「早くも震災をエンタメ化していて遺憾」Fukushima 50 nunさんの映画レビュー(感想・評価)
早くも震災をエンタメ化していて遺憾
何様だ。どの立場で震災を勝手にエンターテイメントにして販売し、我々は消費しているのか。これをドキュメンタリーだ、ノンフィクションだ、と信じる阿呆のなんと多いことか。
爆発寸前の原発に突き進んでいく男たちは、もう特攻兵さながら果断に富み、果敢に散った。反吐の出る美化とそれを礼賛するTwitterトレンドを、被災地の方々はどう思って見ているのだろうか。
政府を批判する形で無能さを強調して描こうとしており、それ自体は別にいいが、首相や大臣への例えば発言などの台本制作はただの民主党のネガティブキャンペーンでありがっかりした。「学校で見せるべき!でも政府は流したくないんだろうな。」などといういかにも満面のドヤ顔で言っていそうなつぶやきは、見当違いも大概にしてほしい。
映画の内容をまとめると、あの日政府は役立たずで無責任、安心安全な霞ヶ関から傍観しているだけで、一方現場の勇敢な英雄たちがお国のために命を捧げて日本を守りましたよ、という物語である。また世界中が日本のために祈ってくれましたね、というおまけ付きである。
この映画は顕著すぎたが、日本社会全体が原発事故の真実の追求を放棄し、震災を適当な美談にしようとしている風潮がよく表れている。なぜなら私含め、被災者以外のほとんどの人間は、震災に正面から向き合う勇気がないからだ。
しかしこんなくだらない戦隊モノを後世に語り継いだところで何の教訓も得られない。震災から10年目を迎えた今年こそ、事故の様々な原因を究明し将来の対策を練り、被災地の復興を改めて進めていくべきである。東京オリンピックは復興五輪だとかなんだとか言っていたのはいつの話だったか。
見たいものだけ見ているのではいけない。被災していない我々に、あの日のありしありさまを教えてくれる、そのような映画を観たかった。
同感です。見る前から期待しておらず
豪華なキャストに、お金をかけ確実に誰もが観るはずだと踏んだ題材を選び涙をそそられるつもりのエンタメ映画だと思って借りたら、思った通りで、見てすぐに不愉快で消しました。