今野だが、この扱いがぞんざい。
少なくとも、部屋へ持ち帰るぐらいの細やかな演出が欲しかった。
最後、震災後、行方不明になった日浅であるが、彼が生きていた痕跡として、今野は震災前に日浅が書いた契約変更依頼書の自筆の名前を見つけるが、この映画はここで終わった方がよかった。
その数年後に、ふたりで出かけた場所で今野は日浅の幻をみるが、その時には今野には別の想い人がいる。
新しい恋人が出来ても・・・という文脈なのかもしれないが、まるっきりの蛇足のように感じられてしまいました。
最近の日本映画にしてはチャレンジングな内容の映画だけれど、全体的に物足りなさを感じる出来でした。
裏の裏
何が「影」「裏」なのか、それを知って誰の何が変わるのか変わらないのかなど何もかもが釈然としない。日浅(松田龍平)の裏面なるものは、如何にもありそうなことだ。その生い立ち・葛藤など、影の影・裏の裏の描写が欲しい。
トンチンカン
テーマが分からない。
テレビ岩手開局50周年記念の映画だそうだが…声を大にして言いたい。
「なぜ、これにした!?」
テレビ岩手の企画部の意図が分からない!
なんじゃこりゃ?
崩壊と再生とか、繰り返しとか、色々こじ付けられはするが…震災ネタに必然性を感じない。その前と後では、扱うネタに差異があるように思うのだ。
序盤は綾乃氏のケツがやたらにクローズアップされて、この映画のターゲットってゲイの人達なのかと勘繰る。
足からのパーンはあるわ、白いピチピチのボクサーパンツだわ、局部のアップはあるわで、その趣向を持たない俺はえづきそうだ…。トランスジェンダー的な匂いをプンプンさせてはいるのだが、泥の中を進むようで起伏に乏しく嫌悪感が先立つ。
震災前までに作り上げたものを、震災で崩壊させて、震災後には別の物を作りあげる。
外見は同じでも中身は微妙に違うとか、変化を伴わず、完全な再現など不可能だとか…そんな事??
これだってだいぶ好意的に見たこじ付けだ。
役者陣は皆さま役割以上の仕事をしてて、さすがと感嘆する。
なのだが、なんか全員泥の中で蠢いてるかのようで気味が悪い…。
この映画を通して、テレビ岩手は何をアピールしたかったのか…甚だ謎だ。
エンドロールにて、今作に原作があった事に驚いた。「原作があんのにこんなにとっちらかってんのかよ!」ってのが率直な感想だ。
てっきりオリジナルだと思ってたよ。
んで、これが芥川賞??
…嘘でしょ?
なんかヒューマンミステリーとか書いてあって、得体のしれない人物像がなんたらかんたらって書いてはあるが…なんなんだ?
自分も含めて全ての人間は得体が知れないよ。なぜそんな当たり前の事を今更…。
人は見たいものしか見ないし、見せたいものしか見せないよ。
その裏側にあるものなんて憶測以外の何物でもなくて、良くて統計的な近似値だ。
なぜ自分の見解が物事の100%だと思えるのだろうか?どこまで傲慢なんだろう?
