ふたりの女王 メアリーとエリザベスのレビュー・感想・評価
全67件中、41~60件目を表示
時代に興味がわいた
シアーシャ・ローナン最高!
翡翠の瞳に白い肌、無邪気な笑顔かと思えば、冷徹な目で人を見据え、はたまた激情をほとばしらせ相手を罵倒する。これで24歳とは、これから更に楽しみな女優さんだ。高貴で美しく獰猛でもあるメアリー女王役にぴったりだ。「レディ・バード」の不安定なティーン・エイジャーとは全く違うが、どちらも彼女が演じて違和感無いのは、演技力だろう。
東のローナンに対して、西の演技派はマーゴット・ロビー。
争いの絶えない中世にあって、女王としてイングランドをまとめ、思惑入り乱れる枢密院を、ある時は声高に説得し、ある時は許容し、国のために全てを捨てて必死に舵とりをする等身大のエリザベス女王を、葛藤や心の疲れなどの弱さを抱えた表情が、見ていて辛くなるほどだ。「アイ・トーニャ」の激しく強いが不幸な女性の姿に重なる。こちらも28歳とは思えない、堂々たる風格だ。
この2人が盤石に演じる舞台として、中世の城やスコットランドの荒々しく美しい自然や城が綺麗で、次第にこの時代にトリップした感覚になる。美しい舞台の上で、魑魅魍魎のような男たちが権力争いを企てる、どす黒い人間模様が描かれる。そうした背景からも、暗く猥雑になりがちなこの時代の画が、丁寧で細やかな作りで、見やすく清潔にまとめられている点、監督のジョシー・ルークの手腕だろうか。ゴージャスというのは少し違う気がするが、劇場の大画面が似合い、見終わった後に得した気分になれる作品だ。
先日公開の「女王陛下のお気に入り」は、この時代から100年ほど後のことのようだ。これまであまり興味は無かったのだけど、この映画を観て、少し歴史を紐解いてみようかという気になった。
エリザベスを造ったのはメアリー?
「エリザベス」シリーズをもう一度観たくなる
メアリースチュアートについて知るにはいい映画。
カトリックとプロテスタント、イングランドとスコットランド、男と女、それぞれの対立は
権力を奪い合う人間の愚かさを感じさせてくれる。
ヨーロッパの歴史は、何百年も続いていた王家の争いの上に成り立っていると感じた。
ちなみにこの映画を観た後、ドラマの「エリザベス1世」前後編を観た。
ちょうど、メアリースチュアートが、イングランドで幽閉されるところからの
エリザベスが死ぬまでの人生を描いていて、面白かった。
メアリーとエリザベスでは、メアリーが不幸のまま死んでいったというところで終わるが、
その後のエリザベスもなかなか不幸。
女王という、孤独とずっと戦っていくのは、どんなに権力があっても幸せにはなれないんだなと思った。
そして、エリザベス自らが言っていたのは、国民からの愛はお金では買えないということ。
民主主義とか、選挙とか、そんなものがなくても
国民から慕われない王は、長くは続かないと歴史が教えてくれる。
ヘタにリアルな宝塚演劇(成人向け)
もっと2人が争っているのかと
予告では結構2人の権力争いっぽいのかなって感じしたけど、周りの人が色々やってメアリー1人がめちゃくちゃ大変って印象だった。
.
というか邦題はふたりの女王だけど、原題はMary Queen of Scots スコットランドの女王メアリーだし、元々メアリーがメインなんだよな。
.
まぁでも生涯独身で容姿に自信がないうえにさらに天然痘にかかって顔がボロボロになったエリザベスと、結婚出産をして自信家で美人なメアリーの対比がところどころに見られて面白かった。
.
でもエリザベス、客観的に見たらダドリーという美しいメアリーを見てもエリザベスがいいって言う、割と大事にしてくれてる人いたから幸せなんじゃないと思った。
.
でも女王だから結局誰も信じられなかったんだよね、ダドリーが結婚した瞬間にメアリーの相手みたいにならないとは限らないしね。あの距離だから上手くいってたのかも。
.
ダドリーの人『女王陛下のお気に入り』のエマ・ストーン演じるアビゲイルの旦那さん役の人と同じらしい。女性を手に入れるには大変ね(笑)私生活ではテイラースウィフトと付き合ってるけど(笑).
