グリーンブックのレビュー・感想・評価
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白人でも黒人でもない、人間でもない!
2人の可笑しなやり取りに思わず笑ってしまったりしながら、最後にはジーンとくる、良い映画だった。
黒人ジャズピアニストとイタリア系白人の運転手兼用心棒。肌の色も違えば、性格も全く正反対に見える2人。
共通点が少ないような2人だが、最後には心通わせる親友になってしまうということは、どこかシンクロする部分があったのだろう。あるいは、自分にないものを、相手に見出したのだろうか?次第にお互いがお互いを尊重し始め、学び始める…。
タイトルは、ドクタ・シャーリーの悲痛な叫びである。
はぁ。
見終わったあとに、感想やら言葉やらを喋ったら自分の中の気持ちが全部出て行ってしまうんじゃないかと思ってしばらく息さえも慎重にしていた。
黒人差別を描いている映画に対して、「よかった」「感動した」なんて感想は不謹慎なんじゃないかと思いながら、なかなかぴったりな言葉は浮かんでこなかった。
海外の人は差別的に思っていた相手の素晴らしい面、才能、実力などを見せられた瞬間、コロッとその人を受け入れて仲間にする事が出来る。日本人にはないところだと思う。本当に素晴らしい。
少しずつ、ゆっくり個々を認め合い、寄りそう二人。信頼関係というのは一瞬では成り立たないということを教えてくれる。
一回目パトカーに捕まり拘留される。
二回目もまた捕まると思ったら、今度は助けてくれる。人生はそんな悪いことばかりではないと教えてくれる。
傑作
相当おもしろい。
ドクとトニーがうまいのがなにより。
最後の警官に止められるくだりにはやられた。
勇気と信念をもてば世界を変えられることを教えられた。
ドクとトニーの心の描写も美しい。
コメディ要素も最高。
色々な差別で楽しむ心を失っていたドク。
高貴な育ちも起因しているだろう。
それは自己肯定のために高貴な演奏会をきいてその後はニガー呼ばわりにされていると思っているところからもうかがえる。
そこで「上流貴族で俺の生活のほうがよっぽど黒人だよ」といわれてしまえばふさきこんでしまうのも当然だっただろう。
この映画を糧にトニーのように心から楽しめるようになりたいとおもうし、変な考えに縛られたくもない、自分が差別されているネガティブな意味で特別だと思い込まないようにしよう。
ただし前半のトニーのように金目的ではなくドクのように信念を持って、愛をもって行動していけるようになればよいのだとおもう。
そうすれば世界を変えられる。
古き良きアメリカ☆
アメリカ版「最高の二人」という感じかなぁ・・
始めは、お互いに理解し合えない二人がだんだん分かり合えて
むしろお互いを尊敬しあえるまでを描く物語。
ある意味、最後まで期待を裏切らずにストーリーは進みます。
ラストも、こうなると良いなみたいな終わり方。
それでも、見て良かった・・と思える映画。
主演(助演男優賞をとったのに変ですが・)の二人が
素晴らしいです。
物語を彩る音楽・歌も良くて 古き良きアメリカに入りこめ
ました。
他の方が書いているとおり、好みあっても見て良かったと
思える映画と思います。
観賞後の満足度はかなり高め!
黒人ピアニストのシャーリーとマネージャーに雇われたイタリア人トニーのアメリカ演奏ツアー。
序盤で「グリーンブック」の意味を把握。これからの展開は容易に想像出来ちゃいます。
ツアー中に起こる人種差別などの数々のトラブル。
個々のトラブルが重くも軽くもない良い塩梅。このさじ加減が絶妙。
所々に笑いやほっこりするシーンもあり良好。
作品で流れる音楽やシャーリーのピアノ演奏も凄く良い🎵
二人の絶妙なコンビのやり取りも最高。
観賞後はなぜか幸せな気分に。
最後にトニーの奥さんがシャーリーに耳打ちする一言で幸せをお裾分けされた気分になります。
観賞後、ケンタッキーフライドチキンが食べたくなるのは必然ですね( ´∀`)
とても素敵な映画でした◎
一部アカデミー賞に相応しくないと言う人もいますが、
個人的には最高な作品に出会い幸せな気分になれました。
ずっとこんな心に沁みる映画を観たいと思っていました。
トニーとドク主演二人の醸し出す空気感に癒されました。
トニーがドクに言います、
「寂しくなったときは、自分から動かないとダメだ」と、
ドクの孤独という殻にひびが入った瞬間だったと思います。
その伏線があっての最後のシーンには泣かされましたよ。
流れる曲や演奏シーンも最高です!
