はじめての別れ
解説
2018年・第31回東京国際映画祭「アジアの未来」部門に出品され、同部門の作品賞を受賞した。
2018年製作/87分/中国
原題または英題:第一次的離別 A First Farewell
2018年・第31回東京国際映画祭「アジアの未来」部門に出品され、同部門の作品賞を受賞した。
2018年製作/87分/中国
原題または英題:第一次的離別 A First Farewell
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2018年11月2日新疆ウイグル自治区を舞台にした映画。監督の同自治区出身の方。自分の故郷の美しい景色と人々の暮らしを見事な映像美で収めている。
プロの役者は起用せず地元住民に演じさせる手法で抜群のリアリティがある。少年少女たちの自然な佇まいを見事に引き出している。
ウイグル自治区と言うと、中国政府によるイスラム教徒の弾圧を思い浮かべる人が多いと思うが本作はそうした政治的背景は取り上げられない。あくまで人々の質素な暮らしぶりを優しい視点で見つめる作品だ。
主人公の少年アイサは、施設に送られる耳の聞こえない母、大学進学のため家を離れる兄、そして勉強のため引っ越し幼馴染の少女との別れを体験する。悲しい別離を経ても生活のために羊を飼い、綿花を摘み、トウモロコシを収穫する。別れの寂しさと生きるたくましさが美しい風景とともに描かれる。
小学校の授業のシーンは興味深い。中国語の授業のシーンがあるが、これが苦手なために幼馴染の少女はひどく怒られる。子どもたちのセリフにもあったが、とりわけ中国語の教育が重視されているようだ。
新疆ウイグル自治区における人々の生活、四季の移ろいの美しく力強いショット。天真爛漫な子供たちの身体的躍動、表情の豊かさ。そして胸を打つ切ない別れ。フィクションとドキュメンタリーが同じ地平で手を結び合い、奇跡的な瞬間を何度も垣間見せてくれるただのド傑作。