「この映画を観たあとは何かが必ず変わるだろう。You can change your mind」殺さない彼と死なない彼女 masamiさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画を観たあとは何かが必ず変わるだろう。You can change your mind
かなり前、私が17歳位の事である。植物好きの
父が庭にマスカットを植えた。庭と言っても下町の建売住宅である。50センチの隙間である。
ところがマスカットの生命力は凄まじい!
1日に20センチ以上成長する!朝起きると私の
部屋に侵入している事もあった。植物というより動物だよ!
当然、私の家はマスカットの蔦に覆われ、緑の館になった。「クリープショー」のスティーブン キングの様に私が植物になる恐怖を感じた。
近所の子がからかいにくる。
「やーい お前んち おばけ屋敷!」
その子の名前は確か勘太かな・・・
農薬は使ってないので、芋虫が発生する。しかしその芋虫を狙って捕食者の昆虫が集まって来た!カマキリやアシナガバチだ。小さな生態系が形成された。
アシナガバチはひさしに巣を作った。私の枕元からほんの二メートルの距離だ。雨、風、を凌げ餌も豊富。最高の立地条件。私は・・・正直嬉しかった。可愛いと思った。
8月の最も暑い頃の事である。家には水草用の鉢があった。直径50センチくらい。そこにアシナガバチが水を飲みにくる。一時間に20回
くらい。なんで回数が分かるかと言うとずっと観察してたからだ。
虫も喉が乾くんだね。いや違います。
彼女達は妹達が暑さで死なない様にその水を妹たちにかけ、羽で扇いでいたのです。
気化熱を利用しているのです。
涙が出ます。献身的です。
しかしそういう生き物なのです。
水を飲むのだって命がけです。鉢に落ちたら
死んでしまいます。
アシナガバチ・・・は素晴らしい!
今はマスカットを切ってしまい、アシナガバチも消えた。遠い夏の記憶だ。
蜂の話が多いんじゃー!!
(何故岡山弁?)
さて長いまくらが終わり、ここから映画の感想に入りますが、この先は読む必要がありません。ネタバレせずにこの映画の素晴らしさを伝える自信がないのです。泣いて笑って喧嘩して・・・その位しか言えない。チョー気持ちいい、
何もいえねー・・・やはりその位しか言えない。今すぐにシアターへゴーです。
物語の主要な登場人物は6人です。
小坂れい(間宮祥太朗)と鹿野なな(桜井日奈子)
地味子ちゃん(恒松祐里)とキャピ子ちゃん(堀田真由)
撫子ちゃん(箭内夢菜)と八千代くん(ゆうたろう)
この三組の微妙でユニークなやりとりが暖かく描かれます。れいくんは無気力で口癖が「殺すぞ」です。ななちゃんはいじめられっこでトイレに行くのと同じくらいリストカットをしています。口癖は「死ぬ」です。
ある日教室にアシナガバチが迷い込みました。
別の生徒がそれを殺し、ゴミ箱に捨てます。
ななちゃんはアシナガバチを手にしてお墓を作りに校庭に行きます。
もうね、この時点で大共感!
ぼっけえ(凄く)いい子すぎるんじゃ!
アシナガバチだって生き物じゃ!
れいくんは、何故か気になって後を付いて行きます。これをきっかけにこの二人はつき合うというか一緒にいるというか・・・そんな関係になります。
便宜上ななちゃん、れいくんと書きましたが、二人とも相手の事を「お前」と呼んでいます。
会話も「なんだお前殺すぞ」「じゃあお前殺してみろよ」こんな感じです。結構笑いました。
場内は笑いに包まれていました。
ここから先は書きません。皆様方のこの映画を観た時の楽しさ、悲しさ、感動、を奪いたくないからです。
他の二組の関係も最高です。この映画のビジュアル、タイトルから観る前はかなりナメていたのを告白します。その頃の私を殺したい!
映画を観たあと丸善(書店)に行きました原作の漫画を買う為です。しかし見つかりませんでした。勇気を出してレジに行き、お兄さんに聞きました。タイトルが長いのと気恥ずかしいので
買ってきたパンフレットを見せて、聞きました。
「あのう、この映画の原作の漫画なんですが、
有りますか?」お兄さんは快活に答えた。
「 はい!有りますよ!」売り場まで行き。
「最後の一冊ですよ。良かったですね」
なんと平積みにしてあり、低くなっていたので
視界に入らなかったのだ。お兄さんの気持ちが伝わった。(また売れた!また仕入れなきゃ)
映画鑑賞後、本屋に駆け込んだのは「海街diary」以来だ。4コマ漫画で脱力系の絵だ。普段なら絶対に手に取る事のない漫画。会話中心の漫画。
一読してビックリ!今観てきた映画が忠実に再現されている!いや逆か。
きっとこの漫画は私の宝物になる。ギュッと抱きしめたくなる感じだ。
そしてこの映画を見終わった後、なにかが変わるだろう。私は変わった。
沢山お礼を言いたい人がいる。
まず漫画家の世紀末さん。こんな素敵な漫画を描いてくれて、ありがとうございます。好きです。
監督、脚本の小林啓一さん。原作への深い愛情とリスペクトを感じました。ありがとうございます。好きです。
スタッフの皆さん。撮影のソフトフォーカスと逆光素晴らしいです。音楽の使い方もいいです。ロケーションも気に入りました。ありがとうございます。好きです。
俳優の皆さん。瑞々しく自然体の演技。何回も笑い、何回も泣きました。ありがとうございます。好きです。
高く評価して私をこの映画に導いてくれた皆さん。ありがとうございます。好きです。そして今、今です。
私のこの、長文、拙文、駄文を読んでくれている皆さん。お付き合い頂きありがとうございます。好きです。
この映画を本当に観て欲しい方々は三組います。現在高校生の皆さん。かって高校生だった皆さん。これから高校生になる皆さん。しかし一番観て欲しい人がもう一人います。それは・・・
あの夏の日、飽きもせず、ずっとアシナガバチを見ていた私に・・・
フォローありがとうございますm(__)m 傾向似てますか? 私は自分も長文書いてしまうのと 長い文章を読むのは好きなんです(笑) 私もフォローさせていただきます。よろしくお願い致します!
masamiさん 共感をありがとうございますm(__)m! アシナガバチとニホンミツバチのお話 とても面白かったです!ありがとうございます!
