mid90s ミッドナインティーズのレビュー・感想・評価
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「危うい青春物語」としては王道的な展開だが、選曲と映像の切れ味が印象深い作品。
本作は、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)などで個性派、というよりもコメディ色の強い俳優として高い知名度のあるジョナ・ヒルの初監督作品です。
まず上映前に、スクリーンの左右の紗幕が大きく内側に寄ってきて、ちょっと意表を突かれました。白く浮かび上がる画面はほぼ正方形のいわゆるスタンダード・サイズ。これは本作が16mmフィルムで撮影されたためです。しかし1990年代には、既にビデオカメラが普及していて(本作に登場するフォース・グレードが愛用するカメラのように)、16mmフィルムの粗い調子がそのまま当時の時代に直結している訳ではありません。恐らくジョナ・ヒルは当時の雰囲気をそのまま再現するというよりも、スケートボードに熱中しつつもそれぞれの事情を抱えて、心理的には袋小路に陥っている彼らの心象風景を描出するのに、16mmフィルムが適していると判断したのではないか、と推測しました。
13歳の少年スティービーは、粗野な勇気を見せつけて、スケートボードの輪に加わるだけでなく、少年ギャング的な世界にも入り込んでいきます。もちろん、いくら仲間に気に入られようとも、彼は年端のいかない子供。その行動は危うさを増し、やがて事件へと発展していきます。
展開そのものはあまり意外性はないのですが、ジョナ・ヒルは少年達に対する郷愁的な共感を封印して、時には鋭い切れ味で彼らの姿を描いていきます。スケートボードやヒップホップを中心とした選曲など、本作にはヒル監督が影響を受けた要素を盛りだくさんに詰め込んでいますが、彼自身の自伝的な物語を描くつもりはなかったそうです。とはいえサニー・スリッチ演じるスティービーや、ファックシット、そしてフォース・グレードなど、それぞれ魅力的な人物からは、ヒル監督の様々な側面を見出さずにはいられません。ルーカス・ヘッジスは『WAVES』とはまた異なった役回りですが、家の中でしか居丈高になれない哀れな青年を見事に演じています。
パンフレットはデザインも紙質も素晴らしく、ジョナ・ヒル監督のロングインタビュー、映画で登場したロサンゼルスの各所の解説、プレイリスト、写真集など盛りだくさんです。本作をより深く理解する上で、必携の資料でしょう。
登場人物は魅力的だった
映画を観ているようで自分の幼少期を観ている
家族の呪縛から解放される年上のお友達との交流のなかで、無茶しちゃう男の子のお話。
▼いま30代ぐらいの人は、がっつり自分の幼少期を追体験して主人公に感情移入できちゃう
▽スーファミ、プレステ世代泣かせ
(最初に主人公がやってたスーファミのゲーム、エフゼロだよねたぶん)
▽日常を淡々と映す映画をぼんやり眺めつつ、心の中では自分の幼少期を見ている自分がいる
▼年上の友達に気を遣われる事のいたたまれなさだったり、一目置かれたいがために無茶して痛々しい感じ、すごいわかるなぁ。
▽男コミュニティあるあるの連続。
▼国も環境も違うのに、こんな共感できるのはなんでだろう。
▽家族からの呪縛から解放される瞬間、縦社会にいきなりブッ込まれる感、自分でコントロールできない些細な人間関係の対立、はじめて身近で感じた死、なんだかんだ家族に有難みを感じる瞬間。
▽そういう幼少期の記憶は、万国共通んl普遍的なものなのかも。
▼油断したらすぐエモいって言っちゃいそうな、フィルムライクな絵、4:3の画角だったり、今の時代からみると、レトロな視覚表現がすごく魅力的に映る。
▽でも、そういう表面的な魅力以外の、本質の屋台骨がすごいしっかりしてるから、単なるお洒落エモ映画には収まらない、不思議な威力がある。
▼出演者が誰一人知らない人だったのも良かった。
▽黒人の年長パイセン頼りになるーぅ!!
▽カメラマンくんのニキビ感リアルー!!
