ふたりの女王 メアリーとエリザベスのレビュー・感想・評価
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アマプラで観た
残酷な時代、野蛮な時代、苦しみ。
16世紀の西欧は野蛮で辟易する。と共に、魅力を感じてしまうのは、無罪にも関わらず悲愴の死が数多く痕を残しているからだろう。
見終わったあとは胸糞悪くて軽い映画を流し見た。
無実の人間が殺される。有罪の輩共が血を啜る。
この作品は、陰謀蠢くストーリーとともに同性愛を扱っている。この時代における同姓愛が、どれだけ矮小だったことか!!!
最終まで気高く生きた2人の彼女に感服する。
王家に生まれることが幸であるとは限らない。ましてや国を統べる重さなど。
現代には稀な、16世紀の人々の精神の頑丈さは、深く感じずにはいられない。
人間らしさを持った善良な登場人物は皆、哀れな終わりだった…。
女王ふたりの演技が光る!
邦題は「ふたりの女王」とあるが、
スコットランド女王のメアリーの物語。
メアリーの処刑シーンから始まり、
処刑シーンで終わる。
凛として、処刑台に消えていくメアリー。
一方で、イングランドに威厳をもって
君臨するエリザベス。
この二人の境遇の違いや、気持ちの動きが
とても良く描かれている。
バージンクイーンとして、
国と一生添い遂げることを決めた
エリザベスだったが、
結婚して、子供を産んだ
若く美しいメアリーに深く嫉妬をする。
さらに、イングランドの
正統な王位継承者だと主張を続けるメアリーに
エリザベスは、頭を悩ますのだった。
このふたりの対立を、
周りの権力者たちは黙っているはずもなく、
裏切りと策略がうごめく。
誰も味方がいなくなったメアリーは、
エリザベスに助けを求める。
この二人の極秘対談は、見ものです!
疑問点もありつつ面白かった
エリザベス1世がメインの映画だと、メアリー・スチュアートの幽閉や処刑のシーンはあっても、彼女のスコットランド女王時代に何があったかはほとんど描かれないので、そういう意味では興味深かった。
…のだけど、肝心のメアリー・スチュアートがあまり魅力的に映らない。その時々の感情に左右されたり、男性の臣下たちに翻弄されたりして、何がしたいのかよく分からない。幼なじみの侍女たちやイタリア人歌手と遊んでいるときは楽しそうだけど、言い寄ってきた最初の夫をあっさり信じてしまう甘さとか、「もともと君主に向いていないのでは」と思わずにはいられない。エリザベスが結婚しない理由として「女王と結婚した男は、「女王の夫」だけでは満足できなくなるから」と言うシーンがあるけど、実際メアリーがその通りの事態になっていくのだから、結論は「エリザベスが正しかった」(少なくとも当時の状況下では)、以上終わり、ということになってしまう。
スコットランドの荒涼とした風景や石造りの城はいい雰囲気で、行ってみたいなと思った。エリザベスとセシルの相棒っぽさも好き。
映画の世界に限らずダイバーシティやポリコレ、コンプライアンスが求められる現代ではあるんだけど、それを史劇にまでさかのぼって適用したのか、16世紀のエリザベス1世の宮廷に黒人の重臣がいたり、どう見ても東洋人の女性がいたりする。これは「さすがに無理があるだろう」としか…。黒人の俳優さんが悪いわけではないけど(いい演技してるし)、極東の日本では黒人奴隷の弥助が見世物みたいに扱われてた時代だろうに。
時代物にダイバーシティを取り入れるってそういうことじゃなくて、例えば「英国王のスピーチ」でジェフリー・ラッシュ演じる言語聴覚士がシェイクスピア劇に出たくても、「オーストラリア人にシェイクスピア演られてもね~」と理不尽な理由で不合格になるみたいな、「当時は誰も疑問に思っていなかったダイバーシティの無さ」をはっきり描くのが誠実なダイバーシティじゃないかなあと思う。
シアーシャ•ローナンそっくり‼️
そっくりの人選をしたのでしょうが。
ホントよく似てます。肖像画に。
この時代の映画といえば、ケイト•ブランシェットのエリザベスを思い浮かべますが、
メアリーはエリザベスとは親戚関係にあります。
エリザベスの描き方は、本作の方が説得力がありますね。
どのサイトを見ても、メアリーは奔放な、という形容詞がつくので、
何か好き勝手に生きていた感じがしますが、
原作が新しいものを採用しているせいか、かなりメアリーよりの印象です。
当時、洗練されたフランスから、辺境の故郷に戻って来なければいけなかった若い女王。
