メランコリックのレビュー・感想・評価
全22件中、1~20件目を表示
同級生女子にエロスを感じた!!
全体的に間延びした印象で、台詞読みもゆっくりでしんどかったです。アパートで殺す映画があります(同年の「羊とオオカミの恋と殺人」)が、銭湯の方が騒音と清掃で理に適っていると思います。冴えない主人公に同級生女子がグイグイ来る様にエロスを感じましたが、本編はつまらなかったです。
途中まではすごく良かった
うだつの上がらない生活を送っている青年が、殺人現場の掃除をさせられることで、人生に充足感を感じるようになり
同僚への嫉妬や、自分だけ銭湯で安全な仕事をしている虚しさが描かれて
そこまではすごくよかった。
ただ、主人公が巻き込まれ始めてから、急によくあるごく普通の価値観の映画になってしまったような感じ。
途中まで、どこに連れてってくれるんだろう?とワクワクしただけに、ガッカリした。
良作でした!
この作品は、うだつの上がらない青年がある事をきっかけに銭湯で働くようになり、そこである殺人の現場に巻き込まれる所からどんどん話が進んでいきます。
人が殺されたりするからもっとエグいようなイメージがあったりしたけども、それよりも主人公の青年の心理的な部分が特徴的でした。
この作品は、存在意義は何か?
そんなテーマの様な感じがしました。
人が殺され、その現場に居合せたら普通の人ならそこで逃げ出してしまうか、病んで自殺をするか、殺されたりするかもしれない。
だけど、青年にとって必要な場所はここだと思えたらそれに対してひたむきに向き合う。そんな感じかなと思いました。
恋人の女の子は、途中からしぐさとか可愛いくみえてきたり、相棒の青年が死にかけたりした時に必死に助ける、、、こういう青春もあるのかなと考えさせられました。
私は好きな映画です
色々、賛否両論ありますが私は面白く観られました。
松本(磯崎義知さん)いい奴ですね!こんな非日常の中で年上に対する礼儀を忘れない話し方、人として感銘を受けます。もちろん殺人はいけませんが。
主人公 鍋岡(皆川暢二さん)のなんだかヘタウマっぽい演技が逆によかったかも。お父さんお母さんもなんだかな〜って感じでしたが松本が担ぎこまれたときの対応が泣けましたね。
それにしても、知ってる役者さんが一人も出ていない割には充分楽しめました。皆川暢二さんなんて真っ先にググっちゃいましたもんね〜すごいイケメンでビックリしました。作品内では『生き物大好きココリコ田中さん』かと思ってましたから。(年齢的には違いますが)
副島(吉田芽吹さん)も街を歩けば何人もすれ違いそうなくらい普通な感じでしたが鍋岡の雰囲気から別れを察して自ら切り出したところも泣けましたね。可愛いしかわいそうでした。
人を殺しているので現実ならこのあと色々ありそうですが、とりあえず、なんとなくハッピーエンドっぽいので安心しました。
期待しないで観ましたがなかなかいい映画なんじゃないでしょうか。私は好きです。
死ぬ、生きる、青春
鑑賞後の気持ち、胸熱、切ない、まさに青春映画だと思った。
うだつの上がらない東大生 鍋岡、礼儀正しい童貞殺し屋さん松本のバディ映画としても最高だった。
鍋岡の実家の佇まいも最初ちょっとミスリードに朗らか過ぎるのだけど、終盤のヤクザ田中殺しから帰ってきた時の母親の頼りになること。お父さんの呑気すぎる佇まいは、面白すぎた。何度も家に帰って来てるからこそ、最後帰って来ることに安心感が生まれていた。いや、餃子の余りかい!もツボだった。松本がうどんの感想言うシーンは、彼のいままでの生活を想像すると泣けてくるなー。
こんな感じの家族だから、東大生だからと余計に期待を掛けずに住み良い環境だったのかなーと想像する余地があった。
最後、ひとときの喜びの為に生来てるって良いよねと言うのメッセージは、物語中盤で主人公2人が語らい合うシーンの結末だと思うと、事を2人で解決した折衷案の様な気がしている。
最後の飲み会のシーン。このままの関係がいつまでも続いて欲しい。そう願う終わりだった。
松本飲んでるしー!もう、可愛いー!
