さらば愛しきアウトローのレビュー・感想・評価
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いやー、いいねー
50歳以上の方は、ロバート・レッドフォードといえば、それぞれに映画の名前が出てくるだろう。二枚目俳優の殿堂入りで、数々の批判はあれど我々を楽しませてくれたのは、間違いない。
私にとってはまずは「スティング」ですね。本作では役名はタッカーだが、「スティング」ではフッカー。彼の持ち味の軽妙洒脱な軽口と、茶目っ気たっぷりの目つきは、昔も今も変わらない。「遠すぎた橋」もよく観たなぁ。「明日へ向かって撃て」はもとより。
どうしても郷愁漂ってダメですね。
映画の内容は、「黄昏ギャング」と呼ばれる老人3人組の銀行強盗。強盗とはいっても、窓口で脅すだけで決して暴力は振るわない。被害者は皆、紳士だったと口を揃えていう、不思議な強盗の物語。主人公タッカー含めた3人組は、次々と銀行を襲い(?)、犯行を重ねる。
そんな仲間を演じるのは、こちらも名優ダニー・クローヴァー。リーサル・ウェポンシリーズで、メルギブソン演じる破天荒な刑事の相棒役は、強烈な印象で残っている。他にも多数の映画でがっちり脇を固める、名バイプレイヤーだ。
もう一人はなんとトム・ウェイツ。ロッド・スチュアートにもカバーされ、テレビドラマの「不毛地帯」のエンディングソングにもなっていた"トム・トラヴァーズ・ブルース"は、大好きな歌だ。懐かしいなぁ。
あーまた、郷愁漂ってしまった。
まあ、そういう映画ですよね。
あ、そうそう。個人的に注目のケイシー・アフレックがまたいい味出してました。
枯れた名作
名優の最後を飾るのにふさわしい名作!これぐらい枯れた映画が今の私には非常にちょうど良かったです・・・。
フィルムで撮られた独特の空気感が往年の名作を思わせ非常にノスタルジーに浸れる映画です!
鬼ごっこを楽しむように、懐かしむように
ロバート・レッドフォード本人が、俳優として最後の出演作と明かした今作。
"引退作"という響きだけで何だか物悲しくなってしまいます、、、
といっても、作品の内容はとても明るく幸福感を感じました。
彼自身も「演じる役にぴったりだと確信した」という七十四歳の銀行強盗は、
茶目っ気のある紳士、銃を使わない、という点で『明日に向って撃て!』のブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)に近そうですが、
ニヤリと笑う顔や、仕事の流儀、
「馬には乗ったことがない」と話しつつ、ちゃっかり(?)と乗ってしまえる格好良さ、
(別の作品にはなりますが)海洋でも生き抜こうという、自分の人生への確固たる執念、
そんな魅力がありありと感じられました。
ルパン三世のカリオストロのごとく、車のトランクに詰めた強盗札をまき散らして逃げる場面と、
捕まっては脱獄を繰り返し、その記録を恋人ジュエルに見せる場面では、
まるで鬼ごっこを楽しむような興奮を覚える一方で、
それを懐かしむような哀愁と、
ロバート・レッドフォードの最後の思い出となることへの寂しさが込み上げてくるようで、
泣きたいような切ない気持ちになりました。
彼に応えるように追いかけることを楽しむ刑事(ケイシー・アフラック)や、
デート中の買い物でもちゃんと正しく導いてくれる憩いの恋人(シシー・スペイセク)など、
主演以外にも、本当に上質で素敵な作品です。
たぶん、おそらく、十中八九、お洒落でノスタルジックな映画
たぶんこれが最後の出演作になるという作品。
十中八九事実に基づくという『黄昏ギャングと銃』の物語。
一度も使われない一丁の銃と革のバックだけで銀行強盗を繰り返す主人公。
セキュリティーがゆるゆるの50年代から80年代に掛けて、捕まること16回、脱獄すること16回!
真っ当に生活するより、今をギリギリで生きる事を選ぶ主人公の前に、一人の「宝石」のような女性が現れ…
17回目に捕まった時、男は刑期を全うして女性の元に…
しかし、その後も銀行強盗は辞められず、4回目に捕まった時、やはり男は笑っていた。
全編、ロバート レッドフォードの品の良さと軽妙さに溢れ、お洒落でノスタルジックな映画に仕立て上げられている。
伝説の銀行強盗フォレスト タッカーと刑事ジョン ハントの追い掛けっこ。
二人とも好きなことに人生を掛けている似た者同士と、ハントの妻は言った。
おそらく、ロバート レッドフォードも映画作りが好きで辞められず、そんな自分と主人公を重ね合わせて、この物語を最後の出演作に選んだのではないか。
そう考えると、出演作は最後かもしれないが、彼の映画作りはまだまだ続きそうだ。
Probably,last 4 new movies, I will.
