グリーンブックのレビュー・感想・評価
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❓%の力のレビュー🤘🏼
NASAのマーキュリー計画と人種問題を絡めた映画『ドリーム』と似た安定感のあり過ぎる本作品。
実話に基づく系ですが、結局白人がええモンになるお話だとか、アカデミー賞向け作品だという難癖もあるようですが、確かに正統派過ぎて危なかしさと面白みに欠ける面はありますね(笑えるシーンがあるというのとは別の意味で)。
お話内容は優等生ですが、人種問題の根は深く、皆こうすべきと解っていても完全解決まではまだ月日を要する事なので、まあ日にち薬というか時代薬ですので置いといて(←この先送り態度がイカンのか😓)、、
私がムズムズしたのは、たとえバ-ガ-🍔であれホットドッグであれ🌭バンズの油分ですら~そんなん付いた手でハンドル握るなんて許せ~ん!😝! フライドチキン🍗なんてもう‥異次元の極み〜😫 その手で窓を開けるシーンはあの時代でもパワ-ウインドウのワンプッシュのオ-トモ-ドが付いててまだ良かった🥴ホッ
そんなバレロンガ役は『始まりへの旅』のワイルド教官パパ役の人でしたか、そうでしたか。いつも長旅ご苦労様です。
最後のウェルカムなシーンで、‥ジッと感動しつつも、それまで散々交友を育んでおきながら、ラストで態度を翻して突き放して追い返すというあり得ない鬼畜展開を、つい一瞬チラと (皆がかしこまった冠婚葬祭の場などで、何故だか不意に常軌を逸した奇妙な展開を脳内再生し、独りで勝手にゾワッ!とソワソワする気分を味わうかのように) 想像してしまうのは私だけですかね😗❓
(他の例:心優しき純真な人から心のこもった贈り物🎁を受け取る場面で、そんな気持ちはさらさら無いのに、何故だかそれを本人の目の前で叩き落とす自分と、それで悲しい気持ちになる相手を想像してゾッ😱とするみたいな‥🙄 なんか何の問題もない平和で幸せな状況だとジッとしてられない天邪鬼みたいな小さな虫🦂が心の何処かに潜んでいるのかも🧐
幸せに慣れぬ男の幸せ恐怖症か😅饅頭怖い)
2人の演技が素晴らしい。かなり好きな映画。
【グリーンブック】観てきました。
実話です。1960年代のアメリカ。
著名な黒人ピアニストが南部への演奏旅行にドライバーとして雇ったのがヴィゴ・モーテンセン演じるイタリア系アメリカ人のトニー。粗野で、無学で、腕っぷしが強くて頼りになる。
クリスマスまでの2ヶ月に渡るツアーの道中を描いたロードムービー。
当時のアメリカは知っての通り黒人差別が酷く、特に南部は黒人蔑視が強い(昔アフリカから連れてこられた奴隷がまずは南部特産の綿花畑の作業夫に使われたため)そんな時代。
題名の[グリーンブック]とは、Mr.グリーンが毎年出していた、黒人の使えるホテルや店のガイドブック。
当時はトイレも、乗り物も、ホテルもお店も、黒人の入れない場所があったのですね。
このグリーンブックを頼りに、数々の演奏会場を車で巡りながら、2人の関係性が徐々に変わっていくというストーリーなのですが、その旅途中のエピソードそれぞれがなんとも言えない味わいで。考え方も育ちも全く違う2人は、時にぶつかり、時に笑い、ハプニングや危ない目にも遭いながら切り抜けていく。
実はトニーも最初は黒人を差別する気持ちのあった人。でも、粗暴ながら家族を大切にし、失業していてもマフィアの友人からの仕事は断わるような、信念のある心根の熱い人。
一方ピアニストのシャーリーは、黒人ながらその才能を幼少の頃に見出され、ロシアのレニングラード音楽院で英才教育を受け、幼い頃からプロのピアニストとして生きてきた教養溢れるセレブ。
まさに正反対の2人が、旅の終わりには互いの人生に大きな影響を与え、最高の笑顔になるのは、旅の間の出来事を通して互いの立場なりの心の痛みや苦労を知り、理解し合い、真の友人になれたから。
シャーリーが[あえて黒人差別の激しい南部を選んで演奏会をするということは、彼なりのチャレンジである]ということが次第にわかってきます。
警官、住民、そして時には招いてくれたホストや会場の責任者からも肌の色が違うというだけで不当な扱いを受けたり暴力を受けることがあっても、どんなにつらいことがあっても、決して声を荒らげず、静かに耐える。
