劇場公開日 2020年3月6日

  • 予告編を見る

「非常に意義ある作品。しかし「事実に基づく」と銘打つには…」Fukushima 50 VECTORさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0非常に意義ある作品。しかし「事実に基づく」と銘打つには…

2020年3月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

あの事故を思い出すことも無くなった全てのひとが、再び事故の存在や人々の苦しみを肌で感じるように想起し、原発の是非を再考するきっかけとして優良な作品である。セットやCGの作り込みは素晴らしい。ときに目頭が熱くなることもあった。

だがしかし…

もっと鮮やかに「切り取るように」映すべきだった。あまりに大げさで仰々しいリアクション(これは多くの邦画に通ずる)や、製作者の恣意を強く感じさせる表現(完全無欠絶対悪の内閣や本社,東京に降り注ぐ死の灰のイメージ映像など)は本作のリアリティを失わせ、そう思わざるを得ない。

さらに放射線関連事故の最大の特徴である「後遺症」すなわち長期に渡って残る"禍根"に一切触れず、単純に美化していることもこれに付け加えよう。

これを庵野監督が撮ったらよりリアリティがあったのではないか?念頭に「シン・ゴジラ」があることを申し上げると、フィクションとの比較を愚行と指摘されかねないが、上記の点により「シン・ゴジラ」の方がリアリティがあると思えてしまう。「事実に基づく」と銘打つには、お粗末だと感じた。

VECTOR