ラストの満足度下げ感がもったいない
みんな派手さのない、わざとらしさのない演技で見やすかった、唯一女の子の酔っぱらい演技だけは見て見ぬ振りしたけども。ストーリーも無茶だけど嫌悪感なく、最後の最後までほんとに良かったんだけど、経営頼みに行くシーンと飲み会のシーンが心の底から蛇足だった。3人で風呂屋続けてます、だけの描写で良くないかしら?特にあの経営者の友だちに会いに行くシーン必要?
こんなにいい映画に出会えるなんて思わなかった
DVDの表紙だけ観て、洋画と思ったら邦画だった笑
それはとにかくどうでも良くて、この作品に会えて本当によかったと思う。
人生の幸せ、和彦が最後に伝えた、「人生に何度か訪れる幸せのために人生を生きていることは、十分だ」というメッセージがこの作品を通してすごく感じた。
風呂屋が実は殺し屋だというスリリングで非現実的な内容とは裏腹に、この作品で感じる「人生の幸せ」はもっと素朴で誰にでも訪れるようなもので、全然非現実的なものではなかった。
百合との会話というひょんなことから働き始めた風呂屋では、夜中に殺人が行われていたということで話は始める。しかし意外にも、和彦にとってはそのこと以上に、そこで現場の掃除という特別な仕事を与えられたことに幸せを感じている。この構図は非常に非常に面白い。殺人と比べているので非現実的に見えるけれど、案外同じ状況なら和彦と同じ選択をする人も多いと思う。というのも、和彦にとっては、誰かが死ぬことに関して多少なり怖さはあるけれど、それ以上に自分の居場所の方が大事だからである。これは多くの人がそうではないかと思う。どんな状況であれ、とにかく自分が過ごしやすいか、自分の居場所があるか、それが第一に考えるのが人間だと思う。相手が殺人者であろうが、自分が頼られ、それに対してしっかりと目に見える褒美をもらうことで和彦は、自分を認めてもらえた、という幸せをこの時感じていたと思う。それは小寺さんを慕うあたり、自分よりも松本の方が頼られ始めることに嫉妬するあたりからも感じられる。繰り返しになるけれど、本当飾らない、人間そのまんまって感じの光景で、観てて惹かれた。
ストーリーはその後、松本が実は殺し屋のプロだということを和彦が知り、さらに小寺さんが殺られることで和彦と松本がヤクザの田中を討つために結束する流れに展開する。
ここでも自分なりに松本と和彦の人間味がとても感じられた。
松本は隠れ殺し屋で非情なやつなのかと思っていたがそうではなく、実は風呂屋の存続、和彦の身を心配する心温かい奴だった。和彦と車内で言い合うシーンは松本の気持ちが感じられ、しびれた。おそらく松本も何気ない風呂屋の日常に幸せを感じていたのだと思う。殺し屋であろうが、和彦みたいなそれとは無縁の人間であろうが、同じ日常を過ごす存在に対して大事な存在と認識するあたり、人間味がめちゃめちゃ感じられる。
和彦もはじめは自分より学歴が下な松本が昇格していくことに苛立ちを感じるけれど、それでもやっぱり和彦にとって松本は大事な存在であり、命かけて一緒に田中を打つ決意をする。この時、僕は和彦は素直だと思った。自分なら松本に抱いた嫉妬心、苛立ちを最後まで変なプライドが引きずる。和彦にはそれがない。松本に対して思うところはあると思う。けれど和彦は素直に松本を知ろうとし、松本から教わろうとする。松本が殺しに出かける際に、いってらっしゃい、気をつけて、というあたり、あれは僕にはできない。和彦の心の美しさ、すごい感じた。