彼の唯一の武器、ピアノの才能をもって、彼なりに、世界を変えようとしている。
静かに、ひとり闘っている。
それがわかったとき、涙します。
なんて勇敢な人なんだろうと。
そして、それまでの過去が滲み出た彼の孤独な眼差しに引き込まれながら、対照的なトニーの明るさ、力強さに私たちも一緒に包まれる感覚。
全力でシャーリーを守るトニーの姿に、胸が熱くなる。
雇い主だからじゃない。お給料もらってるからじゃない。
大切な友達だから。それだけ。
観終わった後、すごく余韻が残る映画です。
色んなことがあった2ヶ月間、いくつかのシーンが思い浮かぶ(私は特に手紙の書き方を教えるエピソードと、酒場で即効演奏するシーンが大好き!)。
今も、トニーの笑い声が聞こえる。
シャーリーの美しいピアノの調べが聞こえる。
人間の尊厳、本当の勇気。友情。
ラスト近く、シャーリーがやっと、心からの笑顔になれたのがわかります。
あったかい気持ちになる、本当に素敵な映画。
超おすすめ✨
白人でも黒人でもない、人間でもない!
2人の可笑しなやり取りに思わず笑ってしまったりしながら、最後にはジーンとくる、良い映画だった。
黒人ジャズピアニストとイタリア系白人の運転手兼用心棒。肌の色も違えば、性格も全く正反対に見える2人。
共通点が少ないような2人だが、最後には心通わせる親友になってしまうということは、どこかシンクロする部分があったのだろう。あるいは、自分にないものを、相手に見出したのだろうか?次第にお互いがお互いを尊重し始め、学び始める…。
タイトルは、ドクタ・シャーリーの悲痛な叫びである。
はぁ。
見終わったあとに、感想やら言葉やらを喋ったら自分の中の気持ちが全部出て行ってしまうんじゃないかと思ってしばらく息さえも慎重にしていた。
黒人差別を描いている映画に対して、「よかった」「感動した」なんて感想は不謹慎なんじゃないかと思いながら、なかなかぴったりな言葉は浮かんでこなかった。
海外の人は差別的に思っていた相手の素晴らしい面、才能、実力などを見せられた瞬間、コロッとその人を受け入れて仲間にする事が出来る。日本人にはないところだと思う。本当に素晴らしい。
少しずつ、ゆっくり個々を認め合い、寄りそう二人。信頼関係というのは一瞬では成り立たないということを教えてくれる。
一回目パトカーに捕まり拘留される。
二回目もまた捕まると思ったら、今度は助けてくれる。人生はそんな悪いことばかりではないと教えてくれる。
傑作
相当おもしろい。
ドクとトニーがうまいのがなにより。
最後の警官に止められるくだりにはやられた。
勇気と信念をもてば世界を変えられることを教えられた。
ドクとトニーの心の描写も美しい。
コメディ要素も最高。
色々な差別で楽しむ心を失っていたドク。
高貴な育ちも起因しているだろう。
それは自己肯定のために高貴な演奏会をきいてその後はニガー呼ばわりにされていると思っているところからもうかがえる。
そこで「上流貴族で俺の生活のほうがよっぽど黒人だよ」といわれてしまえばふさきこんでしまうのも当然だっただろう。
この映画を糧にトニーのように心から楽しめるようになりたいとおもうし、変な考えに縛られたくもない、自分が差別されているネガティブな意味で特別だと思い込まないようにしよう。
ただし前半のトニーのように金目的ではなくドクのように信念を持って、愛をもって行動していけるようになればよいのだとおもう。
そうすれば世界を変えられる。
古き良きアメリカ☆
アメリカ版「最高の二人」という感じかなぁ・・
始めは、お互いに理解し合えない二人がだんだん分かり合えて
むしろお互いを尊敬しあえるまでを描く物語。
ある意味、最後まで期待を裏切らずにストーリーは進みます。
ラストも、こうなると良いなみたいな終わり方。
それでも、見て良かった・・と思える映画。
主演(助演男優賞をとったのに変ですが・)の二人が
素晴らしいです。
物語を彩る音楽・歌も良くて 古き良きアメリカに入りこめ
ました。
他の方が書いているとおり、好みあっても見て良かったと
思える映画と思います。
観賞後の満足度はかなり高め!
