ヘイト・ユー・ギブのレビュー・感想・評価
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黒人差別をしている警官こそが見なければならない映画
何年か前、アメリカでドライブ中に映画に出てきたようなパトカーが後ろからサイレンを鳴らしながら追いかけてきた。
自分ではないと思ったがマイクでなにかしゃべっている声が聞こえ、仕方なく路肩に止めたら白人のでかい警官二人が降りてきた。
自分も車から降りて「なんですか?」(一応英語で)と尋ねたら
車の中へ入れと言われ、窓を開けさせられ、スピード違反と言われた。
前の車についてオートドライブで走っていたので違反していないと言ったが、26Kmオーバーと言われ、その後も色々言ったが認めてもらえなかった。
この映画を見てから同じような場面に出くわしていたら
まず、ダッシュボードの上に両手を乗せていただろう。
あのときの怖さがよみがえったが、幼なじみを目の前で拳銃にうたれ殺されたスターはそんでもなく恐ろしかっただろう。悲しかったろう。
色んな事が絡みドキドキ感が絶え間なく訪れたがスターは素晴らしかった。
誇りを持っていることが伝わってきたし、この子にこの親ありだ。
未だ、白人警官による黒人差別対応は後を絶たないアメリカ。
何度も行って良い国なのに残念だ。
平和な日本の住宅街に住んでいたらガーデン・ハイツのような
町には怖がりの自分は住む勇気が無い。
それとも住めば都なのだろうか?
あっ、そうそう、罰金260ドルでした。高すぎる!
義務教育で見てもいいくらいの内容
ストーリーは単純だけど、色々なセリフに重みがあって、人種差別の深刻さが分かりやすかった。
「犠牲者が変わるだけで悲劇は同じ」
理不尽な社会に立ち向かう主人公の強さと家族愛でめっちゃ泣いた。
「何を言っても無駄」
白人社会と共存していくには、こんなにも一方的な差別と暴力に耐えなくてはならないんだ。
黒人差別が悪いのは事実だけど「白人だと手を挙げろと警告する。黒人だと躊躇はしない。俺は撃つ」というおじ警官のセリフもまたリアルだった。
最後、憎悪の連鎖を断ち切るために勇気を出した主人公の気持ちがすごく伝わった。
同じ立場でも無いのに、差別というものを理解したつもりにはなるのはとても浅はかだけど、世界で起こっていることをもっと知って勉強しないとなと思った。
ギャング、銃社会、怖いな。
ハリー・ポッターもギャングと同じ!色分けして敵対するから・・・?
アフリカ系アメリカ人の住民がほとんどである、ガーデン・ハイツという低所得者向け地域。高校生のスター・カーターもその町に住むが、地元の高校だと危険だというので兄とともに郊外の私立高に転校していた。白人がメインのその学校で、白人のクリスと付き合ってるスター。人種差別など全くないような雰囲気ではあったのだが・・・
父親はかつてはヤクの売人なんかをしていて、地元の元締めキングの右腕とも言われた男。そんな父親からは英才教育のようにブラックパンサー党の戒律を暗記させられていた。警察から職質を受けたら、「両手を見えるところに置いて動かさない」などの身を守る行動が中心だ。
ある時、地元のパーティの帰り道で幼馴染みのカリルに送ってもらうが、途中、警察に車を止められ、ヘアブラシを持ったがために警官から銃殺されてしまうカリル。一部始終を目撃したスターは精神的ショックを受けるが、やがて女性弁護士オフラから大陪審で証言してほしいと頼まれる。父は賛成、母は反対の立場。迷いながらも、白人の友人と口論となったことがきっかけで証人になると決断する。
ラッパーの2PACが取り組んでいた「THUG LIFE」が基となり、「子供に与えるその憎しみが全てを蝕む」といった意味を込めてます。最終的にはその憎しみにも負けずに、そこから成功するために行動するといったメッセージがあるのですが、何度も一触即発の状態に陥ってしまう現実。無抵抗の黒人を白人警官が射殺する事件が何度あったことか。
全体的にちょっと弱いのが、証言の中でキングの名前を出してしまったこと。確かにアリルは丸腰だが、ドラッグディーラーとして金を稼いでいたことも問題視されてしまう。そして、黒人警察官であるスターの叔父が免罪符のようになってしまわないかという疑問。ただ、彼を問い詰める父が「警察官として相手が白人か黒人かで判断が変わる」という答えを引き出したところは上手い。
何点か気になるところはあったけれど、無罪放免が決まった時のデモ行進は感涙必至。女子高生が拡声器で叫ぶのは、いかにも非暴力の象徴であるかのようで清涼剤のような役割を果たしていました。何度か見たことあるけど、このアマンドラ・ステンバーグもいい女優になりそうですね!