▽リアルに生きている人を、ただ目撃している感覚になる。作り物感が全然ない。
▽そして、自分が子供だった頃を追体験できる。
▽映画というより、体験装置。本当にタイムマシン的にかっさらわれる。あっちゅうまの90分だった。もっと浸っていたい感。
▼文句なしのベストエンディング大賞。
▽タイトルのよさにじわる。
(以下ネタバレ気味)
▼一見だらだらしたシナリオにみえるけど、綺麗な三幕構成になってると思う
①スラムのお友達とつるんで家族の呪縛から解き放たれて大興奮の主人公
↓
②スラムのお友達とつるむには、すべきことが多いし身体的にもヘビーで疲弊していく
↓
③主人公にとっての家族の見え方がちょびっと変わる&お友達との家族的な関係が成熟する
友達が家族。
兄に虐待されてる主人公スティービーがスケボーのコミュニティに入って、家族のような絆を築いていく話。
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今流行りの90年代を舞台にした少年の成長物語。私にとって90年代は生まれた年だけど、ブラウン管は知ってる世代なので、この映画の狭いアスペクト比にはかすかに懐かしさを覚えたよ。
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この映画見た後に男の子が自分にも小さい時に面倒見てくれる近所のお兄ちゃんがいて、コンビニでエロ本とか見せてくれてたんだよ!って興奮して話してて、この映画男性が見た方が共感できるのかな。全員がコンビニでエロ本見せて貰ってたわけじゃないと思うけど(笑).
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でも友達とか部活の先輩とか近所のお兄ちゃん何でもでも、家族じゃない人に成長させてもらえたって経験誰にでもあると思う。友達には家族には話せない話はできたりするし、友達の方が自分の良いところをちゃんと分かってたりする。
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今日『スタンド・バイ・ミー』を見てより思った。あれもリヴァー・フェニックス演じるクリスが、主人公のものを書く才能をちゃんと分かってたり、お互いがお互いの兄ちゃんみたいな関係だったよね。子供は親の知らないところで成長していくんですねえ。
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A24なのでハズレません。是非。
見る順番間違えたな
初体験のあとのことが丁寧に描かれていた。
手に取るように理解できます・・・
冒険したいお年頃
遅ればせながら鑑賞。
13歳の少年が、思春期に入り少し悪っぽいグループに憧れて仲間入りしたことから巻き起こる青春物語。
いやぁ、男ならわかりますよねぇ…。所謂中二病とはちょっと違うけど、大人に反抗したりタバコ吸っちゃったりしてるのがカッコよく見える時期ってのは誰にでもあったのではないでしょうか?
何となく、主人公スティーヴィーは私と少し似た環境下の思春期を過ごしており、感情移入できる主人公歴代№1です。
とは言え、単なる憧れだけではなく、弱弱しい自分を変えたいと実際に行動にでた所は私とは全く違う。「世間的に」良いか悪いかはともかく、そんなスティーヴィーは立派に見えた。
兄貴はとても暴力的で、お世辞にも良い奴とは言えず。
イキった雰囲気を纏いつつも、オレンジジュース愛飲者で、暴力以外では弟に優位に立てない可哀そうな人物…って所が印象的だった。
それでも、最後のやり取りに救いがあったのはグッド。
その他にも、息子に悪い友達と付き合ってほしくないお母さん、自分のポジションが取られそうになるルーベン、それぞれの事情を抱える他の3人…等々、登場人物の殆どに感情移入できるのがまたすばらしい。
とにかく、タイトルの通り、90年代のストリートムービーって雰囲気は抜群だった。
ベタな言い方だけど、少年が少しだけ大人になっていく過程を良く描いていたと思う。
後日談が気になるところ。これからも…なのかあるいはこれをきっかけに…なのか。
最後の終わり方もおしゃれでホッコリで良かった。
因みに私も十代の頃、友達に借りてスケボーにチャレンジした経験アリ。
…だけど、何故でしょう。乗った瞬間からボード板だけ先に行っちゃって自分は足を持っていかれた形で後方にステンッ!…と(笑)
本作を見て、改めて自在に操れたらどれだけ楽しいだろうな~と思ってしまった。
それと、ビデオカメラって絶対靴下より高価だよね?
これは自分には合わなかった
タイトルなし
予告を目にする度に期待値が上がっていたものの、この少年の年代のストーリーに果たしてついて行けるのか??とずっと不安だったんです。が、そうか、90'sだった!って思ったら楽しい気持ちで鑑賞できました。
全編にかかる曲もほぼ聴いたことの無い曲でしたが、違和感なく観られたのは音楽と映像が見事にリンクしてると感じられたからかな。
“Seal”が流れた時はかなり上がりましたけど。久々に耳にしたこともあったけど流れてくるシーンが良かったなぁ。スケボーのシーンじゃななかったからかな。まぁスケボーには合わん曲だわな。
主人公スティーヴィー
(サニー・スリッチ)の視点と
仲間たちからみた視点、
兄ルーカス・ヘッジズの視点、
母キャサリン・ウォーターストンの視点、出演してる全員の視点からみえる90年代がとてもわりやすく描かれているのも共感しやすかったのかもしれません。
アレクサ・デミーちゃんたちの女子グループからの視点もまさに思春期わちゃわちゃだったし。
その視点の中でさほど描かれていなかったフォースグレード。
彼の視点がどう出てくるのかと思っていたら、あんなところで!