そして、田中との決戦。ストーリーはまさかで、風呂屋のオーナー東の裏切りにより松本が撃たれる。衝撃的だったけどそこに気を取られる間もなく、和彦がやってきて田中も東も撃ってしまう。全く予測できず、ただただ映画に見入っていた。そして、その後も間髪を入れることなく松本の救出に焦点がいく。この時の和彦の、不器用ながらに必死な姿勢が印象的だった。
人間の裏の顔とか人間の裏切りを知っている松本と、その松本にただ素直に寄り添う和彦の2人が、ただただ愛らしく、愛おしいと思った。
最後は、同級生の田村に経営をお願いし、和仁はその下で風呂屋を松本らと営むことで終わりとなる。ここでも、和彦がいかに今までの日常を取り戻せることに幸せを感じているかが、田村との会話で強調される。田村は和彦とちょうど真反対の、人生に成功した人間で、和彦からしたら近寄りたくない人間だ。さらに中盤で百合に対して田村が気があることを知り、尚更和彦にとって田村は厄介な奴だと思う。その田村に、学歴も下な田村に、オーナーを頼む。どれだけのプライドを捨てないとできないことか。それでも和彦はそんな雰囲気もなく、清々しくお願いをする。ここからは田村に頼むこと以上にどれだけ風呂屋の経営の方が和彦にとって大事なのかが強調されている。何から何まで、うまく描写されている。
それまでを踏まえて、最後の和彦目線の言葉。
長い人生の中でずっと続いて欲しいと願う幸せは何度かしかないけれど、それで十分。それで幸せ。
決して大金持ちになるとか愛が実のるとかそういう華やかなことでなくて、むしろ別れているし人殺しもしている。でも大切な松本が救えたこと、自分の居場所が継続できたこと、そういう小さな素朴な幸せがこの映画には描かれていた。
あと、付け加えでもう一つ。和彦の家族の映し方もとても良かった。
和彦の家族は終始、和彦に対して愛がないわけではないけど熱っぽさが全くない。和彦の就職先の話題より味噌汁の味付けを気にする母と、和彦に対していつも穏やかな父。和彦だって話し上手じゃないのに、彼が勇気出して発言してる内容をこの両親ちゃんと聞いてんのかよ笑、と家族の滑稽な雰囲気に鼻笑ってた自分がいた。しかし、その穏やかさは撃たれた松本が運び込まれ、その日家で看病する事態になっても崩れることなく、淡々と映し出されている。この時の穏やかさは、さっきとは違う印象で、どこか温かみを感じる。どんな状況でも一貫した雰囲気を貫く和彦家族の魅力もここでは感じられた。
長くなったけど、この映画の自分なりの魅力をかなり記した気がする。恋愛、スリラー、そして殺人という非現実的の中で強調される素朴なヒューマン要素、最高だった(グロくないのもいい笑)。
予想外のエンデイング。
ホームシアターのような狭い映画館。サスペンスと思って見はじめたがいい意味で裏切られた。無名の俳優ばかりだが皆演技力がある。特にメインの4人(松本役、鍋岡役、彼のガールフレンド、銭湯の経営者)は素晴らしいと思った。予想もしないハッピーエンドで、気持ちよく映画館を出られた。監督、出演者にサインをもらって写真も一緒に撮ってもらった。
設定は面白いが、ディテールが甘すぎ
リアリティ不足と展開が雑なためか、シリアスさにもスリリングさにも乏しく、深夜ドラマにしか見えない。
東大出のプータロー設定の主人公が他とは違った感覚の持ち主だとしても、自分の置かれた状況を分析できないとはお粗末すぎでは。
逃げ場がない状況に巻き込まれたからこそ、その知能と頭脳を発揮するとかでないと。単に今時は人の生き死にが軽いものになっているのかとしか思えない。
松本役の彼のほうが飄々としながらも人間味溢れ清々しさすら感じる。
リアリティのなさの決定打は何より終盤の襲撃からの展開。襲撃現場指紋ベタベタどう考えたって足がつくだろ。ペーパードライバーがどうやって自宅まで行けるのか?
