グリーンブックのレビュー・感想・評価
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鹿、ドロレス。
性格も見た目も真逆な二人のロードムービー。
笑いとシリアスが交互にやってくるけど、案外あっさりと安心して観られた。
計算も含め、人付き合いやコネ作りの上手い運転手トニー・リップ。
ドーンと腹の出た姿に粗野な振る舞いが下品に感じる部分も多く、最初はあまり好きになれなかった。
彼自身の持つ差別意識を序盤で見せられて少し沈む。
どこまでもエレガントなドクター・シャーリー。
創作物や実際の知り合いからなんとなくイメージしている黒人像とは全く異なる彼の言動がすごく綺麗で魅入っていた。
登場シーンのゴスペル衣装みたいな服に教祖様的な要素を感じて笑ってしまった。
というかまずカーネギーホールに人の住まいがあったことに驚き。しかも管理人部屋なんかではなく、あんな豪勢な。知らなかった。
始まる二人の道中はとにかくチグハグで、噛み合わない会話とギャップにハラハラしつつ何回も笑った。
決してトニーほどではないが私もガサツな方なので、ドクがちょいちょい姿勢を崩し始めるのがなんだか嬉しかった。
初めてケンタッキーフライドチキン、恐る恐る食すドクの仕草が可愛い。
骨なんて窓からポイじゃ!とノリ始めたにもかかわらず、ドリンクのカップは絶対に許さない。わかる。
急に真顔に戻るのやめてほんと笑うから。
初めてドクの演奏を聴いたトニーがめちゃくちゃ感激しているのがまた嬉しい。
相手の技を尊敬することから打ち解けが始まる。
結構マメに妻に宛てた手紙の内容からも、粗野だと思っていた彼の内面の感性豊かな部分が見えてくる。
平和なシーンに挟まれる、色濃く残る黒人差別の描写は胸が痛んだ。
上流階級の人がどれだけ振舞っても拭いきれない空気と全然納得のいかないしきたり。
グリーンブックなんて無ければいい。
しかし、毅然とした態度をあまり崩さないドクの姿によって重々しくなりすぎていなかった。
正直もっとズンと地に押し付けられるような表現が出てくるかと予想していたけど、今までの雰囲気の中に急に苦しすぎることが起きても困ってしまうので良かった。
それより小さなことからもチクチク刺してくる差別の痛みの方が大きい。
この扱いを慢性的に受けることがどれだけ辛いかなんて容易く想像できる。肌の色が違うだけなのに。
更にドクの中途半端な立ち位置が追い打ちをかける。
黒人からは異端児と疎まれ白人からは差別され家族のいない孤独な人。
雨の中車を降りて叫んだ彼に積み重なったものを思うとまた辛くなる。
最後の演奏をキャンセルすることで貫いた己の尊厳と人権。
そしてその後の「私だけのショパン」とジャズのシーンの圧巻さ、楽しさ。
あんなに朗らかに笑うドクが見られて心底良かったと思う。
演奏会後の笑顔とは全く違う表情に見える。
そして立場を代わってでも、友人をクリスマスの家族の元に届けられて良かった。ありがとう。
クリスマスの夜に友人の元に訪れることができて良かった。ありがとう。
ドロレスの「手紙をありがとう」のセリフでなぜか急激に込み上げ決壊した。涙腺崩壊。
良い話だと思いつつ「まあ普通だな、」なんて考えていたけど、この言葉で急激に。
文面の主などお見通し。そりゃそうか。
手紙を通してドロレスはドクと対面していた。
もしかしたらドクは自分の元妻への想いを文章に込めていたのかもしれない。
トニーの意外にも思える愛妻っぷりにももちろん感心だけど、ドクとドロレスの繋がりに非常に胸打たれていた。
この後お兄さんに手紙書けるといいな。
間違いなく良作。
ただ、期待していたよりずっと大味に感じた。
最初はウマの合わなかった二人がお互いを尊重し仲良くなる過程として良かったものの、特にインパクトの無いものに思えてしまう。
実話にケチつけるわけではないけど、なんとなくただの美談のような。まあ全然良いけども。
トリオメンバーの存在感の薄さも気になる。
ドクを理解しているとは思うけど静観が強いし、彼らが何を思っているのかよく伝わってこなかった。
最後取り残されてどうしたんだろうか。
テンポは良かったけどわかりにくい点も。
戻したはずの「お守り」こと翡翠石が戻っていたのは何なのか、ドクが一人で出歩いた理由は何なのか。
予想はつくけど確信が持てない。私が集中できていなかっただけかな。見入っていたはずなんだけど。