勇気をもらった
人種差別というテーマを軸に、麻薬ディーラーのキングというエンターテインメント的な設定にヒロインの青春ドラえもんも描写されていて、非常に内容の濃い作品だった。社会の不条理に立ち向かうヒロインの勇気に希望をもらった。
人種差別をリアルに描いた問題作
幼馴染を、警官に不当に殺された少女の再生の物語。
警官による黒人射殺事件を正面から扱った問題作。日本未公開作品とのことですが、一見の価値がある秀作です。
少女の動揺、哀しみ、怒り、そして制御も分類も出来ない気持ちが、とても丁寧に静かに描かれています。
また、少女の視点を通して、社会の不条理、暴力、差別、そして家族愛が描かれていて、とても考えさせられる内容でした。
派手な演出は終盤位でしたが、少女のモノローグに独特のリズムと心地よさがあり、2時間を超える上映時間もそれ程長くは感じませんでした。
ただ、とても残念だったのは主人公と友人である白人少女との確執。と言うか主人公少女の問題。エリート校に進学する自分を「スター2」と言って周囲を偽り、大切な幼馴染を亡くしたことも隠し、そのくせ白人少女に友情や理解を求めるのは違うように思えます。私からすれば、白人だからと言って差別していたのは、主人公の方だと思えました。流石にそういう描き方は出来なかったのでしょうが、私的評価としては少し下げさせてもらいました。
子供に憎悪を教えるな
主人公は16歳の女子高生、住んでいるところは黒人が多く住んでいる地域、両親は子供の教育環境を考慮して私学に通わせている。
ある日、パーティで初恋の幼馴染に出会うが、発砲事件が起き、車で送ってもらうことに。
ところが途中でパトカーに止められ、やや反抗的だった幼馴染は警官に誤って撃ち殺されてしまう。
あとから分かったのだが幼馴染はヤクの売人をしており、地元のギャングは主人公に証言して欲しくない。
警察署も警官の誤りを証言して欲しくない。
16歳にしてはとても重い判断を強いられるのだが、家族が支えてくれる。
実話をベースにしているらしいが、とても感動的ないい作品だ。
観てよかった。いい映画ですね。家族愛に感動。
去年の映画、見逃してました、こんないい映画を!
これは実話で、黒人差別の色濃い南部で無抵抗の黒人青年が白人警官に撃ち殺されたあの話です。
目撃者であるこの女の子が証人として勇気をもって立ち上がる話。
主役の子も、取り巻きの俳優さんたち、みんなとても良くて引き込まれました。
色々考えさせられる映画ですが、主人公一家の家族愛に感動します。
これがアメリカの現実なんだね。
劇場未公開作品ながら、すごく感動させられた。民主主義とか、人権があるとか言っていても、こういう事件が起きてしまう。きれいごとでは済まされない。主人公の女子高生の気持ちをていねいに描いているところが、好感を持てた。映画を観る前は、タイトルの意味が理解できなかったが、私立の高校に通っていて、地元の現実には目を背けていたヒロインに幼なじみが教えてくれたということなんだね。スターは悲劇に直面したけど、私はある意味よかった点もあったと思う。それまで隠してきた本当の自分を友だちや恋人にさらけ出すことができたのだから。それで失った友もいたけれど… スターが叔父の警官と台所て話すシーンが象徴的だ。白人で高級車には乗っている人に対しては、しないだろう事を、アフリカ系でそうではない車に乗っている人に対しては対応が違うのだ。ヒロインは最初は黙っていようと思っていたのに、黙っていては問題が解決しないことに気づいて変わっていく。ラスト弟を庇った行動に彼女の変化が見てとれる。憎しみの連鎖を断ち切りたい。そんな彼女の必死な気持ちがビンビン伝わってきた。こういう事件が二度と起こらないことを切に願う。
よかった!