何か物足りない。せっかくの題材なのだから、いろんな角度から見てもなるほどという緻密さが欲しかった。
唸るほど面白かった。
出張先で昼間仕事→接待で飲酒のあと、深夜12時すぎ開始の回で鑑賞。若干フラフラ気味だったので寝ちゃうかなーと思ったが、それどころか目がギラギラしてしまうほど見入ってしまった。
東大卒のニートでありながら、プライドが高く、でもコミュニケーション能力は低く、常に優位性を持って相手に認められたい願望を持ち続けている和彦。
同級生の百合とばったり風呂屋で会ったことからそこでバイトすることに。ただ、その風呂屋は営業後は裏社会の殺しを請け負い、死体処理場になっていた。
もう1人のバイトは、実は元々殺しの仕事ルートからヘッドハンティングされてきた松本だった。それを知らない和彦は、裏仕事のリーダーとなれないことに苛立ったりもする。
基本の性格がビビりでもある和彦は裏仕事をそこまで重大に捉えてはいないが、松本にヤクザを殺すことがどんなに覚悟がいることが諭されて裏仕事に本腰を入れる。
ヤクザに借金をして言いなりになっている風呂屋の店長の東がいとも簡単に裏切ることが逆に覚悟して挑んだ和彦の見せ場ともなる。
食卓のシーンは不要・間延びのような評価もあったが、食事は幸福の象徴でもあるので、裏仕事をしてほんわかした食卓に座るというのは切り替えとそのグラデーションのようなことでもある。絵に描いたようなマジメで家族仲が良い家庭は裏仕事をさらに浮き立たせる効果を出している。
バイト兼殺し屋の松本との会話もシュールで面白ろい。裏仕事に覚悟がなく実力もゼロの和彦を下に見つつ、和彦も童貞の松本を下に見る。
和彦は東大卒なのもあってか、なぜ!?と知りたい欲求が強い反面、空気があまり読めないので「それここで聞く!?」というという場面が多数あった。頭の回転が速いのとは全く別物だということ。そのキャラクターがこの作品のグロさをマイルドにもしている。
バイトを始めた職場は、夜中に風呂場で人を殺していた
イメージしていだ映画ではまるでなく、すごく好きな映画でした
風呂場で人を殺す映画なのに、帰りに銭湯に行きたくなって行ってしまった
そんな映画
奇妙・素朴・独特
傑出した個性派キャラ達
イケメンの部類だがどっか抜けてて影を感じる主人公・和彦、
快活で無垢で一見そこ抜けた明るさを持つ松本、
美女ではないが雰囲気が可愛い百合、
それぞれ独自の個性が滲み出ている。三者三様とはこのことではないか。和彦が百合の質問責めに対して「まあ、そうだね」を棒読みに近いトーンでオウム返しのように連呼する気怠い(不器用な)キャラを演じる部分、銭湯のバイト面接時で明るさだけが取り柄と言わんばかりの松本の話し方、雰囲気イケメンならぬ雰囲気かわいこちゃん(?)な百合の「こういう女の子いるよね(モテるよね)」感。皆めちゃめちゃ演技派、技巧派というわけではないのだが、そのややぎこちなかったり棒読みだったりするのが逆に妙にリアルな現実味を帯びていていい味が出ている。
無駄なシーンが重要である
家族の夕食シーンでの父と母の会話、ちょっとイチャシーン多ない?とつっこみたくなりそうな和彦と百合の絡み、決戦前夜にこれでもかと繰り返し垂れ流される二人の訓練、挙げればキリのない一見意味不明な(省いても問題なさそうな)カットの数々、下手すればノイズとなってストーリー本筋への妨げにもなりかねないのでは?と感じるものの、最後まで鑑賞し、最後の和彦の言葉まで聞き、初めてそれらがおぼろげに意味を持って思い出されてくるから不思議。通常なら作り手は無駄な部分を極限まで削ぎ落とそうとする心理が働くと思うがこの映画は逆に一見無駄に思える部分が重要であるような、そんな気持ちにさせられる特異な例だ。
和彦と百合の言葉がすべてだった
何故百合が頻繁に銭湯に通うのか?など伏線が張られていることから何らかの形で彼女も銭湯の裏稼業にも関わっているのではないか?そしてそれがこの物語の根幹に関わる重要設定なのではないか?と考えていた人は多いはず。かくいう私も、その辺の設定いかんでこの作品の出来不出来は大きく変わる・・・!と意気込んでいた。そして最後のシーンで百合が「実は私がここに通っていた本当の理由はね・・・」と切り出されてほらきたここだ!!と目ン玉見開いたものの、その予想を大きく裏切られるセリフに思わず私は唸った。「素晴らしい・・・・」。あのセリフは最後の最後の和彦の語り口にも密接にリンクしている。即ち、素朴さ、くだらなさ、とるにたらなさ、それが重要なことなのだと。変に入り組んだシナリオでなくていい意味で期待を裏切られた。