何にせよ、ドロレスの言葉だけで全てチャラだしまんまと次の日のディナーにケンタッキーフライドチキンとボンゴレビアンコ食べたしティッツバーグ州に巨乳がいなかったことにがっかりしてるし、心に残る良い作品だった。
入れ替える→元に戻す
「黒人運転手」+「白人客」という組み合わせは50-60年代のアメリカにおいては当然のように見かけられる光景だったろう。
だが「白人運転手」+「黒人客」という逆の組み合わせをやってから、元に戻してみる。最後だけ、黒人に運転手をさせてみる。
するとどうだろう。周りの人々からしてみれば当たり前の光景に、当人たちにしか分からない特別な何かが育まれていると感じられる。
当たり前の光景がいかに特別なものであるか、それは長い旅路を経た2人の主人公(そして観客の我々)にしか分からない。
奴隷として強要されたのでもなく、生活のため仕方がなかったのでもなく、親愛の情から、運転手という役割を買って出る。
それは一切の差別のない世界においてかくあるべしとでも言うかのような、「自ら望み、喜んでやる」という自己決定に従った行いであった。
「黒人運転手+白人」という構図はいかなる事情を抜きにしても差別的である、と決めつけるのではない。
「黒人は貧しく粗野」「白人は豊かで教養がある」と一般化するのでもない。
「超富裕層の黒人」「貧困層の白人」という例外的な存在、個別の事例を踏まえ、よくある光景の背後にある物語を読み取ろうとする。
「黒人は皆等しく貧しく、困窮しており、救済が必要である」と考えることもまた差別である。
黒人だから、白人だから、といったフィルターを取り払って、個人の事情をよく知ろうとすること。
それが差別的ではないということの本質ではないか。
個々人の抱える事情=ドラマを経由してみる。
すると、「反差別的なようでいて差別的な人」からみれば差別的にも思える光景の背後に、こわれないよう守りたくなるほどの親愛の情があるのではないか、という可能性に気づかされる。
そのような可能性を見落とさないよう、個々人の事情に耳を傾けようという気にさせられる。
(もちろん、ドクター・シャーリーの金持ちぶりは映画向けに誇張されているだろう。それを差し引いても、当時の黒人として彼は例外的にリッチだったろう。だから黒人運転手と白人の乗客を見るたびに「その背後にドラマがあるかもしれない」などと考えるのも愚かに思える。ポイントはあくまで、黒人(に限らないが)=被差別対象あるいは社会的弱者、のような認識がむしろ弱者を弱者のままに据え置いてしまうこと、への警句にあると思う)
人種差別がここまで…
この映画を見てはじめて、人種差別がここまでひどいと言うことかわかった。
日本に住んでるから、全く感じたことない衝撃だった。
映画の中の二人は乗り越えて、お互いいい方向に進んだけど、この映画がきっかけで人種差別が減ったらいいな。
人生を前を向いて運転出来る。素敵な作品♪
今年のアカデミー作品賞を受賞した作品と言う冠だけでなく、好きな要素が盛り込まれた作品だけに観る前から期待してました。
ただアカデミー作品賞受賞作は賞狙いの意図とお堅い感じがしなくもないので、その辺りに一抹の不安を覚えながらも鑑賞しました。
で、感想はと言うと、素晴らしく素敵な作品♪
始まって直ぐに“これは素敵な映画が始まる”と言う予感に胸の高鳴りがしました。
カラフルで色彩豊かな60年代のアメリカの街並みとポップなアメリカン・オールディーズナンバー。
美味そうなファーストフード。
少し背伸びをしたくなる素敵なジャズ。
普段は合間見える事の無い人物同士が8週間の時間の中で知り合うだけの十分な“何か”が起こるであろう旅。
最初から最後までワクワクしました。
様々な人が書かれてる通り、「最強のふたり」に共通する部分も多々ありますが、より複雑で様々な要素があります。
上流階級で上品。ピアニストとしての名声も得ていて、金持ちで雇い主の黒人のドク。独身。
どちらかと言うと下流階級で粗暴で下品w。仕事に溢れて雇われている、黒人が嫌いなトニー。既婚で幸せな家庭があって、奥さん気立てが良くて綺麗。
合わない筈の2人なのに、互いが徐々に通じ合っていくのが染み入る様な感じで、旅先で起こり事件や出来事も旅先なら起こりうる事なので納得。
事実を元にしているだけに過剰な脚色が無いのも良いですね。