黒人ピアニストのシャーリーとマネージャーに雇われたイタリア人トニーのアメリカ演奏ツアー。
序盤で「グリーンブック」の意味を把握。これからの展開は容易に想像出来ちゃいます。
ツアー中に起こる人種差別などの数々のトラブル。
個々のトラブルが重くも軽くもない良い塩梅。このさじ加減が絶妙。
所々に笑いやほっこりするシーンもあり良好。
作品で流れる音楽やシャーリーのピアノ演奏も凄く良い🎵
二人の絶妙なコンビのやり取りも最高。
観賞後はなぜか幸せな気分に。
最後にトニーの奥さんがシャーリーに耳打ちする一言で幸せをお裾分けされた気分になります。
観賞後、ケンタッキーフライドチキンが食べたくなるのは必然ですね( ´∀`)
とても素敵な映画でした◎
一部アカデミー賞に相応しくないと言う人もいますが、
個人的には最高な作品に出会い幸せな気分になれました。
ずっとこんな心に沁みる映画を観たいと思っていました。
トニーとドク主演二人の醸し出す空気感に癒されました。
トニーがドクに言います、
「寂しくなったときは、自分から動かないとダメだ」と、
ドクの孤独という殻にひびが入った瞬間だったと思います。
その伏線があっての最後のシーンには泣かされましたよ。
流れる曲や演奏シーンも最高です!
そして観た後、あなたも必ずやKFCを食べたくなるハズ(笑)
マハーシャラ・アリの圧倒的な演技
人種問題の根深さ、複雑さというのは本作を観ても、本作を中心とした論争(スパイク・リー監督、ドクター・シャーリーの遺族からの批判など、詳しくはWEBで!)をみても、異なる文化圏にいる私には全く想像できないほどだということがわかった。
その複雑さに苦悩するドクター・シャーリーを見事に演じたマハーシャラ・アリが素晴らしい。
文字通り品位を身にまとった姿、ピアノを弾く前には必ず指輪を外すという細かい仕草から、黒人からも白人からも白い目で見られる私はいったいなんなんだ!と感情を爆発させる表情まで、全てが胸に刺さる。彼の表情、佇まいが頭から離れない。
ピーター・ファレリー監督は今まで弟と組んで「メリーに首ったけ」や「ジム・キャリーはMr.ダマー」などのコメディを撮ってきましたが、本作では初の単独での監督作!!