最初は、他者の目を気にして、本当の自分でいられなかった主人公だったけど、友達の死をきっかけに、自分がどうすべきなのか。恐怖やリスクがつきまとうけれど、それをはねのけてでも、行動に起こし、勇敢に戦う姿が良かった。
自分は自分。最後そう思えたのがよかった。
どんな環境に生まれて、いろんな悲しみや嬉しみを味わって、それも全て込みで今の自分を形成している。
それが自分!
人と比べたり思わず、自分は自分!と思える映画でした。
勇気をもらった
学校のBSU(ブッラク ステュデント ユニオン)の主催の映画会で見た。
人種差別、不公平な裁判のなかで スターとクリスの高校生カップルは光だった。
それに、スターの生き方から勇気をもらった。
この映画と出会えて良かった!
正直、ものすごい映画を見せていただきました!!
今年も外国映画輸入配給賞授賞式に参列できる幸運に恵まれ、特別上映にて鑑賞。
きっとこの映画を観た誰しもが、骨太なストーリーに打ちのめされることでしょう。
大人でもなく子供でもない主人公は、社会的な問題とアイデンティティについて、自分はどう関わっていくのか?割り切って受け入れるのか?戦うのか?の選択を迫られます。
ショッキングなクライマックスは、負の連鎖の闇の深さに愕然としますが、主人公の勇気ある行動に涙が止まりませんでした。
私立高校に通う主人公は、地元と学校とで別々の自分を演じ分けることによって、上手に二つのコミュニティに馴染んでいた。
だからこそ、黒人社会側の主観と、白人社会側から見た客観を持ち合わせる事が出来て、黒人同士ですら社会が貼ったレッテルに縛られていることを見抜く。
どのシーンも印象深いのですが、特に従兄弟の警官へ質問を投げかけるシーンは、大人としてズッシリ堪えました(−_−;)
きちんと彼女と向き合って、綺麗事に逃げずに正直に答えた大人も立派。
そう!主人公を取り巻く大人達がそれぞれ自分の立場の信念を持っていて、主人公と真摯に向き合う姿も良かった。
そんな大人達の生き様から、自分の生き方を選択して子供は大人になる…。
でも、本作がすごいところは、主人公が大人になるだけでなく、今までの大人達を超えていくところ。
暴力に抵抗する為の暴力が生んだ負の連鎖を、大人達とは別のアプローチで断ち切れる日が来るのではないかと、一筋の希望が持てる存在でした。
緊張感のある画面づくりが良かったです。
トップシーンの家族の緊張感は、そのまま街の緊張感へと繋がり、社会が抱える緊張感へ広がります。
自宅や車内のシーンにも常に薄っすら緊張感が漂っていて、こんな緊張感の中で暮らしていることのストレスを疑似体験しました。
これって携帯の画面で見ても伝わるのかしら??
日本未公開なのが、戦略なのか、大人の事情なのかは知りませんが、良い環境で観ることが出来て本当に有り難かったです。
映画観賞は一期一会。
どの映画と、いつ、どんな風に出会うかで映画の印象が変わると思っています。
私は劇場至上主義者では無いので、あまりお金をかけず良い映画を沢山観たいww
でも、日常から隔離された空間で集中して観た映画は、受ける印象も、後々になってからの記憶の残り方も全く違うと感じています。
いろいろチョイスの幅が広がって便利な世の中ですが、劇場公開がチョイスの枠に入っていることの有難さを感じました。
『ROMA』は配信から劇場公開へ
『カメとめ』は単館から全国へ
今、私たち観客と配給会社の熱い思いが繋がればムーブメントを起こす事だって出来る!
良い作品を一人でも多くの人に。
『ボヘラプ』だけにとどまらない、20世紀フォックス映画の魅力を再確認するとともに、
記念上映に本作を当ててくる心意気にも感激しました!!
#ヘイト・ユー・ギブ #20世紀フォックス
人種差別・不平等は消えることはないのか?
