劇場公開日 2019年7月12日

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「鬼ごっこを楽しむように、懐かしむように」さらば愛しきアウトロー ウマノホネさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鬼ごっこを楽しむように、懐かしむように

2019年7月28日
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鑑賞方法:映画館

ロバート・レッドフォード本人が、俳優として最後の出演作と明かした今作。
"引退作"という響きだけで何だか物悲しくなってしまいます、、、

といっても、作品の内容はとても明るく幸福感を感じました。

彼自身も「演じる役にぴったりだと確信した」という七十四歳の銀行強盗は、

茶目っ気のある紳士、銃を使わない、という点で『明日に向って撃て!』のブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)に近そうですが、
ニヤリと笑う顔や、仕事の流儀、
「馬には乗ったことがない」と話しつつ、ちゃっかり(?)と乗ってしまえる格好良さ、
(別の作品にはなりますが)海洋でも生き抜こうという、自分の人生への確固たる執念、
そんな魅力がありありと感じられました。

ルパン三世のカリオストロのごとく、車のトランクに詰めた強盗札をまき散らして逃げる場面と、
捕まっては脱獄を繰り返し、その記録を恋人ジュエルに見せる場面では、
まるで鬼ごっこを楽しむような興奮を覚える一方で、
それを懐かしむような哀愁と、
ロバート・レッドフォードの最後の思い出となることへの寂しさが込み上げてくるようで、
泣きたいような切ない気持ちになりました。

彼に応えるように追いかけることを楽しむ刑事(ケイシー・アフラック)や、
デート中の買い物でもちゃんと正しく導いてくれる憩いの恋人(シシー・スペイセク)など、
主演以外にも、本当に上質で素敵な作品です。

ウマノホネ