「最強のふたり」よりも少し複雑なのは互いの立場の設定と、人種差別が色濃く残る地域の事と「LGBT」問題なんですが、それぞれの問題が作品の本質を加味していても邪魔をしていない事が素晴らしいです。
終盤に差し掛かってドクの心情の告白は切ないものがあります。
黒人である事から白人に強いたげられ、同じ黒人からも軽蔑される。
自分がとちらからも孤立する疎外感と孤独。
ドクの叫びがキリキリと突き刺さります。
また、ラストで行うコンサートで古くからのしきたりとばかりにレストランでのドクの食事を認めないのに、契約を盾に自身の正論を発する支配人にはムカムカ。
他にも人種差別に対してムカムカする所も多々ありますが、その都度頼りになるトニーだったり、ドクの凄い人脈だったりで事件解決。
ラストの黒人御用達のダイナーでのライブではスカッとしながらも同じ黒人達に受け入れられた様な時間に少し優しい気持ちになって、長時間の運転に疲れたトニーの代わりにトニーのクリスマスに間に合わせ様と運転をするドクの優しさにじんわり。
トニーの家族とのクリスマスパーティに自ら出向いたドクを暖かく出迎えたファミリーに胸熱になって、ドロレスとドクが互いに伝えた言葉に涙腺崩壊。
ツッコミがあるとすれば、ドクとトリオを組んでいた二人は嫌な奴の様に見えてもそうではないが、だからと言って理解はあっても実は良い人だったと言う訳でもなく、もう少しキーパーソンになるかと思いきや、そうでもなかった事。
ドクとトニーが最後のコンサートをキャンセルして、出ていったけど2人の事は触れられてなかった事かなw
ドクがトニーに運転中に何度も言っていた“前を向いて運転しろ”の言葉はただ単に安全運転だけの言葉では無い様に感じます。
人生に対してもそうだし、むしろ自分自身に向けて、発した言葉ではないのかな?と感じました。
「最強のふたり」「ターミナル」「ジャージーボーイズ」が大好きで、これらの作品に通じる面白さがありつつも、面白くて、クスッと笑えて、何処か爽快で、少し人生や社会に悩んで、良い涙が流せる。とても素敵で素晴らしく、いつまでも余韻が残る作品です。
アカデミー作品賞を受賞するだけの素晴らしい作品です。
未鑑賞の方は是非!絶対にお勧めです♪
お守り
黒人ピアニストDon Shirleyの運転手としてコンサートツアーに同行したイタリア系アメリカ人Tony Lip。外見だけでなく、中身もオセロの石のように正反対な2人のロードムービー。
品行方正な佇まいが、まるで高貴な生まれのようなShirleyに、口達者でガサツで食べてばかり(^_^;)のTony。この2人のやり取りがとても面白かったです。
性格、教養、趣味、言葉遣いにマナーと、何から何まで異なる2人に共通しているのは、たとえアウェイでも、自分らしさを貫こうとする姿でした。しかしそんな「最強のふたり」も、Deep Southではそう甘くないと、身をもって経験することに。
このロードトリップを経てTonyの差別意識が変わるのは想像に難くないですが、Shirleyの態度も変わりました。
天才が故の孤独はありがちな気もしますが、自分をそこら辺の奴らと一緒にしないでくれ!というShirleyのプライドにより、お高くとまっている雰囲気がありました。上流階級の白人と同等かそれ以上に、どれだけ品位と教養を身につけて挑んでも、受ける待遇は改善しないことへの憤りから、むしろ彼自身、下品で粗野なTonyを見下していた節もあったのではないでしょうか。肌の色が違ったらもっと自分の音楽は評価されていたのだろうかー Shirleyもきっと自問し続けたでしょうが、孤高の玉座から降りて黒人達のバーで演奏するのも悪くはないと、彼も壁を取り払って柔軟になれたようでした。
違う世界で生きてきた2人が得てきたものは異なるけれど、それが互いに良い学びになっていました。
このコンサートツアー、実は1年半ものロードトリップだったそうです。2人のピンチを救ったあの電話は、ケネディ大統領暗殺の数日前だったとのこと…。
同姓同名かなと思っていましたが、Tonyは本当に俳優だったんですね。
“Green Book” のGreenは作成者の名字が由来ですが、本も車体も、途中で「拾った」翡翠のような青緑色で、平和と調和をもたらすようなお守りでした。
“You don’t win with violence, Tony, you win when you maintain your dignity.