そして観た後、あなたも必ずやKFCを食べたくなるハズ(笑)
マハーシャラ・アリの圧倒的な演技
人種問題の根深さ、複雑さというのは本作を観ても、本作を中心とした論争(スパイク・リー監督、ドクター・シャーリーの遺族からの批判など、詳しくはWEBで!)をみても、異なる文化圏にいる私には全く想像できないほどだということがわかった。
その複雑さに苦悩するドクター・シャーリーを見事に演じたマハーシャラ・アリが素晴らしい。
文字通り品位を身にまとった姿、ピアノを弾く前には必ず指輪を外すという細かい仕草から、黒人からも白人からも白い目で見られる私はいったいなんなんだ!と感情を爆発させる表情まで、全てが胸に刺さる。彼の表情、佇まいが頭から離れない。
ピーター・ファレリー監督は今まで弟と組んで「メリーに首ったけ」や「ジム・キャリーはMr.ダマー」などのコメディを撮ってきましたが、本作では初の単独での監督作!!
で!いきなりのアカデミー作品賞受賞!弟はたまったもんじゃないだろう(笑)
全てが素晴らしく、大満足の作品でした。
グレーゾーン。
公開初日に鑑賞。アカデミー賞発表直後、映画デーかつ金曜という最高のタイミングよく映画館は満員。
アカデミー賞を受賞した黒人差別を描いた作品は「それでも夜は明ける」が記憶に新しいがあちらはリアルで見ているのが辛い。
本作はがさつな運転手と教養ある黒人のジャズピアニストという組み合わせで、コミカルな会話も随所に入りテンポよく進む。勿論理不尽な差別、綿花を摘む黒人労働者からの妬みの視線、俺は黒人より黒人を知っているというトニーのセリフに人種差別とは無縁に育ってきた身としては理解しようとしてもしきれない辛さを感じる。
最強のふたりと構想が同じだというレビューも見るけど、これが実話に基づくというところが何よりすごい。
今日のブランチでモーテンセンのインタビューがあったけど、この作品の良いところは単純に白か黒かではなく、グレーゾーンがたくさんあるところだ、と。
多民族国家のアメリカでもイタリア系は侮辱されたり、闇は深い。
そして、のだめほどではないけど音楽映画としての魅力も特筆すべきところ。スタインウェイのピアノにこだわるセリフで、この時代スタインウェイを用意するのは大変だったのかなーとか、黒人のクラシックピアニストは需要がないとか、音楽に関わる人間としては楽しめるポイントたくさん。
ボヘミアンラプソディーも良かったけど、作品の深さという点ではこちらが選ばれたのは納得。
どんな時代でも差別はなくならない。ジョージアインマイマインドのメロディが今も脳内で流れながら、そんなことを思います。
優しくなれる温かい作品
とても良かったです。
トニーとドクの距離の近づき方が自然で、ドクの孤独や黒人が受ける差別の哀しさ辛さを知っていくことでトニーの偏見も無くなっていくのが嬉しくて、ラストシーンは温かい気持ちになれました。お互いを知って認め合って、近付こうとする勇気が大事なんだと優しく教えてくれる良い作品だと思います。
ストーリー的にはめちゃくちゃ面白いわけではないし、こんなに現実は上手くいかない(実話ですが)という意見も分かりますが、映画なんだから綺麗事でもいいじゃないと。この映画を観て優しい気持ちになれる人が1人でも増えればいいなと思います。
素晴らしいの一言
米アカデミー賞作品賞も納得の一本。
差別などの表現がある映画はなかなか感想を言いづらい。
だけど、観るべき映画。
観て欲しい。
バーのシーンは
めちゃくちゃサイコーーーーーー!