*″probably″ (劇中何度か出てくるセリフ); たぶん、おそらく、十中八九
皺の数だけ人生がある
久々のレッドフォード主演作品。想像以上にしわだらけの顔に、あの二枚目の若者が長い人生を歩んだ時間が刻まれているんだなぁと、ちょっと感慨に浸りながら映画を味わいました。
そう。「味わう」という言葉がぴったりのこの作品。派手なアクションがあるわけでもなく、残虐なシーンもない。言ってみれば数あるレッドフォードの映画の集大成と言ったところか。まさにこの役どころにピタリとはまっているよう。
作品はユーモアとウイットに富み、ゆっくりとした時間の中で綴られていく。銀行強盗自体は決して良いことではないのは当たり前なんだけど、そういう次元とは異なる視点で描かれていく物語によって、メジャー系にはない、インディーズ系の心地よさを味わうことができました。
り込みすぎて微妙な食い合わせに
ロバート・レッドフォードの引退作とい
う事で、ひたすら彼へのリスベクトが詰まった作品。
おじいちゃんになっても、格好良く、ジェントルで、セクシーで、愛嬌がある、魅力たっぷりなロバート・レッドフォード。
老いらくの恋のお相手、シシー・スペイセクも、お婆ちゃんながら、明るく活発で、少女のように恋にときめく可愛らしい女性像を見事に演じている。
非暴力の強盗・タッカーを追う刑事ハントとの、ライバルを認め合うような複雑な心情と関係もいい。
反面、物語としては、少々食い合わせが悪かったというか…。
暴力に訴えず強盗と脱走を成功させるカタルシス、老いて尚現役を志し続けるプライド、孤独と老いの寂しさ…のようなものを盛り込みたかったんだと思うが、いかんせんやってる事は銀行強盗、動機は自らの快楽なので。
例えば、西部劇のような無法地帯でやんちゃで自信家の青年が若気のいたり、みたいなのだったり、体制に反発してわざと法に反する行為を繰り返す、とかだったら、カタルシスは得られたかも知れないし、レッドフォードの最後の勇姿と老強盗を重ね合わせて、しんみりしたりもしたのだが、老いを共にするバートナーを得て、尚衝動的とも言えるような犯罪を止められなかったというのは…。
これはもはや病気なんだな、と、爽快に思うよりなんだかゾッとしてしまった。
こういう人は、他人と家庭を持ってはいけないだろう。時に寂しさ心潰える事もあるのは解るけれども。
クライムものと老いのテーマが、悪い方に相乗してしまった感じ。
もっと『愛しの』と思える方向に舵をとる方法はあったように思う。
実在人物を下敷きにしているだけに、余り派手な創作要素は付け加えられなくて、リアルに寄った描き方になったのかも知れないなぁ。
私にはどうにもスッキリできない作品だった。
妙な雰囲気だった。 強盗の話なのに緊迫感ゼロ、ゆるっと余裕たっぷり...
妙な雰囲気だった。
強盗の話なのに緊迫感ゼロ、ゆるっと余裕たっぷりな強盗犯にまったりと喋る刑事。
スクリーンの向こうの楽しげな雰囲気に、強盗って悪い事でしたよね?ってこちらの感覚を疑いたくなる程。
繰り返す脱獄と強盗、あれだけ執着してるんだから、本質を生き抜くしかないんだろう。関わった人にそう思わせる、妙な説得力。
スカッとした終盤がクスッと笑える。
生きて行くにはときめきが必要〜
冒頭に説明文が表示されてそこに
「これ も 実話」
もしかしたらアメリカではクリント・イーストウッドの
「運び屋」と公開時期が近かったのかな?
「明日に向って撃て!」で
銀行強盗を繰り返すアウトローや
「スティング」でちょいと小粋な詐欺師を演じた
レッドフォードにとって
誰も殺さない小粋な爺さんの銀行強盗!!