この映画 本当にこのサイトの評価の高さを見て 見てみるか〜となったのですが、まさに名作で!ホントに見てよかったと思います!皆さんに感謝です!
masamiさん、私おばさんですから、あんな一途さも強さもありませんよ。ななちゃんはもともとすごくいい子で、れい君に出会ったからそういう所をストレートに出せるようになりましたよね。私は臆病ですから、撫子が気になったとしても声を掛けられないタイプです。
おはようございます。
周りは若い女性が多かったのですが、涙が止まらず本当に困りました。でも、嬉しかったのはこんな素晴らしい作品に出逢えた事です。
今更ながら映画は良いな、と思わせてくれた作品でした。
yuriさんコメントありがとうございます。時間が合わない事、有ります、有ります。あと上映劇場もどうかな?と思います。だって東北って仙台だけ!福島の人にも観て欲しいのに。東北の劇場主様!
お願いします。🙏いや本当に!
アシナガバチって確かに人を観察しています。私が20センチの距離で見ていても攻撃してきません。私は一宿一飯の恩義を感じてるんだなあ、と勝手に解釈しています。
観たいけど、時間が合わなくて・・・
アシナガバチってかわいいですよね。
まだ実家にいた時、私の部屋(二階)のサッシの外枠に、アシナガバチが小っちゃい巣を作りました。アシナガはこちらが仕掛けなければ攻撃して来ないらしいので、驚かさないように隣の部屋からベランダに出ました。そうすると、2匹だけが偵察に来て、しばらく廻りを飛んで、敵じゃないと判るとすーっと戻っていくんです。毎回、必ず2匹。虫は苦手だけど、けなげでかわいいと思って見守ってました。でも、ある朝、粉々の巣と、数匹の死骸が・・・ヒヨドリにやられたみたいです。ヒヨドリもかわいいけども・・・涙
いつもはお一人づつお礼を言います。
この長いレビューを読んでしかもコメントまで頂けるとは恐縮至極でございます。しかもお褒めの言葉まで頂き多謝でございます。
ありがとうございます。好きです。
さて長文の本文ですが、実は言いたい事がまだ有りました。
私は深海監督の「君の名は」に感銘を受け受け過去作も見ました。
「言の葉の庭」が刺さりました。それで物語の舞台でらある新宿御苑の四阿(あずまや)に聖地巡礼を致しました。
三回程通いました。
この話の主旨はそこでは有りません。
三回目に行った時、近くの木にニホンミツバチの巣があり、そこには貼り紙が有りました。
【にほんみつばちが営巣しています。暖かく見守りください】
私は感動しました。
蜜蜂と言っても固有種のニホンミツバチと外来種のセイヨウミツバチがいます。
ニホンミツバチは外来種のセイヨウミツバチに押され、青息吐息なのです。
そして近くてにアシナガバチがいます。しかしウロウロしているだけです。
何故でしょうか?
タイマンではニホンミツバチは勝負になりません。なにしろアシナガバチは毒針を何回でも使えますし、体長も二倍以上有ります。しかしニホンミツバチは偉大です。
アシナガバチを殺す力が有ります。
それは何でしょうか?
実はニホンミツバチはあの、オオスズメバチを殺す力も有ります。
どんな力でしょうか?
昆虫は生存できる温度が有ります。それがニホンミツバチは高いのです。ですから他の食肉性の蜂が本丸の巣に攻撃を加えた時、多数が集まり、体を振動させて温度を上げて蒸し殺すのです。
凄いですね。ちなみにセイヨウミツバチは、傍観しているだけです。
これを蜂球と言います。
凄いですね。
おはようございます😃オススメの映画ありがとうございます。長い文が読むことはできないのですが自分が変われる映画はとても興味があります。是非、観てみたいと思います。。。☆チェックします(笑)
パンフレットのインサイドストーリーの所の最後に、それらしき事が書いてあります。
私は原作を知らないので、パンフレットを見るまでデーモン小暮さんをイメージしちゃってました。
それにしても、masamiさんのレビューは素敵ですね。しかも文章がお上手。読み入ってしまいます。
とらこさんへ。
簡潔にして要を得た手紙の見本ということで歴史的に名高いカエサルの名言『来た、見た、勝った』みたいでいいですね。
是非、映画も、観たく、ではなく『観た!』となるよう祈ってます。
毎度どうもです。
一番共感できたのが「50代で死ぬなんて、若いのに・・・」というセリフ。俺も高校生の頃は「そうなの?」と思っていましたが、最近では70くらいで亡くなった方も「若いのに」と言ってしまってますw
ななちゃんが弔ってくれた〝ハッチ〟はmasamiさんが観察されていたのと同じ
種のアシナガバチだったのですね。なるほど。
誰かに伝えたくなる…これもまたなにかが変わることのひとつかもしれないですね。
旅先で出会った素晴らしい景色。
誰かに伝えたくて、スマホで写真や動画を何枚も撮っては再生してみるが、自分の感じたものの半分も伝わらない。
そんなもどかしさに近いのかもしれません。