急ごしらえの岩場を利用して、なんとか王家の体裁をたもった部屋など、
時代物としても見応えのある映像でした。
あまり側近に恵まれなかったようで、裏目、裏目に出てしまい、
気の毒な感じも受けました。 ツメが甘い、と言われればその通りなのですが。
この時代の駆け引きは本当に面白く、人物も多く、ちょっとゴチャゴチャしますが、
大好きなジャンルですね。
メアリーの直系が現在のイギリス王室、というところも興味深いです。
メアリー・スチュアート
メアリー(シアーシャ・ローナン)がスコットランドに女王として帰国したところから始まる。
イングランドにはレディアンの娘、エリザベス(マーゴット・ロビー)が君臨していた。
二人はイングランドとスコットランドの王位をめぐり、宮廷の権力闘争も加わり、泥沼状態の関係が続く。
エリザベスには子供がいなかったので、メアリーの息子が両国の国王となり、今の英国王室はメアリーの直系ということになる。
この時代の話はとても興味深く、特にこの二人はドラマになる。
シアーシャとマーゴット
ふたりの女優が適役で素晴らしかった。ケイト・ブランシェットのエリザベスとは全く違う。でも、視点も歴史観も全く異なる作りだからそれぞれいい。それが映画の良さだと思う。
旧教vs.新教、信頼できないアホな男達vs.孤独に毅然と生きて産んで死ぬ女王たち、二人のファッションセンスの違い、二人の素晴らしい知性・外国語能力と教養。たとえ男性社会であっても、血の正統性の前にはそんなこと言ってられず、女が王になれた国。二人の間だけにはおそらくあった共感。
ルターの宗教改革から何十年もたっているのに、あれだけ新教側がエクサイトして悪口雑言のアジテーションが行われたということに、教皇がターゲットだったとしても、キリスト教の残酷さをみた気がする。一神教のもとで育っていない私には理解できないパワーだ。
ヨーロッパとひと括りにしないで、一つ一つの国、地域を丁寧に見ていくのは本当に面白い。イギリス、フランスがテーマになることが多いが、スペイン、イタリア&神聖ローマ帝国なども映画で見たい。
マーゴットを見たのはこれで三本目の映画だが、どれ一つ同一人物と思えない(トーニャ、シャロン・テート、エリザベス)!
UK
現在の英国王室の源流となる話。
史実としてのメアリーの人生そのものが起伏に富んでいて面白いのだが、それをコンパクトに、メアリーそのものの人物像にストーリーの焦点を合わせながら進む。「誰が誰だか分からなくなる」とか、「これって結局、誰の話をしたいの?」というような大河物にありがちな状況を避けている。
中心に御座するシアーシャの存在感としなやかな演技。かなり自己主張が強かったらしいメアリーを、闊達で魅力的な女性像へと投影している。対局にあるエリザベス、自分を殺して役割に徹する。マーゴット自体が自分の魅力を封印しているようでもある。女性としての生き方について問題を投げかける展開である。
そして話は、当代を代表する若手女優の対峙シーンへと向かう。待ってましたとこっちが緊張する。そして期待を裏切らぬお芝居に熱くなる。大満足でお腹いっぱい。
素晴らしい衣裳や照明、厳しいスコットランドの風景など、手抜かりのない緻密に仕上がった出来映え。歴史物として敬遠されがちかもしれないが、あらゆる面において映画としての完成度がかなり高い作品である。
その女王たち、悲劇無くして王冠戴けず
16世紀英国。王位を巡って対立した2人の女王。
スコットランド女王メアリーと、イングランド女王エリザベス。
軽く検索しただけでも関連作品が幾つも並ぶほど、これまで何度も映像化されている。
とは言え、イギリスの歴史劇。なかなかに馴染み易いものではないが、ケイト・ブランシェット主演『エリザベス』でも触れられ、映画を見ていれば一度は何処かでお目に掛かっている。
フランス王と死別し、メアリーがスコットランドに帰国した所から話は始まる。
当時のスコットランドはエリザベス女王の支配下にあったが、スコットランド王とイングランド王の血を引くメアリーは、正統なる後継者として王位継承を主張。
一つの王国に2人の女王。
無視は出来ない、お互いにとって目の上のたんこぶのような存在…。
一方は取り入ろうとする。
一方は丸め込もうとする。
政略や権力、さらには男との色恋までも用いて。
が、巧みに相手には下らない。相手が仕掛けてきたら、はね除ける。
女王のプライド、女の意地。
女のバトル!