この実話の映画化は彼しか出来ない役ですね。
正直、
結構顔がシワシワで、若干くたびれ感があるけど
そこがこの映画の肝でもあるのでご愛嬌ということで。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
逃亡の途中で知り合う女性を演じるシシー・スペイセクが
いい感じのおばあさんでなかなかに綺麗。
お互いに生活に追われていない二人の出会い
ちょっとカッコイイおじいさん〜
年取っても小綺麗なおばあさん〜
でも二人にとっては自分の歳なんか
きっとどっかに飛んで行ってしまってる。
なんか良いなあ〜
人生にはときめきが必要〜〜
そのときめきの方向がちょっと間違ってるけど
最後まで現役でいようとする心意気は無くしたくないな〜
ちなみにシシー・スペイセクは
1976年のブライアン・デ・パルマ監督の
オリジナル「キャリー」の主演女優です。
怖いもの苦手の私が唯一観られる青春サイコホラーの名作なので
興味のある方は是非!!
@もう一度観るなら?
「ネット配信とかで〜〜」
「明日に向かって撃て!」「スティング」へのオマージュもある
自ら引退作品と公言している、名優ロバート・レッドフォード(82歳)の最後の主演作だ。
この笑顔が見られるだけで、手放しで"最高!!"と断言してしまう、究極のファンムービーである。60年の俳優生活は、まさにアウトロー役の映画「明日に向かって撃て!」(1969)でブレイクし、本作では初老のアウトロー役で締めくくる。
本作は1980年代、アメリカ各地で銀行強盗を繰り返した実在の人物・フォレスト・タッカーの話である。強盗なのに、一度も発砲をしたことがない。暴力を振るったことがない。紳士的に振る舞いながら、颯爽と犯行を成し遂げる。
逮捕も16回されたが、脱獄・脱走も16回。笑顔で銀行強盗を続ける理由は、"楽して生きるより、楽しんで生きたいから"という独自のスタイルを貫く。タッカーを追跡した捜査官さえも魅了した、不思議な犯罪者である。
映画冒頭のクレジット。"THIS STORY IS, ALSO, MOSTLY TRUE."(これもまた、ほとんど真実の物語です。)・・・もう嬉しくて笑いが止まらない。
これは同じく銀行強盗の最後を描いた「明日に向かって撃て!」(1969)の、冒頭クレジット"MOST OF WHAT FOLLOWS IS TRUE."(ほとんど真実の話です。)を踏まえた、"引用"である。
さらに終盤、フォレスト逮捕後の病院シーン。ジョン刑事がドル紙幣を返し、鼻に指を当ててサインを送るのは、アカデミー賞作品の「スティング」(1973)へのオマージュである。主人公は実在の人物名"タッカー"であるが、「スティング」の詐欺師役は、"フッカー"だった。
暴力ではロネガンに勝てないフッカーも、先輩ゴンドーフとともに"頭で"勝負したアウトロー。偶然とはいえ、名前の発音が似ていて面白い。
さて共演者たちも、ロバート・レッドフォードが選んだとも考えられる名優揃い。
主人公のタッカーを追う刑事役はケイシー・アフレック(2016年のアカデミー主演男優賞)。また、犯罪者と分かりながらタッカーと恋人関係になる女性役にシシー・スペイセク(1980年のアカデミー主演女優賞)。強盗仲間にトム・ウェイツ(ミュージシャン&俳優)とダニー・グローバーという唸るような布陣。
監督は「セインツ -約束の果て-」(2013)や「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」(2017)のデビッド・ロウリー。
俳優引退作品とはいうものの、米国での公開順では(カメオ的ではあるが)、「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)が"最後"になった。それに監督業は続けるというので、まだ監督作品での脇役復帰は期待できるかも。
ロバート・レッドフォードの最後の勇姿は爽やかで、俳優という仕事に人生を捧げたレッドフォードと、アウトローながら同じく人生を楽しみ尽くした主人公の人生観が重なってくる。
(2019/7/13/TOHOシネマズシャンテ/シネスコ/字幕:齋藤敦子)
私もお金を入れてしまうわ
監督のシネフィルと、人と人との「尊敬」の気持ちが溢れている傑作。
アメリカンニューシネマのような落ち着いたムード。心踊るアウトロー。ラジオのつまみをひねると名曲「ローラ」が音量を上げ、二人で観る映画にはモンテヘルマンの「断絶」が登場。デートの後の忘れ物(キス)。車のトランクから紙幣が飛び散らばるシーン。そして夕陽のガンマンのポーズ。etc…