で!いきなりのアカデミー作品賞受賞!弟はたまったもんじゃないだろう(笑)
全てが素晴らしく、大満足の作品でした。
グレーゾーン。
公開初日に鑑賞。アカデミー賞発表直後、映画デーかつ金曜という最高のタイミングよく映画館は満員。
アカデミー賞を受賞した黒人差別を描いた作品は「それでも夜は明ける」が記憶に新しいがあちらはリアルで見ているのが辛い。
本作はがさつな運転手と教養ある黒人のジャズピアニストという組み合わせで、コミカルな会話も随所に入りテンポよく進む。勿論理不尽な差別、綿花を摘む黒人労働者からの妬みの視線、俺は黒人より黒人を知っているというトニーのセリフに人種差別とは無縁に育ってきた身としては理解しようとしてもしきれない辛さを感じる。
最強のふたりと構想が同じだというレビューも見るけど、これが実話に基づくというところが何よりすごい。
今日のブランチでモーテンセンのインタビューがあったけど、この作品の良いところは単純に白か黒かではなく、グレーゾーンがたくさんあるところだ、と。
多民族国家のアメリカでもイタリア系は侮辱されたり、闇は深い。
そして、のだめほどではないけど音楽映画としての魅力も特筆すべきところ。スタインウェイのピアノにこだわるセリフで、この時代スタインウェイを用意するのは大変だったのかなーとか、黒人のクラシックピアニストは需要がないとか、音楽に関わる人間としては楽しめるポイントたくさん。
ボヘミアンラプソディーも良かったけど、作品の深さという点ではこちらが選ばれたのは納得。
どんな時代でも差別はなくならない。ジョージアインマイマインドのメロディが今も脳内で流れながら、そんなことを思います。
優しくなれる温かい作品
とても良かったです。
トニーとドクの距離の近づき方が自然で、ドクの孤独や黒人が受ける差別の哀しさ辛さを知っていくことでトニーの偏見も無くなっていくのが嬉しくて、ラストシーンは温かい気持ちになれました。お互いを知って認め合って、近付こうとする勇気が大事なんだと優しく教えてくれる良い作品だと思います。
ストーリー的にはめちゃくちゃ面白いわけではないし、こんなに現実は上手くいかない(実話ですが)という意見も分かりますが、映画なんだから綺麗事でもいいじゃないと。この映画を観て優しい気持ちになれる人が1人でも増えればいいなと思います。
素晴らしいの一言
米アカデミー賞作品賞も納得の一本。
差別などの表現がある映画はなかなか感想を言いづらい。
だけど、観るべき映画。
観て欲しい。
バーのシーンは
めちゃくちゃサイコーーーーーー!
泣きながら笑ってた。
トニーの「世の中は複雑だ。」
この言葉に救われる。
この2人は自分の立場を理解しようと努力している。
そして、歩み寄ろうと努力してる。
無理に急に距離を縮めようともしないし、相手に強く求めることもしない。
そこがいい。
内心は黒人を拒絶しているのに
寛容な人間だと思われたくてドクの演奏を聴きにきているこの愚か者たち。
人のふり見て我がふり直せ。
今一度思いかえそう自分の行動。
オーソドックスな良い映画
アカデミー賞作品賞にはここのところゲテ物や社会派が多かったように思うが、これはいかにもアメリカ人が家族で観て楽しめるようにできている。涙も笑いもあり、人種差別を描いてはいるが、ホテルやレストランでの扱い、人種差別で有名な都市名などアメリカなら教科書に載っているレベルの話なので、子供でも大丈夫。
そういえば新宿の映画館にも小学生が来ていたなあ。
ケネディの演説をネタにしたギャグなど、アメリカの映画館なら大笑いだっただろうね。
アカデミー作品賞おめでとう!