Dignity always prevails.”
“Don’t wait for him, Doc.
This I know...the world’s full of lonely people afraid to make the first move.”
素晴らしかった
引き込まれっぱなしで気が付くと終わりだった。こんなに没頭できたのは今年初めてかもしれない。クラッシックの演奏家であることで、ポピュラーブラックミュージックを下に見ていて、ゲイでもあるなど、黒人の立場でも差別や区別がないまぜになっていた。パブでおんぼろのピアノを演奏して、地元のミュージシャンとセッションする場面が素晴らしかった。
妻への手紙が、洗練されたポエムになって行くのだが、最初のパンを食べたみたいな内容の方がかわいらしかった。
音楽の力
人格や個性を飛び越えてピアノの才だけで結び付くと言うのは、良し悪しかと。
友情と人種差別と音楽がテーマだと思うけれど、旅を終えて特に何か達成した感はなく、アッサリ終わる。我が家が一番みたいに終わる。
実話を元にしているから、という免罪符に頼っているように思われる。旅情は楽しく非常に美しいが、映画として、エンターテイメントとしてもう少し欲しかった。
人の勇気が人の心を動かすんだ
あなたの人生に、
命を燃やす瞬間はありますか。
その勇気に矜持を感じ、
共感してくれる人の暖かさを
経験したことはありますか。
その喜びがどんなものかの片鱗を
貴方に贈ります。
そんなメッセージを
見終えた時に受け取ったように
感じました。
何かを変えようとしたとき、
自分は何ができるのか。
ドンシャーリーによる
命の保証も、対価も不明な旅に、
なにかしなければという使命感や
旅の道中における
非暴力による尊厳で、
プライドを貫く姿勢が
物語に緊張を生んでました。
差別による時代環境のなかで、
優位な暮らしを確立しながらも、
どちらのムラにも
分類されない自分の立ち位置。
同性愛者としての
マイノリティのやるせなさ。
彼が、
それらを告白した時には、
胸がいたくなりました。
さらに、
そんな硬派な面たげでなく、
信頼するパートナーとの
絆が深くなるエピソードに
癒されました。
初チキンや手紙の指導なんか
最高でした。
一番印象的だったのは、
ラストステージ前の
レストランでの決断。
いいきみ。
圧巻は、
場末の酒場での
ショパン と
その後のjazzセッション😆
このシーンでは
思わず高ぶり、
目頭が熱くなりました。
ずっとこの空間に
いたい。
そんな気持ちでいっぱいに
なります。
ここまでで既に、
満足だったんですが
帰省後
トニー家のパーティーに
参加するために
ドンシャーリーが訪ねたのも
良かったし、
彼に、ドロレスがささやいた言葉が
最高‼️
彼女の、すべて
わかっていて、
あえて、
本人にだけ伝える
やさしさがいい。
本作全体に流れる
人に敬意を示すこころの
有り様が心地よくて…
差別がテーマですが、
語られるのは、
そんな社会を払拭してきた
命懸けの勇気。
人の気持ちは変わる。
そして、社会は変わる。
それは、
一人の行動から…
おすすめ。
確かにフィールグッド。だけど実に無頓着。
