劇場公開日 2019年6月28日

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「山戸結希をひたすら感じる映画」ホットギミック ガールミーツボーイ andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0山戸結希をひたすら感じる映画

2019年7月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

どうしても「相原実貴の漫画を山戸結希が映画化する」ことがピンとこなかった。ホットギミックの原作は全12巻、かなりややこしい恋愛漫画であるし、なんというか山戸結希の印象(「21世紀の女の子」だけだけど...)と合うのか考えこんでしまった。
意外と原作の筋は網羅されている気がしたが、原作における「社宅」というキーワードが丸ごと捨象されている。時間的に無理だろうが、背景が変わったことで全体の印象がだいぶ変わるものだ。
映画の画としてのカット割りは、お洒落というか、巧みな印象を受ける。後は現代生活において決して発しなさそうな台詞の応酬(若者はああいう会話をするのだろうか...?)で、現代的恋物語を超えたファンタジーのような世界を創り上げる山戸結希。ラスト前の堀未央奈と清水尋也の台詞の応酬がその頂点である。あのシーンこそ山戸結希の真骨頂。
原作漫画でも感じたが、主人公がとにかく流されやすく見えるため、(あとやっぱり若いから)感情移入はしにくかった。展開も知っているし。しかし、一途なものを求めるというのがある種の欺瞞なのかもしれないとも思う。あの感情の移ろいこそがリアリティなのかも。
堀未央奈さんは演技がというより、そこに立ち存在することが全て、という描かれ方だった。男性陣に大分強いのを持ってきたのでそれで十分だったかもしれない。板垣瑞生がいちばん不穏な感じが出ていて良かったですね。清水尋也は...予想通りで(私にとっては)最高でした...。漫画とビジュアル違いすぎではと思ったけど、これはこれでよい。オレ様から急激にデレていくのがスピード速いなとは思ったけど。間宮祥太朗さんの鬱屈も美しかったです。でも策士だよね。
「ホットギミック」も完全に山戸結希的世界に換骨奪胎...というか、つくりかえる山戸結希の「強さ」に感嘆させられた。現代における青春漫画映画のひとつの頂点ではあると思う。だからこそ、漫画原作でないメジャー作品を撮って欲しい気持ちも強いのですが。

andhyphen