「磐音、よう来たなぁ。」居眠り磐音 くりさんの映画レビュー(感想・評価)
磐音、よう来たなぁ。
知らぬまに、磐音の心情が入ってきて
見ているのか、体験しているのか
わからなくなりました。
だから
何度か作中で、込み上げるシーンは
あるのですが、
一番ささったのは、
心身やつれて、たどり着いた
佐々木道場にて、激しい打ち合い後
師範からかけられた言葉。
「よく帰ってきた。」
何ともいえない安堵を得て、
自然と泣けました。
許嫁のこと
友のこと
親のこと
藩のこと
全てを捨てざるえなかった
自分を
受け入れてもらえる
ありがたさに。
時代小説やドラマは、
池波正太郎の鬼平、剣客商売、
司馬遼太郎の竜馬がゆくなどは
読んだり見てたけど、
時代劇のちゃんとした映画を
劇場でみるのは
初めてかも。
見ようと思ったのは、
上記の作品は、
どれも時代劇としては優れていると
思うけど、
強すぎる主人公や特別感が
あまり、
身近に感じられなかったんです。
けれども、
本作は、そこが違った。
磐音は、一介の武士で
強いけどもいつもどこか傷つく。
立身出世ではない。
そして、物語を背負っている。
人に歴史ありといいますが、市井の人々
の描写。そこが魅力です。
そして、
この時代の人を女性や男性を現代と
同じ目線で、地位や財力によって
敬ったり、貶めたりしている
リアリズムがいいと思います。
長期出張中で、
夫のいない家庭の不倫現場に仕立てる
騒動や上司の企み。
生き残った許嫁の最後の居場所の
設定などは、
現代の我々の日常からすると
想像しやすい。
そこからくる、
悲しみ、嫉妬、やるせなさ…
そういうものを、現代臭くさせずに、
構成されてるのがいいです。
ただし、
恋愛観としては、
この時代の男目線なので、
どんなことがあってもそばにいる、守る
という思想がないのが少しテイストが
ちがうところ。
そして、
決定的に今と違い、
現代と隔絶させてるのは、
死生観でしょうか。
殺傷能力が高い武器を常に身にまとい、
死が日常だった世の中での
生き方が伝わりました。
そんな、背景を持ちながらも
本作の見どころとしては、
美しい殺陣による興奮でしょうか。
日本人のDNAなのか、
役目を自覚したとき、
普段とは違う覚醒で
異次元の強さを発揮する磐音に
共感するのです。
とにかく、
エンドソングのMISIAにしても
沁みて沁みて、
しばらく席に座ってました。
一時代を築いた勧善懲悪の時代劇を
越えたエンターテイメント性が
楽しめます。
おすすめ。
くり様
私も佐々木さんの「よう、来たなぁ。」に泣きました。
あんなに苦しい思いをした磐音が帰る場所があったのか、と安心しました。
本作、色々と縁があって
既に4回観ましたが
観るたびに、胸に沁みます。
シリーズ化してほしい。
おこんちゃんの今後も
気になります。笑笑