川沿いのホテル

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川沿いのホテル

解説

韓国の名匠ホン・サンス監督の23作目となる長編作品で、キム・ミニとの6本目となるコラボレーション作品。漢江沿いのホテルでのある冬の一日を舞台にした会話劇をモノクロ映像で描く。

ある冬の日、漢江沿いにある静かなホテルに滞在している老詩人ヨンファンは、何となく自分が死ぬような気がして、疎遠となっていた2人の息子をホテルに呼び出した。しかし、親子は同じホテルの違う場所で待っていて、なかなか出会えない。ようやく互いを発見した親子は、ホテルのコーヒーショップで久々に会話を交わすが、話がうまくかみ合わない。一方、ホテルの別の部屋では、失恋して傷心の美女サンヒが滞在している。ヨンファンは彼女を気に入ってその後を追うが……。

2020年「カイエ・デュ・シネマ」誌ベストテン第6位に選ばれ、第68回ロカルノ国際映画祭ではキ・ジュボンが最優秀男優賞を受賞。日本では第19回東京フィルメックスのオープニング作品として上映された。

2018年製作/96分/韓国
原題または英題:Hotel by the River

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映画レビュー

4.5本当に天使だったと思う。

2024年6月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

知的

菊川にあるstrangerにてホン・サンス監督の特集上映を開催していたので観賞してみた。
ホン・サンス映画を初めて観ましたが、ちょっと驚きました、本当に素晴らしい映画でした。
韓国の漢江沿いの人気のあまり無いホテルに連泊している老詩人と悲惨な恋愛から逃げきたらしい若い女性の宿泊者の物語。ただお話しらしいお話しは特に無く、シチュエーションと魅力的な登場人物達の会話を楽しむ、純作家主義な作品です。主人公の二人はもちろん、それぞれホテルに会いに来る、詩人の息子達や女性の会社?学校?の先輩の女性も本当に魅力的で愛らしい人物達でそれぞれの会話を聴いているだけで楽しい。初めはただの男性主義的な人物だと思った詩人もミューズに命をかける本物の芸術家であり、情けなくも愛すべき人物だと好きになりました。
兄弟のお兄さんも弟さんも良い部分も悪い部分あり非常に人間的で微笑ましく印象的、ホテル従業員の女性も何か可愛らしくてとても良かった。(画面に登場する人物は以上6人だけです。)主要な舞台であるホテルの描写も、なんとなく寂しく空虚だけど美しく引き込まれずにはいられませんでした。
そして、何よりあのラストです!それまで淡々とお話しは進んでいきますが、ラストシーン2連発でもう驚愕でした。
あの二人は本当に「天使」だったのか…。なんて羨ましい素晴らしい人生だった事でしょう。

猫のカットとかさりげないユーモアも通底していて、何て後味の良い映画だろう。

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春

4.0流れていく人生に巡り合う偶然のホテル

2018年11月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

東京フィルメックスにて鑑賞。

ホン・サンス監督ならではの会話劇を堪能できる作品

偶然から生まれる人の出会いや、人の生き様を思う作品だった

川沿いにあるホテルに宿泊する詩人
彼の元に訪ねてくる二人の息子
そして、同じホテルに泊まる二人の女性たち

彼らは、そのホテルで偶然に出会う

ホン・サンスの映画が面白いのは、日常の一場面をそっくりそのまま切り取ったようなところにあって

とくに事件が起きるわけでもなく
ただ会話が進んでいき
その会話の中から、いろいろと考えさせられていく

この映画では、地方のホテルで暮らす父と、その様子を見にきた息子たちの会話がメインで話が進んでいく

その中で、父は立派に育った息子たちに目を細めつつも、巣立ってしまった寂しさも感じている

そこへ現れた美しい女性の二人連れに心を奪われてしまう

子供たちが立派に育って巣立っていったことに、父は寂しさを感じていたようだけど
そのタイミングで妻と別居を始めたあたりに
人生を整理しようとしていたのかなとも感じられる

その一方で、美しい女性たちに
ナンパするみたいに声をかけていたのは、もう父ではなく、男として生きたかったのではと感じさせた

この映画の舞台挨拶には
主演のキ・ジュポンさんがいらしてて
「個人的に悲しい出来事があって
そんな時に、一緒に映画を撮らないかと、声をかけてきたのが
ホン・サンス監督だった」
と話されていた

そんなキ・ジュポンさんの寂しさが、この映画に現れているような気がした

時折、笑えるところもあったけれど
冬の川沿いのホテルにピッタリな
流れていく人生と、彼の家族、そして偶然に巡り合う人々を描く
ちょっと寂しい物語だった

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とえ

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