そうなのだ。私たちはこうした素晴らしい映画たちに育てられたのだ。自分を育ててくれた映画の、その最前線にいたレッドフォードとお別れしなきゃいけないなんて。
長い間の感謝と尊敬が丁寧に丁寧に描かれている。だから泣きそうになるのだ。目には見えないものを映し出す繊細な視線を持つデビッドロウリーは、間違いなく天才だ。
それにしても、こんな魅力的な強盗なら誰だってお金をバックに入れてしまう!レッドフォードにしかできない役です。
泥棒紳士に愛をこめて
ロバート・レッドフォード俳優引退作。
クリント・イーストウッドの「運び屋」を観たときも感じましたが、往年の映画スターが、燻し銀の輝きとキャリアを総括するような渾身の演技で魅せてくれました。これぞ“映画”と言える新たな名作だなぁ、と思いました。
独自の流儀を最後まで貫いた実在の銀行強盗、フォレスト・タッカーの生き様を通して、「人間、如何に生きるべきか?」という問い掛けが強く胸に迫って来ました。
フォレスト・タッカーに強盗に入られた銀行の職員は口を揃えてこう言いました。「すごく紳士でした」と…。銃は最初に見せるだけ。決して発砲しない。誰も傷付けない…。
自らに課した掟を守り通して、自分の好きなことに全てを捧げたフォレストの生き様は、自然と演じるロバート・レッドフォード自身の俳優人生と重なって来るようでした。
「楽に生きるのではなく楽しく生きる」―。
主人公の美学を端的に表現したセリフが胸に沁みました。
人生、好きなことばかりをやって生きていくのは困難を伴いますが、繰り返す日々の中で何かに情熱を燃やし、挑戦し続けていくことが、生きる醍醐味なのかもなぁ…。
※鑑賞記録
2020/07/12:WOWOWシネマ「W座からの招待状」(2回目)
楽しく生きる
「明日に向かって撃て」「スティング」「華麗なるギャツビー」「大統領の陰謀」「追憶」「遠すぎた橋」「愛と哀しみの果て」「ナチュラル」最近では「キャプテンアメリカ」そして監督して「普通の人々」「リバー・ランズ・スルー・イット」「クイズショウ」そしてサンダンス映画祭の主催者…ありがとうレッドフォード…
黄昏の風景
牧場を見渡すジュエルの家の窓辺の映像は、ワイエスの絵のようだった。
優しかったりくだらなかったり、ちょっと可笑しい台詞が、しっとりとした映像に乗っていて、デイビッド・ロウリー監督のセンスは抜群だね。ウォラーのクリスマスが嫌いな話とか、タッカーとハントのトイレの会話とか、最後のタッカーがハントにかけた電話のシーンとか、本当に面白かった。
キンクスの Lola とか、モンテ・ヘルマンの「断絶」なんかもニヤッとしてしまった。
それから、レッドフォードをものすごく丁寧に撮っていて、リスペクトが伝わってきた。レッドフォードが自分の最後の出演作を若いロウリー監督に委ねたのも、彼の映画への愛情なんだろう。なんかこう、大事なものがちゃんと受け継がれた感じがしてすごく良かったなあ。
ロバート・レッドフォードの微笑みは破壊力抜群
名優ロバート・レッドフォードの俳優引退作である本作は、彼の佇まいや存在感、微笑み、ユーモアをたっぷり堪能できる素敵な作品でした。
銀行強盗でありながら誰も傷つけず、被害にあった銀行関係者に「紳士だった」「幸せそうだった」と証言させてしまうフォレストがとにかく魅力的です。「楽に生きるのはつまらない、楽しく生きたい」と話したとゆう生き様がめちゃくちゃカッコいい!彼を知れば知るほど惹かれていくので、警察やジュエルの気持ちが分かります。
温かい魅力とユーモアに溢れる素晴らしい作品。ロバート・レッドフォードに乾杯!
御大!
いや~、メッチャ久しぶりの
レッドフォード映画、古の昔ぶりか?
当たり前だけど ヴィジュアルは驚く程シワクチャじじぃ。だけど演技はコクがあって面白い。流石ですわ!引退か!まあ、悲しいけど生きててくれて、ありがとー。
独りよがりに楽しむ
実在の人物の物語。最初は「小粋なじいさん」が、淡々と静かに事件を繰り返して行く印象。時代もあるのだろうけれど、追う方も含めてどこか牧歌的ですらある。そんな彼を演じるレッドフォードも当然と言えば当然なのだが、素晴らしい。綺麗な二枚目だけをやってきたわけではない、何処とない不穏さが彼の魅力を引き上げる。
そして、スピード感を失わずも淡々と進んでいった先に、なるほど!という、パズルのピースがはまる様な爽快感が突き抜ける。なるほど。だからこそのロバートレッドフォード。ありがとうロバートレッドフォード。で、ございました。
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