「あなたとわたしの愛言葉=バカ・バカ・バカ」ホットギミック ガールミーツボーイ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
あなたとわたしの愛言葉=バカ・バカ・バカ
東京・豊洲あたりの大規模マンションで暮らす高校生のハツコ(堀未央奈)。
国立大学に通う兄・リョウ(間宮祥太朗)、中学生のアカネ(桜田ひより)、それに両親の5人暮らし。
幼馴染のアズサ(板垣瑞生)は、男性モデルとして成功して、ハツコの通う高校へ戻って来た。
また、もうひとりの幼馴染リョウキ(清水尋也)は、進学校に通う優等生。
ハツコはアズサとリョウキの間で揺れ動く・・・
というところから始まる映画で、物語のアウトラインだけをとれば典型的な思春期ラブストーリー。
こういう映画だと、基本は、主人公の女の子に感情移入して、恋愛がどうなるのか、誰と結ばれるのかが焦点となるようにつくるのが常道。
だけれど、この映画、色恋の行く末ではなく、この思春期は、そんな色恋も含めて、自分という存在がどういうものなのか、そしてそんな自分が相手にとってどういう存在なのか・・・つまり、いま生きているってどういうことよ、ということが、出発点・中間点・着地点などなく、相手との距離感など関係なく、行きつ戻りつ、一方通行も含めて爆裂している、そんな時期をまるっとまるまま提示してみせる。
丸のまま感はスゴイ。
自主映画だったらあり得るかもしれないような表現方法で、カット割りも台詞も、とにかく過剰。
台詞の多くは聞き取れない(ま、オジサンなので、聴力は落ちているからね)。
映像の多くは、とてつもないショットとエディティング。
豊洲あたりの大規模マンション、それも周囲で開発が続けられているなかでの少年少女たちのカットは、たぶん、いま残しておかないと無くなってしまうかもしれない。
無くなりそうな・・・というのは、思春期に通じるね。
で、そんな中での色恋沙汰は、とにかく、主人公の女の子の主体性のなさとエゴの強さが際立っていて、オジサンとしては「勝手にしてくれ」的なのだが、思い返せば、青春時代はこんなものだったかもしれない。
その上、家族の秘密や、家族間のいきさつなど、横溝正史もびっくりなドロドロ感まで登場する。
なくてもいいし、あってもいい。
あるならあるで、もっとドラマチックになりそうだけれど、ドラマは生の丸ままではないから、そんなところへも行きつかない。
ま、最終的には、ハツコは、(いま)いちばん大切(だと思う)ひととの愛を確かめるクライマックスになるのだけれど、台詞も時間軸も相手関係も入れに入れ替えたぶっ飛び編集で、ここに至っては、観ている側としても、もうなんだかよくわからない感情が噴出してくる。
文字どおり「よくわからない・・・」というひともいるはずで、それはそれでよし。
あなたとわたしの愛言葉=バカ・バカ・バカ、そんな映画なのだが、これは観ればわかる。
(やっぱ、わからないかも・・・)