劇場公開日 2019年7月19日

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「変態にトレビア~ン!」東京喰種 トーキョーグール【S】 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5変態にトレビア~ン!

2020年2月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

単純

興奮

同名コミックを基にした2017年のヒット作の続編。
続編は期待出来る作品ではあったが、まさか本当に作られるとは思わなかった。だって、前作のトーカ役の女優が、ねぇ…。

人間を喰らう怪人“喰種(グール)”。
前作である喰種に襲われ、喰種と人間のハーフとなってしまった大学生のカネキ。
善良な喰種らが出入りする喫茶店“あんていく”でトーカらと共に平穏に暮らしていたある日、
突然現れた謎の男、月山。
美食家という彼と交流を深め、彼の誘いで美食レストランへ誘いを受けるが…。

勿論、月山も喰種。
原作では“美食家(=グルメ)”と呼ばれる圧倒的な人気を誇るキャラだという。
確かにそれも頷けた。と言うのも、この月山というキャラ、超ド変態!
開幕早々、美人モデルの輝くような目玉だけを食べ(マギー、瞬殺!)、芸術的な人体肉料理をエレガントに舌鼓。
半喰種半人間のカネキの香りに心底魅了され、カネキに異常なまでに執着。
カネキの血の付いたハンカチを悶えるように狂おしく嗅ぎ、カネキの血を舐めトレビア~ン! カネキくん、嗚呼カネキくん、君を食べたい…。
演じるは、松田翔太。上品かつナルちゃんで変態的な今回の新キャラをインパクト充分に怪演。

何処にでも居そうな平凡な青年像、半喰種半人間としての葛藤、身体を張ったアクションや怒りを滲ませた際の凄み…。引き続き窪田正孝が等身大で巧演。
前作でイメチェンした某女優の降板は残念だが、代わってトーカを演じる山本舞香も悪くなかった。気の強いドS言動やアクションは、姉御肌で魅せた『SUNNY』で実証済み。それに、今お気に入りの若手女優の一人だし♪
キャストはほぼ続投。森七菜や木竜麻生ら注目の若手も新参加。
それらは悪くないが、キャストは前作の方が印象強かった。
珍しくシリアス敵役の大泉洋もさることながら、カネキを喰種にした蒼井優の怪演が特に。

本作でもカネキは悩み続ける。
食べられる人間と、食べる喰種。
のさばる人間と、陰に隠れてひっそりと生きる喰種。
どっちが善で、どっちが悪なのか…?
いやそもそも、そこに善悪の境界などあるのか…?
カネキにも人間の友達が居る。トーカにもクラスに唯一、友達が居る。
が、喰種である事を知らない。もし、知られたら…。
前作でカネキを襲った喰種である大学の先輩。彼には正体を知る人間の恋人が居る。
喰種も人間も絶対に共存出来ない事はない。
それを嘲笑うかのように、自分の満足の為に補食せんとする月山。
喰種や人間とかではなく、醜く悪しき独り善がりな欲望に立ち向かう。
クライマックスはお馴染みの赫子(かぐね)を出し、CGと肉弾入り乱れのバトル。
上記のドラマも含め、見応えと面白味ある作品に…なれなかった。

確かに喰種と人間の関係にも踏み込んではいるものの、ドラマ的には前作の方が良かった。前作の喰種母子のドラマは悲劇的であったし。
前作では話に大きく関わっていた対喰種組織“CCG”は今回完全に蚊帳の外。
カネキが喰種になったのは偶然ではなく…とか、トーカと友人のエピソードとか、何か中途半端。
たっぷりのエピソードを一見詰め込んでいて、纏まりに欠けた典型例。
人気キャラで強敵を登場させる、これも典型的な続編あるある。
別にそれは全く悪くないが、クライマックスで敵が勝利を高笑い、主人公らが苦闘するベタな展開で、ハラハラドキドキが盛り上がらない。これも演出や脚本が不味かったか…。

結局印象に残ったのは、変態新キャラだけ。
変態チックな作風が好きな人は本作の方がお口に合うだろうが、単純にエンタメやメッセージをスパイスした作風が好きなら前作の方が美味しいかもしれない。

何だか3作目を思わせる終わり方だったが…、
興行はガクンと下がり(11億円→3億円)、多分次は無いだろう。

自分も食べるのは好きだが、
流血や人食などグロい要素がある本作を、お昼ご飯を食べながら見る自分も変態かも…?

近大
CBさんのコメント
2020年2月8日

次回作なさそうですか…
せっかく山本さん、適役のひとつを得て、成長するかもと思ったのですが、残念。
映画自体には、あまり思い入れがありませんでした。同感なのは、1での蒼井さんの怪演かな。

CB