グリーンブックTOHOシネマズ渋谷にて鑑賞
さすがアカデミー作品賞。鑑賞後いろいろな感情が駆け回った。黒人差別一本で今のアメリカで現在でもある問題に正面から切り込んだ作品だと思った。いろいろな州をツアーして行くうちにビィゴモーテンセンとマハーシャラアリの絆がどんどん深まっていったなと感じました。確かにものがたりのテンポや映画の技術面ではネットフリックスで配信しているローマが圧倒的だが劇場でみんな泣き笑って見られるのはグリーンブックだと思います。
迎合と矜持と
ロードムービーは無条件で観てしまう性分なので、全く予備知識がないまま鑑賞。
ドン・シャーリーはてっきりジャズピアニストだと思い込んだのだが、それこそがステレオタイプな人種観の表れだと反省した。
しかし、本来クラシックを本領とするシャーリーが、南部の各地で演奏するのがイージーリスニング系の曲であったことに、彼のストレスの根源を感じた。このことが彼を白人でも黒人でもない誰かにしてしまったからだ。
しかし、それが「いい」という雇われドライバーのトニーが、共に旅をする過程でシャーリーの弱みを強みに変えていくところに、本作の一番の魅力を感じた。
唐突だが、「人生は本当の自分を探す旅だ」という類いの名言をとくとくと語る人間も、この種の哲学自体もあまり好きではない。「本当の自分」など、どこにもない幻想だからだ。
シャーリーは、ピアノと出会わせてくれた母や疎遠になった兄、彼の才能だけを好む富裕層の白人や、彼の肌の色だけを軽蔑する世間の白人など、様々な人々との関係性の中でその存在価値を自分で決めざるを得なかっただけだ。それは、シャーリーに限らず、程度の違いこそあれ、誰もが同じ条件のはずだ。皆、関係性の中で自分を値踏みし、それに少しなりとも不満を抱えているから、「これは本当の自分ではない」と自分を誤魔化しているだけである。「いま、そこにある自分」が「本当の自分」なのだ。
この旅は、シャーリーにとって迎合でしかなかった音楽性を彼のアイデンティティに欠かせないエッセンスだと認識し直し、矜持だったはずの無抵抗を愉快でささやかな諧謔へと昇華するものだった。「いま、そこにある自分」を見直すきっかけだったのだ。まさしくトニーのユーモアと粗暴さが、シャーリーに自分自身を見つめ直すきっかけになったのだろう。
ヴィゴ・モーテンセンが、頑固で無学なようでいて、受け入れるべきを受け入れ、しなやかに自分を変えていくトニーを見事に演じている。オスカーは彼に与えられるべきだった。
これは観た方が良い
笑いあり涙あり
分かりやすく誰でも見やすい映画だと思います。
とてものめり込めました。
ドクターが笑うたびに私まで嬉しくて涙が出ました。
一流のピアニストで裕福な生活が出来ていたとしても
たくさん傷ついてきた。
1人でずっと頑張ってきた。
そして、最高の相棒に出会いやっと自分の本当の気持ちをぶつけることができた。
トニーもドクターと出会ったことで初めてのことがたくさんあり学んだ。
お互いがお互いを求め合う最高の相棒
奇跡の出会いです。
後半は何回も泣きました。
特にエンドロールでは、何か込み上げるものがあったのか1番号泣してしまいました。
観て損はない映画だと思います。
とりあえずケンタッキー食べます。
ドロレスへの手紙
制作・脚本のニック・バレロンガ(トニーの長男)が、最初に付けようとしたタイトルは「ドロレスへの手紙」だったらしい。いや、それで良かったんじゃない?ってのが、まずはある。
イタリア移民としてさげすまれているトニーが、黒人を更に差別する姿は、映画の冒頭部。差別されたものが、更に誰かを差別すると言う、根深い差別の構図。共に何かを成し遂げる事で成立する本当の人間関係。互いを尊敬する事が出来る人間が持つ、内面の美しさ。
テンプレなんですけどね。
「結局は白人が黒人を救う話」だと言う指摘が、米国内にはあるのだと。映画をご覧になった方は、覚えておいてほしい。「差別が無くなると困る人達」はアメリカに溢れている。日本と同じ。「問題が解決すると困る人達」「与党が成果を上げると困る人達」「権力は悪でなければ困る人達」などなど。彼らの主張を鵜呑みにするのは自由ですが、それが正に「無知」ってヤツです。