やはり見栄えや派手さでいうとどうしてもお金をかけているメジャーな映画に見劣りするのと、どこか一歩間違えばアマチュアに毛が生えたようなレトロ感というか素人臭さが勝ってしまうような映画にもなりえた気がする。とはいえ、秀逸なアイデアと傑出したキャラを演じる俳優陣によって、紙一重でユニークかつ魅力的に映る作品に仕上がった印象。しかしそれは分厚い紙一重であった。
Ska
鑑賞中もそのリズムは裏拍がとられているような印象をずっと感じていた。何故だか少しズれる。その理由を他の有名ブロガーの批評サイトで何となく掴んだ。それは、この主人公の醸し出す周りとのテンポ感との不和というか遅れなのだ。それがこの作品のより一層の興味深さを演出していて、もしこれを計算して作られているのならば大変な天才的能力を持っている監督であると断言できる。偶然性、又は自然と出来たものであったとしても、一貫性のあるテンポとビート感が全体に繰広げられているストーリー進行を描けたことは決してまぐれでないことを物語っている。対位法を用いたシーンの演技とBGMの弛緩な音楽は、ストーリーそのもののリズムを崩さぬ様、全体をコメディの薄皮でくるむような印象をつけているところも秀逸である。
まるで『卒業』のような、ラストの一瞬の幸福とその先に待っている憂鬱な日々を暗示させる主人公のモノローグが、今作品の最大の白眉であろうし、これが正にタイトル名に結びついているところが圧巻である。全ては計算したものであろうと、それは“デイミアン・チャゼル”監督を彷彿とさせ、鳥肌を立たせる。邦画にもこういう才能を持った人がいたことの喜びである。
勿論、細かい所や雑な部分も見受けることは否めない。只、それも観客の解釈の部分で補完できるような、難しくない部分もあるので、余白みたいな部分の愉しみも又演出なのかも知れない。例えば、そもそも何故あの公衆浴場にはあれだけの凄腕殺し屋が集まるのかという疑問には、所謂ダークな世界では殺人及び死体処理場所が必要でそれを一挙両得に可能とした場所が風呂屋ということは、誰しもが考えたことがない意外な盲点であり発見であろう。そんな斬新なアイデアを実現したあの“松ノ湯”は大変重宝がられ、その世界では有名な場所だったに違いない。そこに集まるのも又、仕事を求めるその筋の連中。あの、アルバイト募集の貼紙は、殺し屋の募集だったのであり、知る由もない主人公は、そのズレたタイミングで応募してしまったのだ。その発想も又斬新であるが、敢えてそれを説明しないシンプルな展開も巧みであり、それ位は観客を信頼するしかないと願いなのかも知れない。
出演者はどれも有名な人ではないが、そのキッチリとしたキャラ設定及び卓越な演技、又はあり得ない程の本格的ガンアクション等も含めて、これがインディーズとは思えない程の高レベルな説得力である。主人公の彼女の決して美人ではないが愛嬌たっぷりな愛されキャラ、松ノ湯主人のどことなく不気味かつ飄々としてしかし情はあっても、最後は裏切る多面性、そしてヤクザの親分の絶対的恐怖感、主人公とバディを組む松本の一途さと、しかし社会にコミットできなかった出自等に於いての多面的表現の妙の、どれもが幾層にもレイヤーのかかっている深みがたっぷりの人物像であり、それが益々“セッション”のように生き生きとしたシーンを彩っている。
前年の国際映画祭に於いて、今作品は多分反響が大きいだろうと、何の根拠もなく敢えてパスして、絶対にどこかで配給が付く筈だと信じた自分の当てずっぽうの先見の名を称賛したい気分であるw
どんな仕事も大変
淡々としたブラックユーモアに、若者の仕事に対する向き合い方も描かれており、最後はお仕事映画かという印象でした。
そのお仕事が人殺しということで、逮捕の恐怖とか罪悪感とかないのか?、などという道徳観念は気にせずブラックユーモアと割り切れたら、アクションシーンもあり、エンターテイメントとして楽しく観れました。
仕事で認められる達成感とか、同僚への優越感や嫉妬とかは、お仕事映画みたいだなと。
二人で銃で殺人の段取りを練習する場面での、仕事頑張ってる的な爽やかなBGM、笑いながらも好感を持って観てしまいました。
主人公の親とのまったりとした夕食風景も、何回もあるけどウザいなと思っていたら、クライマックスでのこのまったり感には笑わされました。
主人公が東大卒という設定は東大でなくても良いのでは、特に設定が生かされてないのでは、とも思いましたが、この感想自体が我ながら偏見なのかも、とも思わされましたが。
第二のカメ止めとの評判を見ましたが、やはり面白さはあっても、ブラック過ぎてあれ程万人受けはしないかとも思います。
面白いと思うので、あれ程評判になれば良いのにとは思うのですが。
発想もディテールも面白かった
