劇場公開日 2019年6月28日

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「山戸結希の「濃いめ・多め・硬め」な作品!」ホットギミック ガールミーツボーイ まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0山戸結希の「濃いめ・多め・硬め」な作品!

2019年6月29日
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すごかった…。山戸結希監督。自分の撮りたい映像をとことん追求していた。ストーリーも、音楽も、構成も、俳優の演技も、山戸結希色一色に染まっていた作品だった。
賛否両論分かれそうというか、私が言うのもなんだけどこれは…映画好きにも、イケメンやアイドル好きな人達にも、なかなか受け入れられない人多いんじゃないでしょうか。これを誰が観て喜ぶ、興奮する作品なのか?と考えてみた。多分、清水尋也が好きな人。あと、大森靖子とかZOCとか縷縷夢兎の東佳苗とかワンダフルワールドとか21世紀の女の子とかSPOTTIDEPRODUCTIONの映画とかLADYBABYとか…が、好きな人ピンとくる人精通してる人、とかかな??勝手な憶測。それと、人が生きる意味や人権的なことを考えたり発信したりしている人。単館映画で時たま現れる挑戦的な映像作品が好きな人も、興味そそられる作品だったかと思う。
ちなみに長い前置きは置いといて、私は好きか嫌いかで言ったら好きです。上記で一番自分に当てはめられるのは清水尋也ファンってとこがしっくりきますが笑。
私は自分の好みの作品は勿論好きなのですが、園子温監督作品も然り、監督だったりそのクリエイターの人が自分の「作りたいもの」をとことん追求しまくってる作品が大好きなんです。商業目的や宣伝目的や芸能界の制約や大人の事情なんかを(例えそれが含まれていたとしても)とっぱらって作家性がバンバン前に押し出されてる作品が好きなんです。例えそれが歯の浮くような現実じゃありえないドン引きするようストーリー展開や演出であったとしても、キラキラ輝いてます。
山戸結希監督は「溺れるナイフ」を撮った監督ですが、溺れるナイフの時は経験値の問題なのか制作期間の問題なのか大人の事情なのか、あんだけ名作で前衛的なジョージ朝倉の原作を、ちょっと普通に、なんなら時にダサい感じな作品にしてしまったな…と今だから言えますが思っていました。これが監督の実力なのかな?こーゆーのが好きなのかな?と。でも今回のホットギミックを観て、色々思うことは多々あれど、「こーゆーのが大好きなんだ!!!!」と腑に落ちて、突き詰めた心意気に少し感動しました。なんか…どう言えばいいか分からない世界観なんだけどとにかくとんがってました。原作へのリスペクトもちゃんとあるんだろうけど、これはもはや相原実貴のホットギミックではない笑。凄く良い意味で。
この作品、予告編だけを観ると、すぐ客層が分かります。恋愛漫画やラブコメや壁ドンが好きな女子と一部のアイドル好きな男子がそれです。なんだろ、「漫画みたいな恋したい!」と思ってる人達かなぁ(←私もそう笑)。しかしその心持ちだけ準備して映画館に行くと出鼻をくじかれます。例えて言うなら「森山未來くんカッコいい♡好き」と思っている女の子達が映画館で「苦役列車」を観て「森山未來、気持ち悪かった…」と言って(←本当にそーゆーひとを館内でみた。これは役者冥利に尽きる)その場を後にしていたシーンを彷彿とさせるような、あの感じ。「何これ?思ってたんと違う」感が充満する映画ホットギミックを映し出している自分のいたスクリーンはちょっとだけ興奮すらしました。そういった意味で山戸監督は開拓者でもある。でもこれでいいんです。
漫画の実写化は忠実に再現することも良き作品にする上で大切とされているところではありますが、実写化を観てぶーぶー言う人に言いたいのは、人間が作っている作品だと言うこと。監督や製作陣の人達の思いや好みや作家性やそん時の時代背景が投影されて出来上がっていくのが映画。(映画以外にも言えますが)。出来上がってみたら「なんじゃこりゃ」なんてよくあるけど、人が作ってるんだからそりゃあそうなります。それが面白いか面白くないかは受け手次第でもありますし。そこが映画の好きなところでもあり楽しいとこなんです。

前置きパート2はここまでにして、ここからは更に主観的自分勝手なミーハーな感想文です笑。気分を害しそうな気がする人は読まないでね。
やーもー、清水尋也演じる、主人公の女の子のことが大好きなドSな幼馴染よ…。これはもうベスト・オブ・ドS、ツンデレ・オブ・ザ・イヤー、清水尋也史上最高の清水尋也日本新記録樹立、過言じゃなかったです…!動きも喋りも行動も、なんなんあれ、私この先どう清水尋也と向き合えばいいの?どうしよう、どうしよう、とオロオロしながらキュンキュンするといった具合でした。周りの客からしてみればただの具合の悪い女に見られたかもしれません笑。いや、でもおかしいんだよこの感情は。見た目も中身も言ってる事もそりゃあ沢山の女子男子が嫌いな気持ち悪い要素が詰まっているキャラクターのはずなのに…なんでこんなにカッコいいんだお前は、神か何かか、すごいな。清水尋也くんの持ってる人柄や経験値や力と、山戸監督独自の力や科学技術が合わさって、溺れるナイフの重岡大毅レベルの偉業を成し遂げたというか、萌キュン男子を…もはやとんでもないモンスターを生み出してしまったんです。あー人間ってこわい。怖いなー怖いなー(by稲淳)!!
…科学技術は関係ない!笑。
この作品自体、とんでもないキャラクターばかり出てきて、これは何だ、何のデパートなんだ彦摩呂よ、って感じな困惑が2時間目一杯続くんだけど、その中での唯一の光というかまともというか癒しみたいな存在にも、清水尋也は買って出ています。素晴らしい。君がいてくれてこの作品は本当に救われた。てかあと50回ぐらい観に行っていいですか?好きになってもいいですか?笑
あと、役者は置いといて、映像の構成やカット割り…めちゃくそ目まぐるしい!!笑。パッパッペッペッと入れ替わりの立ち代わり。(あと静止画も多用していて、覚えている人なら分かると思うけどアニメの「彼氏彼女の事情」を彷彿とさせる部分もしばしば。いい意味でおしゃれ。)それはそれでいいんだけど…いかんせん私は生まれつき三半規管激弱人間なので、幾度となく吐きそうになりそうに(観てないけどゼログラビティ観た感覚に)なりました◎たまに目を伏せつつ(しかし清水尋也のカットは見逃さず)(←いい加減気持ちが悪いなw)観てました。人と人との間に建物のカット割り(これもおそらく意味があるんでしょう)がすんごくあり、「たてものー!」とも小さな声で何度か叫んでしまった…応援上映でもないのに…迷惑な客だ…すみませんでした、わたし以外の4名さま。
あのう、悪口なのか褒めてるのか分からない感想になってしまいましたが私はとても気に入った作品なのでよろしくお願いします。
あと、途中高校生にありがちなリアルな少しエロいシーンがあって、ある種普通の大人向け映画のエロシーンよりもむずがゆいエロなので一人で観に行くことを本気でオススメします。あと終始皆さん、吐息混じりの耳元で喋ってるような声を発しています。そんな演出。
もっと何回も観たいなー。

まつこ