カスリコ
劇場公開日:2019年6月22日
解説
昭和40年代の高知県土佐を舞台に、裏社会で生きる人びとの姿を描く人情ドラマ。高知在住の脚本家・國吉卓爾がシナリオ大賞に入賞した脚本を高知全編ロケ、多数の高知出身俳優出演で映画化。賭博にのめり込み、高知一とも言われた料理店を手放して身を滅ぼした岡田吾一。途方に暮れる吾一の前にヤクザの荒木五郎が現れる。五郎は吾一に賭場で客の使い走りをして、わずかばかりの祝儀を恵んでもらう「カスリコ」の仕事を世話してやるという。物乞いのような仕事ではあるが、行き場のない吾一はカスリコとして再び賭場に出向いてく。吾一はプライドを捨てて懸命に働くが、賭場の人びとの生きざまを目の当たりにしていく中で、人生を賭けた最後の大勝負に挑む。吾一役を石橋保、五郎役を宅麻伸がそれぞれ演じる。監督は殺陣師としても活躍する高瀬将嗣。
2018年製作/114分/PG12/日本
配給:シネムーブ、太秦
スタッフ・キャスト
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高知八幡の石段の画から始まる。昭和四十年代。まだ、博徒の世界にもルールが行き渡っていた頃の話。一般人も礼儀さえわきまえて居れば安心して遊べた時代。故に、昭和四十年の初頭の話なんだと気づいた。博徒の話ではなく、手本引きで普通の生活を失った男の復活劇。このゲーム(博奕)の面白さは読みの深さにある・・・今までのヤクザ映画で描かれた賭場のシーンがまるで子供騙しの紙芝居のようだ。人生を賭けている訳ではなく、ただ金を賭けているだけなのだ。心底、ゲームを愉しんでいる姿が映し出されているこの映画はたぐいまれないエンターテーメントだった。手本引きをやってみたくなった。そんな気持ちが正直なところだ。そして、過ぎてしまった多くの事柄に、自分なりに決着を付けて終われる人生ほど素敵なことはない。
大概の人は、ある日突然半ズボンを履いたピンクの像が表れて幕を引いてしまったりするもの。六十歳を超えた男はこの映画を是非とも見て欲しいと、切に思った。
2019年8月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
いい題材。土佐の地方感と昭和感もいい。しかしもっと湿っぽく、錆びっぽく、饐えた感じがあるとさらによかった。どこをとっても清潔な感じがして残念。極道の世界なのに。教訓めかす必要はまったくないが、博打の恐ろしさがほとんど描かれないことが、映画の魅力を決定的に弱めている。
高橋長英がいい役所。宅麻伸もいいね。初めて見たけど石橋保、割といい芝居する。
2019年7月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
任侠映画でチラッと映る賭場の「手本引き」をじっくりとみせるがヤクザ映画ではなく派手な喧嘩アクションも濡れ場もない。
そんな地味な内容で二時間弱も持つのかと思ったら全然飽きる事なく没入出来た。キャスト全てが活き活きしてるのと小規模公開の映画によくある安っぽさが皆無。
当時を知る地場の実業家が脚本を書き、当時を偲ばせる場所を高知で見つけて撮影。
メインキャストではないが高知出身の役者さんも出ているとか。
モノクロが昭和40年代の雰囲気を醸し出す。毛羽立った衣装の感じもいい。
大場由祐子の着物だけはカラーでなくて勿体無いけど。ラストシーンのカラーは蛇足、長いお勤めいうて3年で出てくるならシーンごと削除してもええくらい。
薩摩琵琶と尺八の劇伴もいいし
よさこいの民謡も良かった。
2019年6月22日
Androidアプリから投稿
昭和40年代の高知で賭博により店を潰した高知一とも呼ばれた料理人が手本引きの盆でカスリコと呼ばれる小間使いをする話。
嫁と娘を実家に帰し、料理人以外の仕事を探すも中々見つからず、知り合いのヤクザの紹介で盆の乞食とも呼ばれるカスリコになるところから始まっていく。
人柄は良いし仕事は出来るし博打さえやらなければ…という主人公の人情と性をみせていく。
ほぼ全編モノクロな上に、男臭く哀しい昭和っぽさとハードボイルド感が格好良かった。