泣きながら笑ってた。
トニーの「世の中は複雑だ。」
この言葉に救われる。
この2人は自分の立場を理解しようと努力している。
そして、歩み寄ろうと努力してる。
無理に急に距離を縮めようともしないし、相手に強く求めることもしない。
そこがいい。
内心は黒人を拒絶しているのに
寛容な人間だと思われたくてドクの演奏を聴きにきているこの愚か者たち。
人のふり見て我がふり直せ。
今一度思いかえそう自分の行動。
オーソドックスな良い映画
アカデミー賞作品賞にはここのところゲテ物や社会派が多かったように思うが、これはいかにもアメリカ人が家族で観て楽しめるようにできている。涙も笑いもあり、人種差別を描いてはいるが、ホテルやレストランでの扱い、人種差別で有名な都市名などアメリカなら教科書に載っているレベルの話なので、子供でも大丈夫。
そういえば新宿の映画館にも小学生が来ていたなあ。
ケネディの演説をネタにしたギャグなど、アメリカの映画館なら大笑いだっただろうね。
アカデミー作品賞おめでとう!
グリーンブックTOHOシネマズ渋谷にて鑑賞
さすがアカデミー作品賞。鑑賞後いろいろな感情が駆け回った。黒人差別一本で今のアメリカで現在でもある問題に正面から切り込んだ作品だと思った。いろいろな州をツアーして行くうちにビィゴモーテンセンとマハーシャラアリの絆がどんどん深まっていったなと感じました。確かにものがたりのテンポや映画の技術面ではネットフリックスで配信しているローマが圧倒的だが劇場でみんな泣き笑って見られるのはグリーンブックだと思います。
迎合と矜持と
ロードムービーは無条件で観てしまう性分なので、全く予備知識がないまま鑑賞。
ドン・シャーリーはてっきりジャズピアニストだと思い込んだのだが、それこそがステレオタイプな人種観の表れだと反省した。
しかし、本来クラシックを本領とするシャーリーが、南部の各地で演奏するのがイージーリスニング系の曲であったことに、彼のストレスの根源を感じた。このことが彼を白人でも黒人でもない誰かにしてしまったからだ。
しかし、それが「いい」という雇われドライバーのトニーが、共に旅をする過程でシャーリーの弱みを強みに変えていくところに、本作の一番の魅力を感じた。
唐突だが、「人生は本当の自分を探す旅だ」という類いの名言をとくとくと語る人間も、この種の哲学自体もあまり好きではない。「本当の自分」など、どこにもない幻想だからだ。
シャーリーは、ピアノと出会わせてくれた母や疎遠になった兄、彼の才能だけを好む富裕層の白人や、彼の肌の色だけを軽蔑する世間の白人など、様々な人々との関係性の中でその存在価値を自分で決めざるを得なかっただけだ。それは、シャーリーに限らず、程度の違いこそあれ、誰もが同じ条件のはずだ。皆、関係性の中で自分を値踏みし、それに少しなりとも不満を抱えているから、「これは本当の自分ではない」と自分を誤魔化しているだけである。「いま、そこにある自分」が「本当の自分」なのだ。
この旅は、シャーリーにとって迎合でしかなかった音楽性を彼のアイデンティティに欠かせないエッセンスだと認識し直し、矜持だったはずの無抵抗を愉快でささやかな諧謔へと昇華するものだった。「いま、そこにある自分」を見直すきっかけだったのだ。まさしくトニーのユーモアと粗暴さが、シャーリーに自分自身を見つめ直すきっかけになったのだろう。
ヴィゴ・モーテンセンが、頑固で無学なようでいて、受け入れるべきを受け入れ、しなやかに自分を変えていくトニーを見事に演じている。オスカーは彼に与えられるべきだった。
これは観た方が良い
笑いあり涙あり
分かりやすく誰でも見やすい映画だと思います。
とてものめり込めました。
ドクターが笑うたびに私まで嬉しくて涙が出ました。
一流のピアニストで裕福な生活が出来ていたとしても
たくさん傷ついてきた。
1人でずっと頑張ってきた。
そして、最高の相棒に出会いやっと自分の本当の気持ちをぶつけることができた。
トニーもドクターと出会ったことで初めてのことがたくさんあり学んだ。
