「辛いけど見るべき映画。見る前に事故のおさらいをすべし。」Fukushima 50 ちゃーるすとんさんの映画レビュー(感想・評価)
辛いけど見るべき映画。見る前に事故のおさらいをすべし。
「事実にもとづく」と冒頭で紹介される。当時の津波の映像はもう何度も見ていて、「東日本大震災」と言われると真っ先に思いつくのはそちらだが、原発事故のことこそ、忘れてはいけない。
事故のことはある程度分かっていたつもりだったが、見る前にもう一度原発事故についておさらいして行くべきだったと後悔している。
というのも、事故から対応までを2時間という時間で描くので、各原子炉の状況や対応を知っておいた方が映画にのめりこむことができただろうからだ。
プラントエンジニアの事故に対する対応は迫力もあり素晴らしいシーンに仕上がっており良かった。放射能という、これまで一般人にはあまりなじみのない形のない恐怖が襲ってくる。
また、なんといっても国とのやり取りが、「シンゴジラ」を見たときに思った無能な政府、決められない政府という警鐘をも鳴らしていた。やっぱり総理はクソだった笑
中でも印象的だったのは、プラントエンジニアの方々が写真を撮ろう!とにぎわうシーン。ああでもしないと自分がおかしくなる空間だったんだろうな。リアル。エンドロールで写真が流れるだろうと思っていたが少なくて残念。亡くなったりしていないだろうか、、心配。
タイトルがFukushima 50 なので、被災者のシーンはあまりないが、中村ゆりさんのインパクトがすごかったな。某CMで毎回泣かされているが、その表情そのままだった。(もっと見てみたい)
パニック映画 と言われると、ありえないだろ、、、というシーンが多くなるが、本作は爆発などを最小限に抑え、「何が起こっているのかわからない」という表現がまたリアルだった。
ラストは、、、まぁ映画だったんだな。というラスト。ただハッピーエンドチックに終わらせてきた感が否めなかったけれど、原作(タイトル)の通りこの映画は「原発事故」がメインではなく、「プラントエンジニア」がメインなのだ。と納得できたのでまぁいいか。
途中で挟んだ安っぽい海外での報道のシーンは不要だったし、アメリカとの関係を表現してきたのは海外進出を意識してだったのかもしれないけれど少し弱い印象。ラストのオリンピックのくだりもいらないと思うなぁ。
映画なので多少の脚色はあるだろう。ただ、これから語り継ぐために必要な脚色なのだから、原作と読み比べてみたい。
普段から訓練は欠かさないのだろうが、「想定外」の事故は必ず起きるという教訓を教えてくれる非常に良い作品に仕上がっている。地震、津波、原子炉とスケールの大きい映画なので、ぜひ映画館で見てほしい。
中学の時、原発は事故の時に海水で冷やすために海の近くに作られている~的な話をされたことを覚えているが、今後の建設ではどうなるのだろう。
この事故(映画)が今後の教訓になるだろうこと、復興が1日でも早く完了することを望む。