人への印象などその最たるものだ。
…こんな事がヒューマンミステリーの発端と思いたくはないが、どおにも答え合わせが不可能な事へ、答えを出そうとする思い上がりと浅薄さに怒鳴り散らしそうだ。
脱線した自覚はあるが、とりあえず合掌。
原作なのか内容ががっかり
盛岡のアパートの住人が怒ってくるシーンは
ああいう言い方で盛岡の人は怒鳴らないと思う。そおいう県民ではない。それに下着姿の場面が多いし、後ろ姿の綾野剛の裸のシーンも必要ないし。この映画に期待して岩手県人は鑑賞しにきているはずなのだから、ゲイとかキスシーンとかいらない描写だった。
岩手県産癒し系映画
2020年映画館鑑賞19作品目
原作未読
監督も盛岡出身
盛岡で30すぎの男2人が同じ職場で仲良くなって酒を飲んだり川釣りをしたりお祭りに行ったり
友人は突然職場を辞め転職ししばらくして再会する
しかし震災の日仕事で釜石に行った友人は行方不明になる
それだけの話
はっきりいって話の内容としてはつまらない
2人の会話劇が支えになっている
しかも2人ともどちらかといえば地味な役者で地味な芝居をしている
だけども不思議と眠くはならなかった
川のせせらぎのおかげかもしれない
マイナスイオンが脳を活性化させたのだろうか
彼ら2人に加えて筒井真理子國村隼安田顕らが登場する訳だが全体的にやけに顔面のどアップが多すぎる気がする
最初の方でおしりに対する執着心が桂正和なみにハンパなかったが監督はゲイなのか
気持ち悪くは感じなかったがブリーフのおしりの食い込みやもっこりにドキドキしてしまった
これはたぶん原作も含めてだがそもそも主人公がゲイという設定が必要だったのか疑問だ
むしろ無かった方がコンパクトでシンプルな話になったのではないか
女装の中村倫也だっていらなかった
あとあえて苦言を呈するなら綾野剛前髪切れ
眉ならともかく目まで隠れるまで髪伸ばすな
イワン・ウイスキーを目指しているのか
思わせぶりなだけで、肩透かしで長い
オープニングのクレジットにテレビ岩手開局50周年の表記があり、もしや際どい演出や映像はないのではの悪い予感が。
結果は予感的中。無駄に長く、影裏というだけのたいした奥底があるわけでもなく、完全に思わせぶり。
存在だけで底知れぬ不気味さを感じる松田龍平だけあって、羊の木同様の狂気を期待したのだが、これも完全な肩透かし。
綾野剛も演技はいいが、作品としては楽園に続いて…。亜人で見せた肉体はどこへやら。役に合わせて減量したのならすごいけど。
途中からは岩手山やら、城下町の町並みやら、自然溢れる渓谷やら、岩手県の観光PRにしか見えず。
原作未読だが、映画にするまでもない内容でした。
で?
42本目。
震災絡んでくるから下手な事言えないって思ってんだけど、うーん。
観終えて思ったのは、で?
二人の会話に合わせた感じのテンポなので、ちょっと苦手。
あと綾野剛は影のある役を演じる時、前髪足らすのは分かりやすいけど、いくつかの作品でも同じ感じだったと思う。
別に普通でいいと思わないけど。
見事に原作の行間を掬った作品
原作に加えられたエピソードは幾つか有るけれど、基本的には原作の行間を見事に汲み取り、登場人物の言動に心に投影させ、まさに文学の映像化に成功した作品です。
ただ、原作者、監督、俳優のメッセージや想いはそれぞれ有るでしょうが、観る人が自分の背景を負いつつ観て感じ、素直に思ったこと-どれもが正解だと思います。
ビックリしたなぁ~
冒頭から、綾野君のサービスショット…
うん?何だか穏やかでないなぁ、絵面が。
ジャスミンの鉢に水やり、霧吹きで…モッコリ(笑)そのモッコリ尋常じゃないし(笑)
二丁目のおねぇさん方が喜びそう。
後にこの予想が正解だったと明らかになるのですが。
原作は未読です。
人物像が今一つな感じ。
ルール守らない、あんないい加減な日浅がごじょかいの契約を取る仕事をあんなに一生懸命にやるかしら?と。
それが気になって物語に集中出来なくなった私が悪いのかもしれません。
叙述トリックどこいった?
とにかく白くて長くてキレイな綾野剛の生足がたくさん出てくる作品www.
なんなん?この監督は足フェチなの?!
本編とは全然関係ないのに多発してくるので、だんだん不快になってくる。
そして純文学を映像化するとお約束の、原作ぶっ潰し感www.
叙述トリックどこいった?
あのラストで観客の半数以上が、
??????????
まあ、映像作品ですからね、 なかなか文字では伝わっても、映像では理解しにくいというのは解ります。
しかもこういったスルメ感満載の作品はね。
ちょっと一緒に見に行く人を選びそうな作品ではあります。
全113件中、41~60件目を表示