「白人には成りきれない。黒人でも無くなってしまった私は、一体何者だと言うのか?」。ドン・シャーリーの悲痛なる叫び。でも彼は彼自身の口から答えを語ります。「ドン・シャーリーが弾けばドン・シャーリーだけのショパンになる」。人は皆、自分が何者かの答えを求めたがる。あなたの血液型はAだから几帳面です、と言われれば安心する。大切な事は「何モノなのか」ではなく「何をするモノか」。
メリポピでもあったよな。「本の表紙に騙されないで」。ドン・シャーリーは人の心を動かしてしまう力を持つ人で、ピアノを道具として使う。
トニーはドン・シャーリーを天才だと認め、彼の知性と孤独に触れた事で偏見を捨て去る。最愛のドロレスへの手紙は、同時にドン・シャーリーへの敬意でもあり。
ドン・シャーリーはトニーの純真を見抜いて好意を持ち始める。手癖は悪い、品は無い、悪食。だが酒に飲まれない。
アカデミー賞は芸術賞にあらず。最も多くの人のココロを動かし映画の発展に貢献した作品と人に贈られる。十分に資格あるでしょ。
感動と言う意味では、去年のリンクレーターの方が良かった。けど、涙交じりの笑顔で終わってくれた、このロードムービー、とても良かった。
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追記 3/4
自分自身の体験から感じた事を書いておきます。言いたいことは二つ。「欧州とアメリカの差別の構図を同質として見る事はできない」ことと、「オスカー授賞の意味」です。
「最強のふたり」と比較する向きがありますが、根本的に「欧州」と「アメリカ」の差別の構図は異なると感じています。フランスやドイツなどで「肌の色が異なるカップル」を見掛けることは稀ではありません。肌の色が異なるグループが一緒に行動していることも珍しくありません。人種的な差別は厳然として存在します。私自身も、パスポートコントロールでパスポートを放り投げられたことがあります。英語が不自由なことを馬鹿にされることもありますが、北米のそれに比べれば、全く気になりません。肌で感じる段差は、階段の数段程度。むしろ今抱えている最大の問題は「多国籍化し過ぎたこと」じゃないかと思います。誰もが「ナショナリズム」の主張をしたいのにできないジレンマを抱えている様に思えるのです。いわゆる「差別」とは少し違うと思う。
アメリカは酷い。明確な差別意識を感じます。ガソリン・スタンド併設のコンビニやコーヒーショップで黒人店員に「英語が下手な事」を理由に差別的な態度を取られた経験は、一度や二度では済みません。飲食店で「アジア人に肉を食わすくらいならタダでホームレスにくれてやりたい」とか「Glasseeeeees(一緒に居たもの全員が眼鏡をかけていたことを揶揄された)」などと陰口をたたかれたこともあります。
アメリカの州によっては、ある規模以上の企業は、一定数のマイノリティを雇用するよう義務付けられています。それは良いのですが、驚かされるのは「マイノリティ専用のオフィス・休憩スペース・食堂・ロッカー」などを設けることも規定されている事です。グリーン・ブックをご覧になった方は、それがいかに不自然なものであるのか理解できるはずです。法律が「隔離」の存続を規定しているのは絶対におかしいと、私は思っています。なぜ、彼らとのコミュニケーションの機会を奪わなければならないのかが理解できない。
欧州で「友達を紹介するよ」と言われて、連れて来られたのがインド人だった、なんてのは普通。アメリカでは「友達を紹介するよ。インド人だけど、君は気にするか?」となる。
「差別を継続するにもエネルギーが要る。そんなことに労力を使うより、彼らの力を取り込む方が良い」。と言う現実的な判断を、遠い過去にしている欧州。現在、一挙に増えすぎたムスリム・ショックを社会が吸収できずに混乱していますが、時間が解決すると思う。100年単位の時間が必要だと思うけど。
