「唸るほど面白かった。」メランコリック キッスィさんの映画レビュー(感想・評価)
唸るほど面白かった。
出張先で昼間仕事→接待で飲酒のあと、深夜12時すぎ開始の回で鑑賞。若干フラフラ気味だったので寝ちゃうかなーと思ったが、それどころか目がギラギラしてしまうほど見入ってしまった。
東大卒のニートでありながら、プライドが高く、でもコミュニケーション能力は低く、常に優位性を持って相手に認められたい願望を持ち続けている和彦。
同級生の百合とばったり風呂屋で会ったことからそこでバイトすることに。ただ、その風呂屋は営業後は裏社会の殺しを請け負い、死体処理場になっていた。
もう1人のバイトは、実は元々殺しの仕事ルートからヘッドハンティングされてきた松本だった。それを知らない和彦は、裏仕事のリーダーとなれないことに苛立ったりもする。
基本の性格がビビりでもある和彦は裏仕事をそこまで重大に捉えてはいないが、松本にヤクザを殺すことがどんなに覚悟がいることが諭されて裏仕事に本腰を入れる。
ヤクザに借金をして言いなりになっている風呂屋の店長の東がいとも簡単に裏切ることが逆に覚悟して挑んだ和彦の見せ場ともなる。
食卓のシーンは不要・間延びのような評価もあったが、食事は幸福の象徴でもあるので、裏仕事をしてほんわかした食卓に座るというのは切り替えとそのグラデーションのようなことでもある。絵に描いたようなマジメで家族仲が良い家庭は裏仕事をさらに浮き立たせる効果を出している。
バイト兼殺し屋の松本との会話もシュールで面白ろい。裏仕事に覚悟がなく実力もゼロの和彦を下に見つつ、和彦も童貞の松本を下に見る。
和彦は東大卒なのもあってか、なぜ!?と知りたい欲求が強い反面、空気があまり読めないので「それここで聞く!?」というという場面が多数あった。頭の回転が速いのとは全く別物だということ。そのキャラクターがこの作品のグロさをマイルドにもしている。