「賛否両論あるこういう事実は作品として残すべき」Fukushima 50 北枕寝二さんの映画レビュー(感想・評価)
賛否両論あるこういう事実は作品として残すべき
レンタルDVDを4回に分けて鑑賞
公開当時から観ることを迷っていた
100円になってからもしばらく躊躇っていた
この監督は最近もWOWWOWドラマなどを観ていて
誠実な人柄を感じさせる内容で信頼できる人物だ
公開当時地元のテレビ局からインタビューを受け
こんな素晴らしい作品を是非観てくれというでもなく
批判もあると思う…と逡巡している様子がうかがえた
エンターテインメント作品とするために
東電本社や首相官邸をある程度の悪に見立てる必要があり
佐野史郎とか篠井英介のキャラクター設定はそういうことかと
ただ 悪者に振り切れている訳ではなく
ギリギリの状況の中でそれぞれの立場でこれがベストだと
判断した行動という風に読み取れる
誰かが悪者というたぐいの問題ではない
地元住民 マスコミ 東京都民 西日本の住民など
立場によってこの事故に対する感じ方はそれぞれ異なる
佐藤浩市と渡辺謙は大好きなので出演はうれしい
価値がある一作となった
> 佐藤浩市には20数年前に渋谷の飲み屋で
> 握手してもらったことがある
> 映画好きを装って「魚影の群れ観ました」なんて言ったら
> 「あれは撮影が大変で死んでました」なんて返答して貰えた
> 凄く嬉しかった
きわめて高い緊張下の中でのユーモア
渡辺謙と安田成美とのちょっとしたやりとり
地元の高校とか短大を出た優秀で気立ての良い女性がきっと
あぁいう総務の仕事をしてるんだよなとリアリティ
東電職員の妻が避難所で東電のジャンパーを脱ぐシーンも
暴走する原発を収めようとする様は
ゴジラやモンスターに立ち向かうのと何ら変わりない
何もないところから強力なパワーを生み出す優れた技術だと
あの事故が起きるまではオラも誤解していた
神の領域 倫理哲学の領域だった
徒弟制度みたいなものの美しさを描きたいとの意図
行ってくれる奴は手を上げてくれ
俺に行かせてください いやダメだ みたいな
小泉以降の権力者や新自由主義者のとりまきたちが
そういうものをなくしてきたんじゃなかったのか
それをいまさら日本の底力だとか現場力だとか
お前らに言われたくない
オラは嫌いだ まやかし ごまかしだと思う
このタイトルも嫌いだ 50人だけじゃない
普段メディアで見聞きする原作者の考えにどうしても相容れず
この作品を色眼鏡で見てしまうので勘弁
しかしながら賛否両論あるこういう事実は作品として残すべき
参加した監督スタッフ役者に敬意