「黒人は差別を受け続けているし、それは決してなくならない」と悲観視し、根本的な解決策を取ることを阻害する団体が利権をむさぼっているのがアメリカ。
(これが日本と同じだと思う。私が知らないだけで、欧州にもあるのかも知れませんが。)
最強の二人の構図は、「知性・年齢・経済力のギャップ」であり、グリーンブックは「弱い者が更に弱いものを蔑視する差別意識」です。この根本的な相違は、欧州(特にフランス)とアメリカの差別の構図が同質でないところから来ていると思う。
「人種問題はAwardへの近道」と揶揄する風潮について。私が審査員であっても、グリーンブックにしたかも知れない。「ともに何かを成し遂げることで差別を乗り越えたバディ達」と言う物語への称賛です。単に差別を取り上げただけではなく、「未来への提言」があるからです。人種問題への理解があるフリしてるだけの審査員も居るでしょう。仮にそうであったとしても、結果そのものを肯定します。普遍的なものとして後世に残したい。類似品が、過去・未来に溢れかえっていたとしてもです。普遍的で正しいメッセージを持つ作品に賞を与える。授賞者の意図は、そう言う事だと思います。
違いはあっても、友情は築くことができる
「グリーンブック」(原題:Green Book)。
7,902人(2019年)と言われる投票権をもつ会員が選んだ、今年のアカデミー賞作品賞である。"白すぎる"と言われたり、"MeToo"と訴えられた結果としての、痛くも痒くもない選択になってしまったのかなぁ・・・と。
むしろ、尖った魅力的な作品がネット配信ばかりになることと、必死に闘っているような気もする(笑)。あくまでも個人的な印象だ。
カンヌのように審査員の個人的見解が色濃く反映されるものとは違っていいとは思うが、バランスを気にしすぎると、なんら特徴のない結果しか生まれてこない。
パルム・ドールの「万引き家族」以外の選択肢なんてあるわけのない、日本アカデミー賞の茶番を見るにつけ、権威に弱い日本人らしさを象徴していて、微笑ましかったり・・・。
「グリーンブック」は悪くない。人種差別問題を取り上げつつも、その苦しさや怒りを強調することなく、コメディの形を取ることで、心やさしくなれる映画である。
1962年、人種差別が強く残るアメリカ南部へ演奏ツアーをする、黒人ジャズピアニストと、運転手兼・用心棒として雇われたイタリア系白人運転手が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を描く。"グリーンブック"は、黒人用旅行ガイドのこと。
国や宗教、人種や性別、LGBTQなど、劇中でも"実に複雑だ"と表現される諸事情を、あえて受け入れつつ、"暴力では解決できない"と諭す。
違いはあっても、友情は築くことができる。個々で分かってはいても、なかなか全体主義はままならない。
作品の随所で、多くの笑いが起きる。気の利いたセンス。
アカデミー賞脚本賞も受賞しているので、"今年のいちばん面白いストーリー"でもあるのだが、脚本を手掛けたニック・バレロンガが、主人公トニー・リップ(本名トニー・バレロンガ)の実の息子だという事実に感動する。
黒人ジャズピアニストを演じたマハーシャラ・アリ(Mahershala Ali)のピアノを含む演技力の高さ。まだ出演作品数は多くはないのに、「ムーンライト」(2016)に続いて、2年で2度目の助演男優賞も納得である。マハーシャラ・アリは、公開中の「アリータ:バトル・エンジェル」でも敵キャラ役で、不敵な笑みを浮かべているので、これからがますます楽しみだ。
近年、トム・クルーズ作品以外は、年2・3本しか翻訳をしない戸田奈津子が字幕を担当している(なので、英語セリフを聞いたほうがいい)。
(2019/3/1/TOHOシネマズ日比谷/ビスタ/字幕:戸田奈津子)
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