お互いがお互いを求め合う最高の相棒
奇跡の出会いです。
後半は何回も泣きました。
特にエンドロールでは、何か込み上げるものがあったのか1番号泣してしまいました。
観て損はない映画だと思います。
とりあえずケンタッキー食べます。
ドロレスへの手紙
制作・脚本のニック・バレロンガ(トニーの長男)が、最初に付けようとしたタイトルは「ドロレスへの手紙」だったらしい。いや、それで良かったんじゃない?ってのが、まずはある。
イタリア移民としてさげすまれているトニーが、黒人を更に差別する姿は、映画の冒頭部。差別されたものが、更に誰かを差別すると言う、根深い差別の構図。共に何かを成し遂げる事で成立する本当の人間関係。互いを尊敬する事が出来る人間が持つ、内面の美しさ。
テンプレなんですけどね。
「結局は白人が黒人を救う話」だと言う指摘が、米国内にはあるのだと。映画をご覧になった方は、覚えておいてほしい。「差別が無くなると困る人達」はアメリカに溢れている。日本と同じ。「問題が解決すると困る人達」「与党が成果を上げると困る人達」「権力は悪でなければ困る人達」などなど。彼らの主張を鵜呑みにするのは自由ですが、それが正に「無知」ってヤツです。
「白人には成りきれない。黒人でも無くなってしまった私は、一体何者だと言うのか?」。ドン・シャーリーの悲痛なる叫び。でも彼は彼自身の口から答えを語ります。「ドン・シャーリーが弾けばドン・シャーリーだけのショパンになる」。人は皆、自分が何者かの答えを求めたがる。あなたの血液型はAだから几帳面です、と言われれば安心する。大切な事は「何モノなのか」ではなく「何をするモノか」。
メリポピでもあったよな。「本の表紙に騙されないで」。ドン・シャーリーは人の心を動かしてしまう力を持つ人で、ピアノを道具として使う。
トニーはドン・シャーリーを天才だと認め、彼の知性と孤独に触れた事で偏見を捨て去る。最愛のドロレスへの手紙は、同時にドン・シャーリーへの敬意でもあり。
ドン・シャーリーはトニーの純真を見抜いて好意を持ち始める。手癖は悪い、品は無い、悪食。だが酒に飲まれない。
アカデミー賞は芸術賞にあらず。最も多くの人のココロを動かし映画の発展に貢献した作品と人に贈られる。十分に資格あるでしょ。
感動と言う意味では、去年のリンクレーターの方が良かった。けど、涙交じりの笑顔で終わってくれた、このロードムービー、とても良かった。
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追記 3/4
自分自身の体験から感じた事を書いておきます。言いたいことは二つ。「欧州とアメリカの差別の構図を同質として見る事はできない」ことと、「オスカー授賞の意味」です。
「最強のふたり」と比較する向きがありますが、根本的に「欧州」と「アメリカ」の差別の構図は異なると感じています。フランスやドイツなどで「肌の色が異なるカップル」を見掛けることは稀ではありません。肌の色が異なるグループが一緒に行動していることも珍しくありません。人種的な差別は厳然として存在します。私自身も、パスポートコントロールでパスポートを放り投げられたことがあります。英語が不自由なことを馬鹿にされることもありますが、北米のそれに比べれば、全く気になりません。肌で感じる段差は、階段の数段程度。むしろ今抱えている最大の問題は「多国籍化し過ぎたこと」じゃないかと思います。誰もが「ナショナリズム」の主張をしたいのにできないジレンマを抱えている様に思えるのです。いわゆる「差別」とは少し違うと思う。
アメリカは酷い。明確な差別意識を感じます。ガソリン・スタンド併設のコンビニやコーヒーショップで黒人店員に「英語が下手な事」を理由に差別的な態度を取られた経験は、一度や二度では済みません。飲食店で「アジア人に肉を食わすくらいならタダでホームレスにくれてやりたい」とか「Glasseeeeees(一緒に居たもの全員が眼鏡をかけていたことを揶揄された)」などと陰口をたたかれたこともあります。