人種差別の問題があまり身近ではない日本と言う環境でこの映画を見ると「フィールグッド・ムービー」として単純にとても楽しめると思うし、実際私もこの映画を見て確かに気分が良くなるのを感じた。分かりやすくて笑い易い喜劇と、(最終的には)好感の持てる登場人物。ありふれたストーリー展開ながらも、味付けが巧く施されていて、主演俳優二人の演技にも旨味がたっぷりで卒なく美味しい。仮に監督のセクハラ問題が浮上しても、脚本家の過去の差別ツイートが露見しても、主演男優の差別発言があっても、それと作品とは別であると考えるべきだと思うし、少なくとも作品に罪はないと考えるべきだ。ただこの映画を見て、アメリカに住む有色人種(主に黒人)が違和感を覚えても不自然ではないだろうとも思う。この映画は明らかに白人至上主義的で、描かれたのがあくまで白人の目で見た黒人差別に過ぎないからだ。
この映画より前にも、人種問題を扱いながらフィールグッド・ムービーとして成功した作品はあった。「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」や「ドリーム」などはその好例だと思う。だから人種問題をフィールグッド・ムービーにすること自体は悪くないし、フィールグッド・ムービーの形式を取ることでより観る者の心に訴えかけることが出来るということもある。ただ「ヘルプ」も「ドリーム」も黒人が受ける差別の現実をしっかりと描写していたし、その深刻さや過酷さも直視されていた。ただこの「グリーンブック」に関しては、白人がわずか二ヶ月ほど黒人と過ごしたほんの僅か垣間見た差別にしか目を向けておらず、それだけで黒人(と同性愛者)の立場や在り方を知ったようなつもりになるのはあまりにも短絡的と言わずにいられない上に、その差別から白人である主人公が救出するという構図で徹底されている無神経さ。人種問題の現実を捉えた作品とは思えない。不条理な差別を目の当たりにしたその時その場でだけ「なんと気の毒に」と同情を覚えるばかりで、人種問題の根幹には興味を示してさえいないのだから。目を閉じれば気分はいいし、何も知らなければ気持ちのいい映画かもしれない。差別されない環境で生きる者が観ればそれこそ”フィールグッド”かもしれない。でも差別される側の立場で考えれば、些か無頓着な内容であることも否めない。
だけれども、だ。フィールグッド・ムービーとしてのツボを的確に押さえているため、見終わった後の感覚は本当に清々しいのだ。うっかり心が温まってしまうのだ。ヴィゴ・モーテンセンの陽気なイタリア系男の演技も、マハーシャラ・アリの気品ある凛とした演技も実に素晴らしくて二人のことを愛してしまう。単純に男二人の友情の物語だと思えばいいではないか、と一瞬思いが過ぎるが、しかしそれは違う。1960年代という時代背景においてあえて「差別主義の白人」と「差別を受ける黒人」を描く物語となれば人種問題は避けて通れないのだから。
とても巧く作られたフィールグッド・ムービーだと思うけれど、同時に欠点が終始目についてしまう。味はとても美味しいけれど有害な添加物たっぷりの食品を口にしたような罪悪感が付きまとう作品だった。
ハックルベリーフィンの冒険??
