劇場公開日 2019年6月28日

  • 予告編を見る

「山戸結希監督作品」ホットギミック ガールミーツボーイ Scottさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0山戸結希監督作品

2019年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「面白いの?」って聞かれたら答えが難しいの。ふつーの意味で面白いかっていうと面白くないと思うよ。

オープニングから「あ、山戸結希だ」って感じで、特に前半は全開で来るのね。「雰囲気だけだろ」って感じのカット割りに、クラシック音楽のBGMで、「厨二病? にしちゃちょっと高級?」っていう台詞がガンガン来る。ちょっと、こっちの感受性を落として観てないとね、なんか反応に困る感じになんだよね。

役者は良い役者を揃えちゃったんだけど、山戸結希作品は下手な役者の方がはまるんじゃないかな。
少し長めの台詞を棒読みでしゃべる演出になるんだけど、下手な役者がやると「演技の拙さを台詞と演出でカバーしたな」って感じで面白いのね。でも、上手い役者がやると「ん? どうしたの?」って感じが出ちゃう。

脚本も直したくなるの。オープニング直後に『このポスターの人は私たちの幼馴染で三人は同じマンションに住んでたのに今はすっかり有名人』って内容を露骨に台詞で説明するんだけど「さすがに、それはないだろう」って笑っちゃった。あと、原作の問題もあるんだろうけど、御都合主義的にお兄ちゃんがいたり、エレベーターのアクシデント起こったりするしね。

でも、直しちゃ駄目。山戸結希の色がなくなっちゃう。シーンの積み重ねで「そうか」って観客が気付くんじゃなくて、対話で感じるようになってんだよね。
対話の内容も雰囲気重視だけど、山戸結希は哲学科出身だけあって、哲学的にちょっと考えたような内容になってんのね。ここが、山戸結希だけが、このスタイルで撮って許される理由なのかも。

それで、演技が下手な役者の方がはまる脚本・演出でも、清水尋也はキッチリ合わせてくる。レベル高いの。間宮祥太朗と桜田ひよりも頑張ってる。良い役者さんはどんな使われ方しても、うまいね。

山戸結希がいつまでこのスタイルで許されるか解らないから、こういう作品観られるのは今しかないかも知れない。そういう意味で面白いよ。

Scott