「愛って、なに?」タロウのバカ 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
愛って、なに?
愛を明確な言葉で定義できるヒト、いますか?
生きる意味をはっきりと言葉にできるヒト、いますか?
もし愛を説明できるってヒトは、本当の愛を知らない
かもしれない… でも論破した所でそれは淋しい事だわ!
もし生きる意味を言えるってヒトは、他者あってのもの
かもしれない… いいえ、きっとそうよね!
愛は他者との関係性で成り立つもの。(自己愛も含む)
生きるということも他者がいて初めて実感するもの
…だと、わたしは思うのです。
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今夜生まれてくる命と 死んでしまう命
そして懸命に輝く命と 無駄に生き長らえる僕
「こんな夜は消えてしまいたい」とよく思うけれど
お前なんか消えてしまえ なんで今日まで生きてたんだ
無駄じゃないって思いたくて 何処まで無理して走ったんだ
この先もそうするつもりだよ それも無駄になったらどうしよう
生まれた事が奇跡だったら 息をするのも 奇跡 奇跡
ここで笑うか泣き喚こうが どっちにしても 奇跡 奇跡
愛してます その気持ちは どっからやって来て
何処へ消えるんだろう 何故消えるんだろう
身体半分持ってかれるような 別れの痛みとその寂しさ
それさえも奇跡だと 言えたなら 思えたなら
【無価値な事も特別になる ありのままで奇跡だから】
生きてる事が奇跡だったら つまづいたのも 奇跡 奇跡
歩き出すのも諦めるのも 好きにさせろよ 奇跡 奇跡
~恒例心象イメージソングシリーズ
amazarashi / 奇跡 より抜粋~
日常に突如と噴出する不条理を〈暴力〉と言うならば
最も不条理を強いられるものが〈戦争〉と言うのだろう。
それを、主人公を起点とした世界…
ごくわずかな狭い世界観で表現しようとしたのが
本作『タロウのバカ』なんでしょう。
今のわたしたちは、いわゆる“戦争を知らない子供たち世代”
戦争の記録や記憶を見聞きしても
それどころか遠い異国で実際に起きている内戦やテロ事件が
リアルタイムで報道されていてるのにも関わらず
実感として受け止めることのできるヒトは少ないでしょう?
それは仕方ないことです。だって戦争を知らないんだから…
ヒト一人が持ち得る世界観なんてちっぽけなものなんだから…
だから良いように解釈してくれとは言わない
理解してくれとは言わない
嫌悪感を抱いてもらっても構わない
なぜならば、それが今のわたしたちの思う『戦争』なのだから…
ですので、本作を観た感想が
イコールわたしたちの抱く戦争のイメージ
だと、せめてわたしは思いたい…
さて、わたしの感情論はここまでにして
もうちょっと具体的なこと言いますね!
所詮、比較論でしか語れないのですが許してくださいね!
大森 立嗣 監督が長年温めてきたお話とはいえ
まず、お話に既視感を覚えました。
主人公タロウの取り巻く環境 =『誰も知らない』是枝 監督
銃を手にした若者の日常が変貌 =『銃』武 正晴 監督
の2作品を足した感じに思えてしまいました。
でも味付けは、わたしが好きな過去作『光』に
通じるものを確かに感じました。そう言う意味では
「わたしの知っている大森監督が帰ってきた!」と喜び半分。
「よくもまあ、こんな賛否が分かれる作品を!」と不安半分。
そんなこと大森監督も百も承知で、強いメッセージとして
露悪的な表現にしたんでしょう。
わたしはどんな作品も寄り添い、考えるようにしているので
問題作であってもそこそこ許容できる方だと思いますが
逆にこの映画を許容できれば
大抵の作品は好意的に受け止めることができるでしょう!
思考と感情をリセットしたい時に
またこの作品をわたしは観ることになるでしょう…
あっ!しばらくは大丈夫ですぅ!
最後にひとつだけ!
スギオが好きな女の子、洋子がピアノで演奏していた曲
フォーレ作曲「夢のあとに」には本来歌詞があって
その内容が劇中にリンクしてることが分かりました。
興味があったらぜひ調べてみて下さい!
新たな作品の魅力に気付くかも知れません!?