「菅田将暉本領発揮作品」タロウのバカ インディーズ好き姉さんの映画レビュー(感想・評価)
菅田将暉本領発揮作品
私は好き。
生きることの馬鹿馬鹿しさとその貴重さが、三人の若者(そのうちの一人は名前もない16歳)のヤンチャ騒ぎの中に描かれる。
オチがあるようでないようで「は?なんで??」となる人もいるだろう。
けれど、生と死は、日常の中にこうして普通の顔をして在るものなのだろう。
この映画の中では、ところどころに「死」が現れ、その隙間隙間に「生」が息づいている。
本人達は気づいていないのであろう絶望と希望が、揉みくちゃになりながら最後のシーンへと繋がっていく、物語性のない物語だ。
これが初めての芝居だという新人YOSHIの生々しさ。菅田将暉と大賀の演技だとも思えないリアリティ。
菅田将暉は、こうした中途半端なチンピラ役で突っ走ってこそ本領を発揮する。大賀の、悪の中で揺れ動く真面目さもいい。主役のYOSHIは、ほとんど演技をしていないのに危うい存在感がある。
あちこちに純な若者達の姿が見える。いや、悪さをしながら皆純なのだ。行き場のない純なエネルギーが、どこに辿り着くのかは、実際に観て欲しい。
長期間は上映しないだろうし、上映している劇場も少ないが、只今上映中。
この手をインディーズ系というらしい。
先日観た「アルキメデスの大戦」より、こちらの方が私は好きだ。予想はしていたけれど。
久しぶりに映画のパンフレットを買った。パンフレットは軽くピラピラと眺めるに留めて、先入観なしで私の感想を書いてみた。パンフレットをじっくり読んで、もう一回くらい映画をじっくり観て、また書けたら、と思う。
映画の前にお茶した友人が「レビューが3点台だったから観ない」と言ったので一人で観たが、他人のレビューなどでいい映画を見逃すのはもったいない。純文学のようなこうした作品は流行らないのだ。少し毛色が似ていなくもない『ディストラクション・ベイビーズ』も、インディーズ映画好きの人にはお勧めしたい。どちらも、楽しい映画ではないが。
映画や芝居やコンサートを「消費」ではなく「生産」として観、聴きたいと、常々思っている。