アメリカの州によっては、ある規模以上の企業は、一定数のマイノリティを雇用するよう義務付けられています。それは良いのですが、驚かされるのは「マイノリティ専用のオフィス・休憩スペース・食堂・ロッカー」などを設けることも規定されている事です。グリーン・ブックをご覧になった方は、それがいかに不自然なものであるのか理解できるはずです。法律が「隔離」の存続を規定しているのは絶対におかしいと、私は思っています。なぜ、彼らとのコミュニケーションの機会を奪わなければならないのかが理解できない。
欧州で「友達を紹介するよ」と言われて、連れて来られたのがインド人だった、なんてのは普通。アメリカでは「友達を紹介するよ。インド人だけど、君は気にするか?」となる。
「差別を継続するにもエネルギーが要る。そんなことに労力を使うより、彼らの力を取り込む方が良い」。と言う現実的な判断を、遠い過去にしている欧州。現在、一挙に増えすぎたムスリム・ショックを社会が吸収できずに混乱していますが、時間が解決すると思う。100年単位の時間が必要だと思うけど。
「黒人は差別を受け続けているし、それは決してなくならない」と悲観視し、根本的な解決策を取ることを阻害する団体が利権をむさぼっているのがアメリカ。
(これが日本と同じだと思う。私が知らないだけで、欧州にもあるのかも知れませんが。)
最強の二人の構図は、「知性・年齢・経済力のギャップ」であり、グリーンブックは「弱い者が更に弱いものを蔑視する差別意識」です。この根本的な相違は、欧州(特にフランス)とアメリカの差別の構図が同質でないところから来ていると思う。
「人種問題はAwardへの近道」と揶揄する風潮について。私が審査員であっても、グリーンブックにしたかも知れない。「ともに何かを成し遂げることで差別を乗り越えたバディ達」と言う物語への称賛です。単に差別を取り上げただけではなく、「未来への提言」があるからです。人種問題への理解があるフリしてるだけの審査員も居るでしょう。仮にそうであったとしても、結果そのものを肯定します。普遍的なものとして後世に残したい。類似品が、過去・未来に溢れかえっていたとしてもです。普遍的で正しいメッセージを持つ作品に賞を与える。授賞者の意図は、そう言う事だと思います。
違いはあっても、友情は築くことができる
「グリーンブック」(原題:Green Book)。
7,902人(2019年)と言われる投票権をもつ会員が選んだ、今年のアカデミー賞作品賞である。"白すぎる"と言われたり、"MeToo"と訴えられた結果としての、痛くも痒くもない選択になってしまったのかなぁ・・・と。
むしろ、尖った魅力的な作品がネット配信ばかりになることと、必死に闘っているような気もする(笑)。あくまでも個人的な印象だ。
カンヌのように審査員の個人的見解が色濃く反映されるものとは違っていいとは思うが、バランスを気にしすぎると、なんら特徴のない結果しか生まれてこない。
パルム・ドールの「万引き家族」以外の選択肢なんてあるわけのない、日本アカデミー賞の茶番を見るにつけ、権威に弱い日本人らしさを象徴していて、微笑ましかったり・・・。
「グリーンブック」は悪くない。人種差別問題を取り上げつつも、その苦しさや怒りを強調することなく、コメディの形を取ることで、心やさしくなれる映画である。
1962年、人種差別が強く残るアメリカ南部へ演奏ツアーをする、黒人ジャズピアニストと、運転手兼・用心棒として雇われたイタリア系白人運転手が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を描く。"グリーンブック"は、黒人用旅行ガイドのこと。
国や宗教、人種や性別、LGBTQなど、劇中でも"実に複雑だ"と表現される諸事情を、あえて受け入れつつ、"暴力では解決できない"と諭す。
違いはあっても、友情は築くことができる。個々で分かってはいても、なかなか全体主義はままならない。
作品の随所で、多くの笑いが起きる。気の利いたセンス。
