劇場公開日 2019年5月17日

  • 予告編を見る

「日本には時代劇がある!」居眠り磐音 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5日本には時代劇がある!

2019年5月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

萌える

最高。普通の「大衆時代小説」を真っ向勝負でエンタメ化。芳根京子は出番の度に泣かすし、最初の道場シーンを除く全チャンバラ場面が、兎に角カッコいい。

ただし、黒沢や勝新とは比べないで下さい。
カムイや無限みたいなおバカ感はありません。
剣心やあずみみたいにぶっ飛びません。
昭和の暗澹無し、ワイヤーアクション無し。
本当に普通の時代劇。そこが良い!

泰平の世、「命のやり取り」に自己証明を求めた剣士達の姿を、も少しだけ描写して欲しかったかなぁ。柄本明の断末の叫びが渋かった。と言うか、アレ、続編への布石ですよね。待ってます。

※脚本の単行本貰えました。薄いけど、地味にラッキ!
と、磐音の妹役が南沙良だったことを、後で知った。いつもの辿々しい話方は演技だったんか?やっぱこの子、地味に只者じゃない。

================
5/22追記
「武士道とは死ぬことと見つけたり」。武士ってメンドクサイ。名誉、家名、面目は、命より大切。自分の命よりも、家族の命よりも、友の命よりも。

家名を守るために、或いは名誉のために、笑いながら死んでいった「時代モノの登場人物」に、心打たれた経験を数え上げればキリが無い。死を覚悟する時の気高さと落ち着きが、武士道精神そのものだと思っています。

磐根は小林琴平を、背後から斬ってしまいます。藩命により成敗したカタチですが、武士にあるまじき決着が、逆に家名を傷つけると言う皮肉。切腹しても不思議じゃないが、磐根は全てを捨てて脱藩する。つまりは、侍社会では「死に切れなかった負け犬」なわけです。だから奈緒を迎えにも行かないし、道場にも顔を出せない。

※佐伯原作は未読なので、この辺りの描写が不明です。

「負け犬感」を描写すれば、暗~い話になってしまう。武士道精神をサラッと流して、「竹馬の友を斬ってしまい、心に深い傷を負った優しい剣士」にキャラを振った戦略は間違ってないと思うし、今日的魅力があって良いかなぁ、って言うのが映画を見終わった時の感想。シリーズ化して欲しいけど、作数を重ねる毎に風呂敷が広がって行くパターンに陥らず「下町の片隅の話」を維持してくれよ、ってのが切なる願いです。と、芳根京子が好きなので、配役、簡単に変えないで下さい。お願いします。

bloodtrail