ジョナ・ヒル恐るべしです!
サニー・スリッチ君、
ランティモス監督の「聖なる鹿殺し」の時は気が付かなかったけど、目が物凄く綺麗で、LAの青空のような色していて吸い込まれるかと思いました。
スケートボード場で見せた、彼女達を見つけたときのサニーの一瞬の表情なんて最高だったし。
兄を演じたルーカス君も良かった。
閉鎖的な性格を演じたら彼の右にでるものはいないんじゃないかってくらい。
初めは、彼の行動が共感出来なかったけど、彼なりに家庭環境を見つめながら生きてきたんだなとわかるセリフがあって理解できた。
そして1番はレイ(ナケル・スミス)
スティーヴィーの接し方がよかった。
彼が一番現実を見てるからだよな
二人のシーンは素晴らしくて、スティーヴィーがレイのお陰で3歳くらい大人になれたんじゃないかな。
思春期を16mmフィルム通してみせる感覚と、時代背景にある陰の部分もさらりと描く、映像と内容のバランスよき、おっちゃんも楽しめる作品でした
鑑賞した後は、この作品のポップアップストアーがPARCOの1階にあったので思わず、Tシャツ買っちゃいました。鑑賞帰りに寄ると気持ちが更に上がります、よ。(ストアーは10/4までみたいです)
この作品も、もう一度観たいなぁ。
生成長の途中のお話
スケボー&ヒップホップ!
俳優のジョナ・ヒルが初監督を務めた、自身の半自伝的映画。
なかなか良かったです。
ジョナ・ヒル自身の思春期の心情を再現してたのか、主人公の心情は繊細に描かれていて、尚且つ映像の質感で90年代のアメリカをノスタルジックに映していました。
スケボー仲間の黒人レイ達の交流が、ヤンチャながらも少し光って見えました。
ただ、中途半端なラストによって主人公と兄貴の関係や母親との確執、それからスケボー仲間のファックシットの女性と酒問題等が上手く描かれてないように感じて、そこにかなり物足りなさを感じてしまいました。
思春期の主人公の心情を映した映画としては清原伽耶主演の「宇宙でいちばん明るい屋根」にも共通してる部分もありますが、あちらの方が主人公と周りの関係性を丁寧に描かれていた気がするし感動も大きかったです。
青春サバイバル!
日本でも年に何回かティーンエイジャーが無茶な運転で全員即死、みたいな悲惨な事故がある。本編のストーリーとは逸れるけど。内面のモヤモヤ回り道じゃなくて、体を張った仲間付き合いは本当に命がけ。エスカレートするから。チキンになりたくないから。寂しいから群れるのか、群れるから寂しくなるのか。私は孤立タイプだったから、こんな青春もありなんだな、と羨ましい。命さえ無事なら、座学より、体験からしか学べないことだらけだって、大人になればわかるから。
主人公のサンバーン(仲間内に付けてもらった誇らしいニックネーム)、天使のような造形の顔立ち、こんな子どもが?って違和感よりも、大人が思っているよりもずっと早い子ども時分から、子どもの中にはワルが目覚めてるんだっていうことを伝えるのには絶妙なキャスティングだったと思う。
いいお家と思われるインテリアも何だかフリフリしていて野暮ったい。90年代ってこんなだったっけね。ソニーのハンディカムが大活躍。ソニー、二十一世紀は出遅れてしまったね、残念。
若手俳優初監督作品にしては優れている
ジョナ・ヒル初監督作品というのが売りになっている作品。暴力的な兄と母と暮らす小柄な13歳が主人公。兄から逃げ、近所でスケートボードをする年上のグループに惹き込まれ、仲間に入れてもらう。そのグループには金持ちの息子もいれば貧しい努力家、無口でビデオ撮影ばかりしている子、主人公スティーヴィーと年が近く、彼をライバル視している子もいる。そんな中で成長するスティーヴィーを、1990年代半ばのカルチャーとともに描いている、という映画。
スケボーと音楽の疾走感あり、十代の悩みと成長、友情あり、90年代へのオマージュあり、見ごたえはあった。
思春期の痛みはきっと無駄じゃない。
最後のレイの言葉
stretch
ストリート的青春
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