アカデミー賞脚本賞も受賞しているので、"今年のいちばん面白いストーリー"でもあるのだが、脚本を手掛けたニック・バレロンガが、主人公トニー・リップ(本名トニー・バレロンガ)の実の息子だという事実に感動する。
黒人ジャズピアニストを演じたマハーシャラ・アリ(Mahershala Ali)のピアノを含む演技力の高さ。まだ出演作品数は多くはないのに、「ムーンライト」(2016)に続いて、2年で2度目の助演男優賞も納得である。マハーシャラ・アリは、公開中の「アリータ:バトル・エンジェル」でも敵キャラ役で、不敵な笑みを浮かべているので、これからがますます楽しみだ。
近年、トム・クルーズ作品以外は、年2・3本しか翻訳をしない戸田奈津子が字幕を担当している(なので、英語セリフを聞いたほうがいい)。
(2019/3/1/TOHOシネマズ日比谷/ビスタ/字幕:戸田奈津子)
タイトルなし(ネタバレ)
【勇気が人の心を動かす】
☆☆☆☆(1回目)
☆☆☆☆(2回目)
2回目を鑑賞。レビューを加筆しました。
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『グリーンブック』のアカデミー賞受賞に対する評価がかまびかしい。
その急先鋒に立つのは、【あの!】スパイク・リー。
脚色賞を受賞した際には飛び上がって喜び、お馴染みのフレーズを叫んだリーだったが。この作品の受賞にはらしさ全開で噛み付いた。
更にリーを後押しする様に、他の作品を推していた人達も一斉に「おかしい!」と声を上げた。
おそらく、反旗を翻した人の多くが。今年の象徴と言える《ブラックパワー》で溢れ返ったアカデミー賞の締め括りとして、違う作品を推していたのだろう。
この作品を批判する声として多かったのは〝類型的な白人と黒人の友情〟話にすぎない…とゆう意見。
確かに、そんな様子が伺える面は否めないなあ〜とは思いつつ。教養の無い白人を、教養の有る黒人が諌め、尚且つ威厳を保つ様に諭す。正しい行いを促す。(まるでリーのあの言葉ですね)この話の展開が、私は観ていてとても面白かったのですが…。
尤もそんな事ではなく、差別に耐えながらも威厳を保つ人物でありながら。行く先々の土地の風習等から事件に巻き込まれ、結果的には白人の力を借りなければ問題を解決出来ない(アホ丸出しの様な描かれ方の)人物で有り。なんだかんだと、最終的には白人社会に融合してしまう…と言った。【白人から見た理想的な黒人像】の脚本に対しての不満なのか?は、リーやその他の否を公言している人達でも1人1人で意見は違うのかもしれませんが…。
結局この作品は作品賞以外にも脚本賞を受賞しています。
確かに或る種の《類型的》な話の流れによる作品…と言った意見が出るのは分からないでもないのですが。これまでのアメリカ映画で描かれて来た、肌の色の違いによる行動原理や言葉遣い。それらをこの2人を通し、対象させているように描き。更には肌の色の違い等による対立が、将来に向かいどう有れば払拭されて行くのか…を提示していた様に感じられ。充分に受賞に値する脚本だと思いました。
この旅をするのが《ニガー》と《イタ公》と《ドイツ野郎》と3っ揃ってるのもアクセントになっていますね。
最近記憶力が年々乏しくなって来た為に。今回も作品の中で、ドクターが肌の色に対する大事な台詞を語っていた…と思うのですが。作品を観終わった直ぐにはもう忘却の彼方に(p_-)
是非、もう一度観て確認したいところ。
余計な一言を言わせて貰えるならば。助演男優賞を受賞したものの、主演男優賞は『ボヘミアン・ラプソディー』のラミ・マレックでした。
…ヴィゴ・モーテンセンにあげたかったなあ〜(´-`)
彼のここ数年の演技は素晴らしい。特に『涙するまで、生きる』は本当に良かった。未見の方は是非とも。
ところでこの作品の字幕はなっちなんですが。
※ 「もっと大きな声で叫べ!」
「うるさくて眠れない!」
…って見えたのだけど。(勿論、記憶力が乏しいから正確ではない)
なっち〜!どうゆう意味〜!