2人の女王の複雑な関係性や対比が印象的。
若く、美しく、聡明なメアリー。
高貴な血筋に加え、健康体で世継ぎも埋める。
対するエリザベスは、もうメアリーほど若くはなく、容姿にコンプレックス。天然痘発症でそれはさらに深刻に。
複数の男と関係を持ち、何度か結婚したメアリーに対し、エリザベスは“男”として独身宣言。世継ぎも望めない。
片や自由奔放な女性。
片や女の幸せを棄てた女性。
この王位継承対立には、女としての嫉妬も見え隠れ。
が、権力の違いは歴然。
エリザベスは臣下たちを完璧に頭を下げさせている。
メアリーも臣下たちを伴っているが、反発が強い。
名実共に“女王”と、肩書きだけの“女王”。
それぞれに、持っているもの、持っていないもの。
それらが2人の女王バトルに、面白味や深みをもたらしている。
“ふたりの女王”を演じるは、“ふたりの若手実力派女優”。
メアリーは、シアーシャ・ローナン。
歴史コスチューム劇にぴったりの透き通るようなクラシカルな美貌と魅力はいつもながら、役作りに5年かけたらしく(!)、さすがの複雑な感情/苦悩の演技。
エリザベスは、マーゴット・ロビー。
嫉妬や、シーンによっては怪演レベルの体現。キュートなビジュアルばかり注目されがちのマーゴットだが、その魅力や美貌を捨て、実力を存分に発揮。
メアリーもエリザベスもこれまで名だたる名女優たちが演じているが、一切引けを取らない堂々たる熱演。
単なるドロドロ愛憎劇に非ず。政略や宗教絡む、骨太な歴史陰謀サスペンスでもある。
とりわけ、周囲の男たち。
彼女たちを愛し、忠誠を誓ってると一見思いきや、虎視眈々と女から権力の座を奪おうとする男たちの醜悪さ。
メアリーは言ってみれば、いいように利用され、手駒にされたようなもの。
臣下や肉親に裏切られ、我が子と離され、悲劇の女性でもある。
そんな彼女が最後に頼ったのは…、同じ女で、同じ女王。
従姉のエリザベス。
終盤、遂に初対面。
カーテン越しに向かい合い、なかなか顔と顔を合わせない“タメ”と、愛憎だけじゃない様々な感情交錯し合い、シアーシャとマーゴットの迫真の熱演も相まって、見事なまでのハイライト。
男たちの裏切りと陰謀渦巻く宮廷で、権力の座につく2人の女。
手を取り合っていたら…。
イングランドとスコットランドが一つになったら…。
最初から、“友”として“従姉妹”として分かり合っていたら…。
それは、夢や理想でしかなかったのか…?
ラストは史実通り。
メアリーはエリザベス庇護の下幽閉された後、エリザベス暗殺関与に携わった罪で、死刑。
悲劇だが、メアリーに感情を抱きつつも刑を命じ、孤高の女王となったエリザベスも悲劇的。
が、せめてもの救いは次世代に。
2大若手実力派女優の熱演。
ただの対立だけではない複雑な感情、ドラマチックに交錯したそれぞれの運命。
女たちのドラマ、男たちのドラマ、エンタメ性と歴史も学べ、思ってた以上に見応えあった。
二人の女王の運命
一級品の歴史大河
二人の女優の対決おもしろい
最近、女王ものが流行りですね…なんて思いながら観に行った。当然だけど、全然、違うわね…。「女王陛下のお気に入り」は、女王陛下に支える二人の侍女の直接対決だったのに対し、「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」は、女王同士の対決だけど、直接対決もなく、メアリーが主役の作品って感じでした。でも、どちらも好きな作品でした。今作品のメアリー役のシアーシャ・ローナンも、エリザベス役のマーゴット・ロビーも好きなんだよね。二人とも、すごい女優さんだよね。直接対決はなかったけど、出会うまでの二人の葛藤も、すごく上手く表現されてたと思う。世の中には、いつの時代でも、女性上位の世界もあるのね…、日本とは大違いですね…なんて思いながら観てました。男に利用されたりして、可哀想と思うこともありましたが、とても強くて、素敵な女王でした。最も、妊娠、出産すると、守るべき子供が出来たりすると、女は弱くなりますね。守るべきものが出来るとって話は、男にも言えることなんでしょうけど、母性は捨てられない人が多いからなぁ。最後のテロップで、息子ジェームズが王になったとあったから、育てることはできなかったけど、母の意を汲んでくれたのなら良かったのかな…なんて思いました。
女優さんがいい
女優さんがいい。
シアーシャ・ローナン。