・銭湯で殺人と死体の解体をしているという発想がとても良かった。
・銭湯の経営に対して店主の東がすごく執着しているのが面白かった。
・鍋岡が死体の清掃をして大金を貰ってテンションが上がって初めて?の彼女に見栄を張った所が物凄く面白かった。
・細かい疑問をすぐに解消してくれるのが良かった。何で面接したの?って思ったら鍋岡が質問したり。
・両親が仲良くて明るくて良かった。
・東大出のフリーターっていう状況がそうではないフリーターよりも悩みが多い設定が良かった。
・銭湯に行きたくなったのと、水場のある所はもしかして…と想像が膨らむようになった。
・松本君の方がどう見ても凄いのに、終始、和彦さんってさん付けなのが良かった。和彦も終始、年齢が上だからか上から松本君と接していて良かった。
・運転できない人が運転しなければならない状況のシーンが凄く良かった。帰れて驚いた。
・主人公が巻き込まれて変わっていく話が好きなのでとても良かった。
憂鬱なさま・・・ タイトル通りの作品
褒める意見が多すぎる気がします。
面白い! 2019年版「カメ止め」! という感想があったので見に行ったが、個人的にはまるっきり面白くなかった。
確かに恰好良いアクションシーンや撮影テクニック的なものは良かった。
が、見た後に考えさせられる事も無く、爽快感も無く、ただただ こんなストーリー・展開の作品だったのかと思うだけで、つまらなかった。
自分にとっては、「ターミネーター」のようなぶっ飛んだ設定でもなく、銭湯で死体の処理という設定が 家族と食卓を囲む等、日常的な描写も多くて現実に無くもないかな? と感じてきたところで、 「田中を殺せば解決(借金チャラ・主人公が悪事しなくていい・始末されない)」なのはごく自然な流れで、 警察の存在を完全無視、 田中の組織からの復讐は? 松本のありえない生還、 「銭湯の主人が殺された」ニュースにもなってるのに逮捕されてないんかい! しかも殺した本人が言ってる! ヒロインが金払えなくて銭湯に来た・・ 想定内のどうでもいい情報。 銭湯で宴会して終わり なんじゃこれと思いました。
ラストは大団円 という感想がありますがとんでもない! 殺したことをよく忘れられますね!
カメ止めと決定的に違うのは、ゾンビ殺し→あくまでも撮影だった つまりフェイク
メランコリック 人殺し→作中では本当に殺している
という決定的な違いを認識してない人が多すぎます。
出演者は皆さん良い味出してたのに勿体ない!
メランコリック=憂鬱なさま
思ったよりゆるい映画
視聴後は、思ったよりアットホームなコメディ映画のような味わいがあった。
カメ止めのような爆発的な笑いではなく、登場人物のゆるさと相まって、クスッとくる感じ。
低予算、短期間の割には丁寧な作りで、エンタメとしては質が高い。
特にキャスティングは素晴らしかった。
星3なのは、難癖つけるようで申し訳ないが、凡庸に思えた点と、脚本や演出にアラが目立った点。
以下、その例をいくつか挙げてみる。
・緊迫感みたいなものがなく、特にあっと驚くサスペンスやサプライズも感じられない。
・画作りに目新しさが感じられない。
・演出なのかどうかわからないが、人が死ぬことに対する現実味に欠ける、また、死体を処理することへの葛藤や苦悩、苦労があまり感じられない。
・主人公が東大生という設定が(最終的に)活きる場面が足りないように感じる。
・彼女がなぜ主人公に惹かれたのかがよくわからない。
・悪役のインパクトだけが弱い(主人公の周りがいいキャラなだけに勿体ない、またなぜ舎弟や護衛的な人が存在しないのか、借金の催促以外に凄惨な場面が欲しかった)
ざっと流れで見た感じでは、伏線や構成はちゃんと成立してるし、展開も飽きさせないし、上記のことなど大して気にしないで見られるくらいにはしっかりできているので、あくまで難癖である。申し訳ない。
ラストのセリフが泣かせる。勇気がもらえる。良い映画だった。
ダレることなく最後まで観られた。テンポも良い。
(村上春樹、小説に大事なものは、リズムというけど。)
『人生にはこのままズーッと続いて欲しいと思える一瞬が有る。その一瞬の為に長い人生が有る。』
カメラを、止めるな、も良かったけど、これも、良かった。
個人的には残念
殺人という過激な物を扱っているにも関わらず、登場人物の信念が希薄、最終的に伝えたいメッセージも薄い。もっと大きな大どんでん返しがあるのかと期待してしまいました。
ただ、役者の演技はとても丁寧に作られており癖になる没入感があります。
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