俺の見間違いかな〜(・・?)
もう一つ、トニーがドクターを訪ねてカーネギーホールへ行く場面。
女性に聞いた時に「上よ!」との字幕。
もしも聞き間違いで無ければ、「ボブ・ホープ」…と言ってなかったかな〜(u_u)
最後に一言。
運転中は前をしっかりと見ようぜ!
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※ 2回目を観て確認
字幕ではやはり「もっと大声で騒げ、眠いんだよ!」…となっていた。
なっち〜意味わかんないぞ〜(`・ω・´)
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2回目を鑑賞
「暴力には意味がない!」
作品中にドクターはトニーに幾度となく諭す。
冒頭のクラブで、トニーはチンピラを暴力でぶちのめす。中盤でもピアノを巡る諍いから男を殴る。
一概には単なる粗野な暴力男では無いトニーだが。暴力からは何も生まれないと考えるドクターとは、考え方の違いからしばしば意見が対立する。
誰も見ていない
それを良い事に、立ち小便はするし。車から物を投げる。例え売り物で有っても、拾ったモノは《落ちていた》とゆうのがトニーの解釈だ。
それに対してドクターの考えとしては、正しい行いが大事で有り。絶えず沈着冷静で居て、決して人の道を外れてはならないとゆう事。
これは幾多の差別に合い、その都度冷静に対処しつつも、悔しさを噛み殺して来たドクターの信念に基づく考え方による。
だからこそトニーにはそれがもどかしい。
腕っぷしは強いが、何処か一匹狼的なところが有るトニー。どうやら群れる事は気に入らない様に見える。だからこそ、これまでに培って来た《デタラメ》による交渉術で、ヤバイ奴らの間をスルっと交わしながら生き抜いて来た。
確かに考え方に違いは有るものの、2人の心の奥底には似た様な感情が渦巻いていたのかも知れない。
初見の時のレビューは、多方面から聞こえて来る否定的な意見に気を取られての鑑賞の為に、見過ごしていたのですが、2回目を観て気が付いたのが幾つか有りました。
トニーは作品中に3回暴力を振るう反面で、ドクターは差別から2度の暴力を受ける。(3回目はトニーの機転で回避)
のだが…!
映画の中でドクターは、言葉によるやんわりとした差別を3回受けていた。
警察官に検問や尋問を受けるのも3回。
1度目は、トニー自身が生き抜く上で自然に身に付けた《デタラメ》で切り抜けるものの、2回目はトニーの暴力によって逮捕されてしまう。
そして3回目…。
またか! そう観客が思ったその時に、B級天使からの魔法が観客に降り注ぐのだ!