確かにいけないことはいけない。でも、なんでそういうことに手を染めたのか?貧困が招いたっていう背景があるから。普通に生きたい、人並みの生活をしたいって思っても、生まれ育った環境によってそれを得られない現実がある。そういう社会そのものが過ちなのに。同じような状況で、白人だったら拳銃で打った?肌の色で人種で無意識的にも差別していない?いまだに人種差別って消えることがない気がする。キング牧師達の平和的デモ行進を思い出したが、どんなに声をあげてもも制止される状況。黒人は理不尽な目にあっても黙って我慢していなければならないのか?あまりにもリアルな不合理な社会を示した内容だった。自由の国アメリカなのに、不自由で差別される人々。こんなことがあっていいのか?でも、悲しいかなこれが現実なのだ。映画館で多くの人に観てほしいって思った。
幾多のテーマが絡み合う傑作
まるで無駄のない133分。ここまで手放しで称賛したい映画はいつぶりだろう。
カテゴライズすることが難しいくらい、飛び抜けた出来栄えだと思う。
人種差別をテーマにしたヒューマンドラマ、そう言ってしまえばそうなのだけれど
良い意味でそんな期待を大きく裏切ってくれる。
普通のヒューマンドラマが安全圏を飛ぶ旅客機なら、この映画はまるで戦闘ヘリだ。
青春劇という上空を飛んでいたのも束の間で、悲惨な現実や社会問題へ低空飛行で近づいていく。急降下が続き、まるで戦争映画を見ている時のようにシリアスで、緊張感のある時間が続く。
その緊張感で、胃が痛いのではなく、胸が痛くなる。
こんなに胸が痛くなるのはなぜなんだろう、そう思いながら見続けた。
アメリカの警察官による黒人射殺問題として、助手席の恋人がスマートフォンで撮影した動画が世界的に報道された2016年のミネソタの事件を思い浮かべたが、それだけではなく数々の問題をモチーフとして取り入れているのだろう。
実話を基にした警察官による黒人暴行を問題定義した映画として「デトロイト」があったが、
デトロイトよりも視聴前の覚悟や予備知識がなかったせいか、よほど緊張感を感じ、心に染みる結果になった。
また「デトロイト」と比較を続けるのならば、「悲惨な差別」を題材にしながらも、それに止まらず、人種差別を超える「存在意義」や「家族愛」や「人間の成長」を描くことを目的としている点が、ここまで評価を受ける結果となったことが伝わってくる。
また、脚本は登場人物全てにおいて無駄なく描き切っており、意味のないキャラクターがいない。全てが人間味と、長所と短所と、容易に否定しがたいそれぞれの世界における正義を持っている。父親も母親も、偶像的ではなくて、まるでモデルがいるようだ。
その脚本に応える出演陣の演技も素晴らしい。
長く書いたが、文句のつけようのない作品だ。
ファンタらなんちゃらよりよっぽどスピンオフ
貧しい黒人達ばかりが住んでいる町ガーデン・ハイツに住む16歳のスターは兄のセブンとともに裕福な白人達が住むウィリアムソンにある私学に通っている女子高生。リベラルな校風の中で大好きなバスケに熱中しクラスメイトや彼氏と学園生活をエンジョイしていたが、あるホームパーティで久しぶりに会った幼馴染のカリムの車で帰宅途中に白人警官に職務質問されたことから町を揺るがす大きな事件に巻き込まれてしまう。
原題が暗に示している通り、憎しみの連鎖をテーマにした作品。小さな町で起こった事件をきっかけに幼い頃から目を背けてきた現実を否応なしに直視させられた女の子が意を決して立ち上がると、そこにはまた憎悪が立ち塞がるという重い主題ですが、スターの両親、兄弟、親戚、友人、彼氏らに支えられて勇気を奮い立たせる姿を丁寧に描いたあくまでも瑞々しい青春映画。世界は変わっていないことをまざまざと見せながら、それでも希望はあるんだという眩しさもしっかり見せる。こんな作品なのにベースにあるのが『ハリー・ポッター』なのがものすごく意外でした。
とても感動しました
とても考えさせられる映画でした。黒人=罪人の意識は根強く残っているのだと痛感しました。
内容は明るい話ではないですが、アマンドラ・スタンバーグが務める主人公の高校生の行動力に感動します。友の為に戦う彼女の力強い姿に泣かせられること間違いなしです。
ブログ『人生テトリス』にてあらすじ・考察を公開中!
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