劇場公開日 2019年5月17日

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「生きることに力点を置いた時代劇」居眠り磐音 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0生きることに力点を置いた時代劇

2022年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

意外な作風だった。従来時代劇に比べ生きることに力点を置いた良作だった。不可解な事件、豪快な殺陣、すれ違う男と女、善と悪の対峙など、従来の時代劇の要素は満載だが、暗さは少なく、現代風味の作品に仕上がっている。

本作の主人公は、豊後関前藩・藩士坂崎磐音(松阪桃李)。江戸で3年間過ごし、帰郷した彼に、過酷な運命が待っていた。彼は、二人の幼馴染を失い、許婚の奈緒(芳根京子)とも夫婦になれず、故郷を捨て、江戸で浪人暮らしを始める。そして、両替商に用心棒として雇われ、剣の達人として頭角を現していくが、故郷での出来事は彼の脳裏から消えることはなかった・・・。

現代劇で活躍している、松阪桃李、芳根京子、木村文乃が作品を牽引している。松阪桃李は、普段は心優しいが、実は過酷な運命を背負って懸命に生きようとする剣豪という役を、悲壮感を抑えた淡々とした演技で好演している。眠りの構えとも呼べる独特な構えからの殺陣も迫力十分。芳根京子は、演じるというよりは主人公への一途な想いを貫いて生きる奈緒と一体化していて、表情、佇まい、台詞に、主人公への想いが溢れていて胸を打つ。木村文乃は、主人公の住む長屋の大家の娘役であり、イメージ通りの勝気な献身に叶わぬ恋の切なさを滲ませている演技は流石。

何か、現代劇を観ている雰囲気になるのは、主要の3人が従来の時代劇の枠に拘らず、持ち味を生かした演技をしているからだと感じる。やはり、現代人が演じる以上、時代劇は時とともに変化していくのは当然だろう。寂しさはあるが納得はできる。

本作のメッセージは、切ないラストシーンに集約されている。奈緒は主人公への想いを秘めながら、強く次に踏み出していく。主人公も、奈緒への想いに揺さぶられながら、今を強く生きようとする。二人の生きる覚悟に涙が溢れてくる。

運命に翻弄されても、強く生きることはできる。観終わって、本作のメッセージが心に染み渡ってくる。

みかずき
りかさんのコメント
2022年9月28日

こんばんは、失礼しました。いつもなら、コメントいただくとお知らせ入るのですが、入らず拝見するのが遅くなりました。すみませんでした。
『この世界に残されて』は未見とか、
機会ありましたら、是非ご覧になっていただき、レビューをお願いしたいのです。
私、もう一度観てからと思ってます。
ラストのところをどう解釈されるか拝見したいのです。

りか
りかさんのコメント
2022年9月27日

こんにちは、
突然ですが、
『この世界に残されて』をご覧になられましたか?
みかずきさんのご覧になった作品名をこれから拝見しようと思いますが、
もしまだでしたら、いつかご覧いただいてレビューをお願いします。
(チェコと間違いそう?ですが)
ハンガリー作品です。

りか
りかさんのコメント
2022年8月22日

遅ればせながら、共感ありがとうございました。松坂桃李さん、〇〇変化というか、出る作品ごとに違う人間がいるって印象です。この作品、ジワ〜と来ますね。

りか