「監督のファンではない者の感想」ホットギミック ガールミーツボーイ まるおけさんの映画レビュー(感想・評価)
監督のファンではない者の感想
冒頭、電車から降りた初(はつみ)のドアップを見た瞬間、これは堀未央奈を綺麗に撮るつもりはさらさらない映画だ、という事を瞬時に悟った。同じ乃木坂46の「あさひなぐ」な感覚で観に行くと…大変な目に合う事は間違いない(^_^;)
終始繰り返される「厨二病的台詞」「暴力」「性表現」は私には大変キツく、遅めのタイトル表示からの流れで多少救われたものの、後半また繰り返される所でウンザリ、既に4時間は経過している感覚を覚え、また何度となく、一秒30コマの二、三コマで良い、映画の中へ入りこみ、初を虐待(としか見えない)する者へ「ぐーぱん」を見舞いたい、助けたい、という思いに駆られた。
しかし一方で、クソ映画とは言えないモヤモヤも存在しており、この映画は「恋愛」「SEX」「自意識過剰」「暴力」「虐め」「薬物」「リベンジポルノ」「大人の不在」など、最近の若者を取り巻く環境をステレオタイプに写し出した映画なのではないか?という考えに辿り着いた。初に向けられる言葉「バカ」「淫乱」「空っぽ」に対して初が必死に抵抗し叫ぶ姿は、そんな世間の「今の若者ってこんな感じ」という言葉への抵抗にも見える。
この監督(知らないし興味もない)は長編映画より短編やPVの方が向いてると思う。映像美や表現は認める。しかし長編映画はエンターテイメント。なぜこれを全国ロードショーでやりたいのか、全く理解できなかった。とはいえ、世間の評価は高く、長年映像に携わり近年辞めた自分の「僅かにあった未練」に対して「お前センスないよ」と粉々に砕いてくれた事には大変感謝している。
最後に、普通ならアイドル卒業後に受けるであろう仕事だと思うが、堀の女優業への熱意や事務所の思惑など、今後の展開についても色々考えさせられる映画になった。
ガラガラの映画館、上映後、後ろにいた男子学生達が微妙な表情のまま、いつまでも立ち上がらなかったシーンが目に焼き付いている。