「黒人との旅」と聞くと真っ先に思い浮かぶのは文学的で有名な「ハックルベリーフィンの冒険。」内容は全く違うけれど、「旅、人種差別」という部分では同じ。だから「ハックルベリーフィンの冒険」を少し意識したのかなと思った。
やはりアカデミー賞作品賞を受賞してるだけあって本当に素晴らしかった。ストーリーも良いが、ドクの奏でるピアノの音から楽しさや怒りがとても伝わってきた。クラブで演奏している時は1番楽しそうだったな。。
また2人の成長の物語でもあって、互いの良いところを吸収し合う。勇気や暴力は負けだということや、諦めないよころ。最後のレストランのシーンでは互いの成長をとても感じた。ドクはいつもだったらあのように粘らないし、いつものトニーだったら金をもらって説得していた。
旅が終わり、トニーが「ニガーはやめろ。」と言った時に周りの皆はトニーがどのような旅をしてきて、どのような変化をしたのか少しは気付いたのだと思う。。だからドクを皆受け入れた。(「あのトニーがこんなことを言うなんて」)みたいな。そう考えると妻のドロレスは最初から最後まで素晴らしい人だなと思った。
最後のドクがトニーの家に来るシーン自分が監督だったらトニーが迎えに行き、そこからトニーの家でクリスマスパーティーに参加し、皆が受け入れるというシナリオにしたと思うけど、考えてみると、あのシーンでドクが自ら来た理由は自分で行動するという成長を表したかった変化を表したかったのでは?と思った。
グリーンブック
グリーンブック見ました。とても素晴らしい映画です。粗野で取っ付きにくそうな用心棒と黒人天才ピアニストのコンサートツアーの旅の道中、二人の全く噛み合わない会話、そして数々の偏見と差別。実話に基づいた作品という事でより一層悔しさや腹立たしさもあり、だからこそそれを乗り越えた後に残る二人の清々しさが感動的でした。見終わった後、とても素敵な気持ちになる、そんな作品でした。
最後のライブシーンはじーんときた。
最強のふたりの逆バージョンのような。アカデミー賞取った直後で気になって鑑賞。
これはいろいろな要素が入りすぎるくらい入っているが、ストーリーは難しくないだけに、その要素1つ1つに考えさせられる。
いくつかの分野で博士号を取り、小さい頃からクラシックピアノを習いプロにまでなった育ちの良いNY育ちのアフリカ系黒人と、
イタリア系アメリカ人で働いていたクラブが改装で2カ月ヒマになったところに、その黒人のドライバーをする話が舞い込む。
ロードムービーというスタイルを取りながら、南下していくごとに黒人差別があからさまに厳しくなっていく。
出演者というおもてなしをするべき立場なのに、黒人というだけでトイレを使わせてもらえない、演奏するレストランで規則だからと食事ができない、という扱いを受ける。
黒人、知的側面、バイORゲイという三重苦を抱えて時には立ち向かい、時にはそれを諦めとして受け入れ、そういう差別に情が深いものの鈍感なドライバーもそれを目の当たりにして感化されて立ち向かう。逆もあり、ジャンクフードの良さ、情の深さにピアニストも影響されていく。
また、イタリア系移民ということで、名前が発音しにくいのをニックネームで名乗ったりとマジョリティな部分も抱えている。
これは誰しも見方・側面によってマジョリティにもなりマイノリティにも成り得ることを示唆している。
❓%の力のレビュー🤘🏼
NASAのマーキュリー計画と人種問題を絡めた映画『ドリーム』と似た安定感のあり過ぎる本作品。
実話に基づく系ですが、結局白人がええモンになるお話だとか、アカデミー賞向け作品だという難癖もあるようですが、確かに正統派過ぎて危なかしさと面白みに欠ける面はありますね(笑えるシーンがあるというのとは別の意味で)。
お話内容は優等生ですが、人種問題の根は深く、皆こうすべきと解っていても完全解決まではまだ月日を要する事なので、まあ日にち薬というか時代薬ですので置いといて(←この先送り態度がイカンのか😓)、、
私がムズムズしたのは、たとえバ-ガ-🍔であれホットドッグであれ🌭バンズの油分ですら~そんなん付いた手でハンドル握るなんて許せ~ん!😝! フライドチキン🍗なんてもう‥異次元の極み〜😫 その手で窓を開けるシーンはあの時代でもパワ-ウインドウのワンプッシュのオ-トモ-ドが付いててまだ良かった🥴ホッ