「メリークリスマス!」
この魔法のプレゼントが実に嬉しい。
更に、映画は最後の最後に観客に向かって素敵なプレゼントを配る。
奥さんへの手紙は4度出て来るのですが。その内ドクターによるアドバイスは3回。でも要領を掴んだトニーにドクターは最後は「完璧だ!」と言う。
この手紙の一連の流れは、最後に素敵な奥さんからの一言で映画本編を締める為に仕組んだ技ですね。
この脚本の巧みな部分の本領が発揮されており。やはり充分に賞に値する脚本だと改めて思いました。
【勇気が人の心を動かす】
この旅でドクターは変わった。
黒人では有っても、絶えず威厳を保ち。沈着冷静で有る事で、黒人が白人と対等の立場を得られる…かの様な信条を持っていた。
トニーは、そんなドクターが。それによって逆に自分自身を追い込んでしまい。逆に黒人独自の世界からも孤立し、孤独な日々を送っていた事が気になって来る。
次第にほっとけなくなったトニーは、ドクターの心の奥にづけづけと踏み込んで行く。
始めは受け入れながらもやり過ごしていたドクター。だが雨の中、遂に肌の色の違いによる憤る自身の本心をトニーにぶつけたのだ。
それが有ったからこそ、彼はそれまでの生き方を少し変えてみる気になった。
それまでは底辺だと思っていた黒人社会のディープな世界に思いきって飛び込むドクター。
どんなに才能が有っても、白人社会で黒人がピアニストとして成功する事は出来ない。だからこそ、心の中にはルービンシュタインを忘れないし、最後には玉座に座るのを辞める。
もう無理する必要は無くなった。彼には本当の友が見つかったのだから。彼はもう孤独に生きる理由が無くなったのだ!
そしてトニーも、この旅で大きく変わった。冒頭では差別用語を使い、あからさまに黒人蔑視の様な態度も見せる。ドクターに対しても、車を降りる際には財布は置きっ放しにはしない等、完全には信用してはいなかった。
それが旅を続けて行くうちに、ドクターが数多くの辛い出来事を経験し。それでもその悔しい気持ちを胸の内に押し込めながら、肌の色の違いによる差別に対して威厳を保とうとする。
その人一倍の反骨精神が、一匹狼な自分と同じ匂いを感じたのだろう。
だからこそドクターが弱味を見せ、心情を吐露した時に彼の心は動いたのだった。
帰宅したトニーは一言言う。
「ニガーはよせ!」…と。
2019年3月1日 TOHOシネマズ流山おおたかの森/スクリーン6
2019年3月5日 TOHOシネマズ流山おおたかの森/スクリーン9
=(^.^)=地味に新しいエンディングなんでしょう
アメリカの暗い陰部ををドロドロに描きそれでも主人公は負けずに生きて、、、、そんな映画ではありません。もしそうだとしたら★2.5くらいつけてめちゃめちゃ批判してやろうと思いましたがさにあらず。
黒人有名ピアニストとその運転手の主人公2人は自分の置かれた環境がどんなものかを受け入れていて、旅先で起きる様々な差別的行為を淡々とかわしていき、その過程でお互いを理解しあっていく物語です。何がこの映画の素晴らしいメッセージだったかと言うと人生の淋しさをどうやって埋めていくのか?と言う事なのじゃないでしょうか。クリスマスのこの2人の過ごし方、、、これが対照的。運転手は家族親戚とピアニストは1人。淋しさを感じるピアニストは自ら運転手の家族のパーティーへ、、、ハッピーエンド。
淋しさは自力でなんとかするもんなんだなーと改めて思いました。
偶然とかでは埋められないんだね。
本音を出し合えばわかりあえる!
イタリー系の喧嘩ぱやい男
天才ピアニストだが肌の色で差別されてる男が
同じ車で、なんと南部にコンサートツアーだって!
黒人の旅の本が、グリーンブックなんだってね。
知らなかったなあ!
心温まるいい映画
久しぶりにいい映画を見ました。
まず分かりやすい!
主役二人の演技が素晴らしい。
トニーが指輪物語のヴィゴモーセンとは全く気がつかなかった!
一見、孤高の気取った黒人ピアニストのドクターシャーリーは、黒人差別とは、縁がなさそうなのに、敢えて南部に赴き、黒人差別と向き合う。
それまで、理不尽な仕打ちにも冷静に対応してきたシャーリーが、トニーから、自分の方が黒人のような暮らしぶりだと言われて、怒って車を降りて雪の中を歩き出す時、シャーリーの孤独な心が剥き出しになったようで切なくなるシーンでした。二人が本当の友人になれた瞬間でも。
クリスマスに久しぶりに家族の元に戻っても、シャーリーの事が気になるトニー。最後にシャーリーが、トニーの家に訪れて抱擁し合った時には涙が溢れてしまいました。
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