彼女の出演作を見たのは今回が初めてだったけれど、馬に颯爽と乗って男に混じって戦闘に赴く姿に清々しさを感じた。声もかわいいし。アイルランド出身ということですが、なまりは強くなく普通に聞き取れます。
この時代の英国は権力闘争が激しくて残酷だし、未だに真実がはっきりしていない部分もあるので、映画を作るうえで何を大事にしてどの立場に立脚して描くかというのは、結構大事なことだったりする。
この映画では、誰よりも血統的な正当性を持ちながらも民衆から理解されず支持も得られず、結局は周りにいる陰謀を企てる者たちの言いなりにならざるを得ずに断頭台へと消えていく悲劇的な女王としてメアリー・スチュアートを描いた。才気闊達で情熱的で若く美しく魅力的に演じられていたので悲劇性は強まり、上手く描けていて、成功していると言える。
それにしてもこの作品で女性が権力を掌握するというのが内にも外にもどれだけ大変でえげつない争いを生じさせることかということが分かる…。男系の伝統を誇る日本に生まれてよかった。令和万歳。
「平和の来たらんことを…」
古いイギリスの城内での様々なシーンが興味深い。それは電気が無い時代だからこそ繰り広げられる蝋燭と蝋燭の合間の闇に蠢く思惑や企み。それが天井が高いだけにまるでビンの中で弾ける炭酸のようにそれぞれの生存競争が必死に行われていて恐ろしい。その中でも女王自身が意地とプライド、そして生き残りを賭けてのサバイヴ術が間髪いれずスピード感をもって展開されているから、スリリングたっぷりである。但し、余りにも怒濤の転換なので振り落とされてしまうのもしばしばである。特にこの時代の男の顔が髭面のせいか区別がつかず、例えばストーリー頭で、出戻りにくっついてきた従者の男と、後半周りに唆されてメアリーを手込めにする男は同一人物としての認識が怪しい。かなり時代背景を予習して置かないと理解に苦しむ展開でもある。
非情さ冷徹さも全面に押し出す演出は、迫力といたたまれなさがしっかり同居して押し寄せる内容だ。そしてこの淋しき戦いは現代でも全く変わることなく続いている事に暗澹たる心地持ちである。シーンも凝っていて、メアリーの夫に署名を迫る構図もまるでカラバッジョのような絵画を思い起こすようなものであったり、重厚さを表現した効果が素晴らしい。そう、今作品は、エンドロールに各キャストスタッフの署名が映し出される様に、とにかく“シグニチャー”が随所に出てくる。それ程“証拠”というものを取り付ける事が非常に重要なファクターであることが解る。二人の女王が結局邂逅したとしてもそれはそれぞれの背負ってるもののプライドにかけてのぶつかり合いなのでやはりどちらかの勝敗というのがついて回り、そして署名により雌雄が決まるのである。
今作は本来ならば英国版大河ドラマとして、1年を掛けて放映するような内容の作品であろうかと思う。それ位、ドラマティック且つテーマ性に富んだストーリーであるから、もっと掘り下げてよいシーンが数多いのだ。いとこ同士という間柄故に負けられない、しかしその背負うもの、立場は同一である故の親近感、そして同じ性としての対比。幾重にも連なる叙情詩である。
甘い映画❗
女性の幸福も母性の幸せも無い王位
イングランド王ヘンリー8世の庶子の長女として生まれたが故に、女性の幸福を捨て、結婚も子供を産み育てる幸せもなく、イングランドを守り、国民を守ったエリザベス1世。
一方、ヘンリー8世の姉の子供であるスコットランド王ジェームズ5世の長女であるが故にフランス王妃から2年でスコットランド女王として戻ったメアリー1世。彼女もその地位故に愛情なき結婚、出産、そして幼い息子との別れ、夫の暗殺、そして幽閉され、断頭台へと、女性として母としての幸せは全く無く、男達の政治家の中でスコットランドを守りイングランドと戦った悲劇。エリザベス女王がメアリーとの密会で言う言葉「私は男になったのよ」が彼女の本心であろう。女性監督だからこそ描けた今までにない視点。Virgin Queenなどというのは周囲の男達の政治家が勝手に称したものなのだ。二人の女王の悲劇は、メアリーの息子がジェームズ6世としてエリザベス女王の後継者としてイングランドとスコットランドの両王になることで終わる。
メアリー・スチュアートそういう人だったんだ
人間はバカ
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