そんなバレロンガ役は『始まりへの旅』のワイルド教官パパ役の人でしたか、そうでしたか。いつも長旅ご苦労様です。
最後のウェルカムなシーンで、‥ジッと感動しつつも、それまで散々交友を育んでおきながら、ラストで態度を翻して突き放して追い返すというあり得ない鬼畜展開を、つい一瞬チラと (皆がかしこまった冠婚葬祭の場などで、何故だか不意に常軌を逸した奇妙な展開を脳内再生し、独りで勝手にゾワッ!とソワソワする気分を味わうかのように) 想像してしまうのは私だけですかね😗❓
(他の例:心優しき純真な人から心のこもった贈り物🎁を受け取る場面で、そんな気持ちはさらさら無いのに、何故だかそれを本人の目の前で叩き落とす自分と、それで悲しい気持ちになる相手を想像してゾッ😱とするみたいな‥🙄 なんか何の問題もない平和で幸せな状況だとジッとしてられない天邪鬼みたいな小さな虫🦂が心の何処かに潜んでいるのかも🧐
幸せに慣れぬ男の幸せ恐怖症か😅饅頭怖い)
2人の演技が素晴らしい。かなり好きな映画。
【グリーンブック】観てきました。
実話です。1960年代のアメリカ。
著名な黒人ピアニストが南部への演奏旅行にドライバーとして雇ったのがヴィゴ・モーテンセン演じるイタリア系アメリカ人のトニー。粗野で、無学で、腕っぷしが強くて頼りになる。
クリスマスまでの2ヶ月に渡るツアーの道中を描いたロードムービー。
当時のアメリカは知っての通り黒人差別が酷く、特に南部は黒人蔑視が強い(昔アフリカから連れてこられた奴隷がまずは南部特産の綿花畑の作業夫に使われたため)そんな時代。
題名の[グリーンブック]とは、Mr.グリーンが毎年出していた、黒人の使えるホテルや店のガイドブック。
当時はトイレも、乗り物も、ホテルもお店も、黒人の入れない場所があったのですね。
このグリーンブックを頼りに、数々の演奏会場を車で巡りながら、2人の関係性が徐々に変わっていくというストーリーなのですが、その旅途中のエピソードそれぞれがなんとも言えない味わいで。考え方も育ちも全く違う2人は、時にぶつかり、時に笑い、ハプニングや危ない目にも遭いながら切り抜けていく。
実はトニーも最初は黒人を差別する気持ちのあった人。でも、粗暴ながら家族を大切にし、失業していてもマフィアの友人からの仕事は断わるような、信念のある心根の熱い人。
一方ピアニストのシャーリーは、黒人ながらその才能を幼少の頃に見出され、ロシアのレニングラード音楽院で英才教育を受け、幼い頃からプロのピアニストとして生きてきた教養溢れるセレブ。
まさに正反対の2人が、旅の終わりには互いの人生に大きな影響を与え、最高の笑顔になるのは、旅の間の出来事を通して互いの立場なりの心の痛みや苦労を知り、理解し合い、真の友人になれたから。
シャーリーが[あえて黒人差別の激しい南部を選んで演奏会をするということは、彼なりのチャレンジである]ということが次第にわかってきます。
警官、住民、そして時には招いてくれたホストや会場の責任者からも肌の色が違うというだけで不当な扱いを受けたり暴力を受けることがあっても、どんなにつらいことがあっても、決して声を荒らげず、静かに耐える。
彼の唯一の武器、ピアノの才能をもって、彼なりに、世界を変えようとしている。
静かに、ひとり闘っている。
それがわかったとき、涙します。
なんて勇敢な人なんだろうと。
そして、それまでの過去が滲み出た彼の孤独な眼差しに引き込まれながら、対照的なトニーの明るさ、力強さに私たちも一緒に包まれる感覚。
全力でシャーリーを守るトニーの姿に、胸が熱くなる。
雇い主だからじゃない。お給料もらってるからじゃない。
大切な友達だから。それだけ。
観終わった後、すごく余韻が残る映画です。
色んなことがあった2ヶ月間、いくつかのシーンが思い浮かぶ(私は特に手紙の書き方を教えるエピソードと、酒場で即効演奏するシーンが大好き!)。
今も、トニーの笑い声が聞こえる。
シャーリーの美しいピアノの調べが聞こえる。
人間の尊厳、本当の勇気。友情。
ラスト近く、シャーリーがやっと、心からの笑顔になれたのがわかります。
あったかい気持ちになる、本当に素敵な映画。
超おすすめ✨
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