スコットランドの女王の凛とした生き様
原題:Mary Queen of Scots
エンドロールで知った原題で腑に落ちた。時は16世紀後半(ざっくりですいません)、スコットランドの女王メアリー(シアーシャ・ローナン)の生き様を描いた作品だった。
彼女はどんな状況にあってもイングランドを含む王位継承権は我にありというプライドを捨てることはなかった。世襲制である王位は性別や年齢より血の濃さが問題になるのですね。
メアリーの従姉妹であるイングランドの女王エリザベス(マーゴット・ロビー)はメアリーの存在を脅威に感じながらも、同じ女王としてシンパシーを感じていたのだろう。窮地に立ったメアリーを簡単に切り捨てることはなかった。
凄惨な最後を含めまさに波乱万丈、ハードな人生だったが、エンドロールで本懐を遂げたことを知り、少し救われた気がした。
二人に魅了される
現在のイギリスや王室の礎
この二人の女王は現在のイギリスや、英国王室の礎だ。
だが、この物語は、イギリスの歴史上、最大の悲劇かもしれないと改めて思った。
この頃、大陸欧州は、大航海時代やルネサンスで、経済的にも文化的にも繁栄し、イングランドもスコットランドも大陸に出遅れていた。
大航海時代の主役は、ポルトガルや、スペイン、オランダで、文化的にはイタリアやフランスがリードし、イングランドとスコットランドは長く続いた内乱で疲弊していたのだ。
しかし、前にも述べたように、この二人の女王は、現在のイギリスの礎となった。
映画では、メアリー スチュアートはフランスで長年過ごし、社交的で聡明、策略家のように描かれる一方、エリザベスは様々な内政に内向きで、花柄の額に拘る姿など必要以上に頑ななように映る。
ただ、エリザベスは庶子ということや、容姿に大きなコンプレックスを抱えていたこともあるかもしれないが、政治的に実は、自分の周りの地固めを最優先していたのではないかと思う。
そして、長い停滞の時を経て、エリザベスはついに、メアリー スチュアートの処刑を決断し、エリザベスが庶子で女王には不適切として幾度となく内政に干渉し、メアリー スチュアートを正統と主張し続けていたスペインと対峙し、当時、無敵とされていたスペイン艦隊を破り、海洋国家 大英帝国への道を開くことになる。
その後、ピューリタン革命など不安定な時代がありつつも、イギリスの繁栄は、産業革命を経て周知の事だ。
そして、エリザベスはメアリー スチュアートの子供、ジェームズを後継とし、王室の系統を守り、イングランドとスコットランドは一人の国王の下に結ばれ、現在の英国王室に繋がっているのだ。
エリザベスは、国内を盤石なものにし、その後の未来のイギリスの姿を、ビジョンを見ていたのだろうか。
その懐の深さは、計り知れない。
ところで、英語のタイトルは、メアリー、 クィーン オブ スコッツだが、どんな意図があるのだろうと、考えてしまう。
もしかしたら、エリザベスは、メアリーに欧州大陸の国々の危うさを見て、反面教師にしていたというメッセージもあって、映画のタイトルにしたのだろうか。
いや、ある種のコンプレックスや敵愾心を抱えつつも、子供を産んだ女性の幸福をメアリーに感じ、憧れを抱いていたというエリザベスの悲しみのパラドックスの象徴としてタイトルにしたのではないか。エリザベスは自分は男になったのだと言っていたではないか。
正統と庶子、聡明と愚直、寛容と慎重、カトリックとプロテスタント、異なる種類の孤独、そして容姿など対照的な、この二人が同じ時代に生きたことは、悲劇かもしれない。
しかし、この二人の女王が同時代に生まれたからこそ、現在のイギリスがあり、ひいては、現代の世界体制にも繋がって影響していると考えると、ちょっとゾクゾクしてしまう。
王室はスキャンダルまみれ
16世紀、スコットランドの女王メアリー・スチュアートとイングランド女王のエリザベスⅠ世の物語。
主にメアリー視点で進み、メアリーが19歳でスコットランドに戻り、女王の座についたところから、イングランドで処刑されるまでを描いていました。
メアリー役のシアーシャ・ローナンも、エリザベス役のマーゴット・ロビーも、すさまじい演技力。
あと、残っている肖像画からすると、シアーシャがそっくりすぎて不気味レベル。
史実をベースにエンタメに振り、ふたりとも悲劇の女王扱いする作劇は、なんだかNHK大河ドラマっぽかったです。
いつの世も、権勢欲に振り回されて、政治家や王族というのは破滅していくのだなぁ、と思わせてくれます。
出てくる男が、どいつもこいつもクズなのに苦笑いしつつ。
王室って長年スキャンダルしかないんだなぁ…と思わせてくれて。
ダイアナ妃を思い出したりして。
実にイギリスらしい、皮肉まみれな映画でしたよ。
この時代の歴史が好きor少し知識があるなら、観ても損はないと思います。
全然詳しくないなら、人間関係や血筋、宗教対立が複雑すぎて分かりにくく、避けた方が賢明かも。
酷だな
もっと観たかった
【二人の聡明なイングランド・スコットランド女王と愚かな男達を描いた作品・・。】
私の気持ちを知るのは、もう一人の女王だけ
全67件中、41~60件目を表示