グリーンブックのレビュー・感想・評価
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差別を扱った新しい視点
育ちも良く裕福な黒人ピアニストのドッグ
イタリア系移民で粗雑に育ったトニー
まだ差別の色濃く残る南部へツアーにでる
ドッグを守るのは仕事のうちだったはずが
いつのまにか仕事の契約関係なくお互いに人として
心の交流がはじまる。
肌が黒いことも、教養がないことも
人としての価値には何の影響もなく
全く違った2人が信頼しあい助け合う姿は心が温まる。
ラストでトニーの仲間に一瞬
ドッグへの差別心や戸惑いが垣間みえるが
トニーの妻が心から喜びハグをするところがとても素敵
差別ってしていないようで
いつの間にか色のついたメガネで人を見てしまう事があるけれど
こんなふうに真っ直ぐに交流できたらいいなぁ〜
心地よい
アカデミー作品賞受賞したが、人種差別の社会派映画と思って、それ以外の予備知識なく大して期待していなかった。しかし、所々笑えるシーン、ほっこりするシーンがあり、良くまとまっていた。でっぷりとしたヴィゴ・モーンテセンが何より良かった。マハーシャラ・アリの気高さ、時折見せるはにかんだ笑顔が良かった。良いストーリーが進む中で、ラスト悲劇が待ち受けてるのでは、ハラハラしたがハッピーエンドで何より。
タイトルなし(ネタバレ)
声を出して笑えるシーンがいくつかあった。だからこそ、映画館で観たらもっと良かった。
トニーとドクターが全然性格が違うが、お互いの良いところを尊重するのが好き。人は変われると、前向きになれる映画だった。
ヴィゴ・モーテンセンは、増量を役作りの為にしてさすがです。
人種差別。
人種差別がどれほどのものか。
黒人専用ホテルがあったことを、この映画を見て知りました。
黒人だからだめ、黒人だからひどい目に合わす、そんな世界がきっと今でもゼロではないと思います。
グリーンブックとは、黒人さんが快適に過ごすことができるホテルが載っているブックだったんですね。
きっともっとひどいこともたくさんあったと思います。
最初はあんなに黒人さんを黒と呼び、家の修理に来た黒人さんが使用したコップを捨てるくらいのトニーが、ドクと出会い、差別をしなくなり、受け入れて、尊重し合う、そんな関係性がどんどんできていくさまを見ることができる映画です。
ほとんどが、車の中、ホテル、ピアノ演奏のみの模写ですが、その中でも2人の関係が築き上がっていくのがのくわかります。
お互いの育った環境、伝え方、表現の仕方、すべてに違いがたくさんあり、お互いがお互いの言葉の意味、意図を理解しきれないところからお話は始まります。
時間が経つにつれ、お互いがお互いを少しづすわかりだすことから溝が深まっていきますね。
ケンタッキーの骨は笑顔で捨てたのに、飲み物のゴミを拾わせるところが好きでした。
白人さんたちには嫌煙され、黒人さんたちの輪ですら、育ちが良すぎるが故に、嫌煙され、ドクは、わたしはなんなんだとすごく葛藤していました。
はったりだけでのし上がってきたというトニー、拳銃を持ったフリをしているのかと思っていたら本当に持ってましたね!笑
ラスト、ドクがいないことでクリスマスを楽しみきれていない、心に引っかかっているところが表情に出てましたね。
でもお酒を片手に訪れたドクは、寂しい時は一歩踏み出すんだよと言っていた主人公の言葉通り、勇気をだし一歩踏み出し、家にきました。
奥様とドクが対面しハグをした際に
【素敵な手紙をありがとう】と、手紙を書くのを手伝っているのがドクだって気づくあたり、さすが奥様ですね。
終わり方が好きでした。
実話ということで、こういう関係性の出来上がり方で人と人は繋がれるんだなというきもちで見れました。
好きな映画、5本の指に入りそう!
映画館で観られない今日この頃、でも家でじっくり観られてよかったです!だってエンディング、トニーの妻ドロレスがドクにハグするシーンでは涙ボロボロでしたから。
当時の世界状況、黒人と白人の差別、白人内でもイタリア系に対する差別。日本人も当時であれば有色人種として同じ扱いだったんだろうなぁって思うと複雑です。
何の悪意もなく本当においしいんだからってケンタッキー・フライド・チキンをドクに無理やり食べさせるくだり、しっかり美味しさをかみしめるドク。窓から骨を投げ捨てるガサツなでもドクのプライドを考え、つい力任せになりながら助けようとするトニー。いい演技ですね。最初に黒人の使ったグラスをゴミ箱に捨てるシーンから徐々にドクとの友情が育まれていく経緯は観ていてすがすがしいものがありました。
手紙をドロレスが嬉しそうに読むシーン(でも本当はだれが書いたのかしっかり把握しているところ)全部素敵です。
黒人と白人のおじさんたちのロードムービー、友情ムービーとしての題材はありきたりなのかもしれませんが、才能もお金も名声もあるけれど孤独なドクが、ガサツで品のない、家族もその横並びのトニーの家にやって来た時、固まる家族たちと相反して妻のドロレスだけが彼を歓待するシーン。彼女のトニーに対する愛情の深さ、またドクのことを会ってもいないのにしっかり理解する賢明さ!彼女こそ陰の主役でしょう!!
いい映画です!老若男女観てほしい映画です。どなたか書かれていましたが高校や中学の映画鑑賞会で上映してほしいものです。
私も友達にDVDを無理やり貸す段取りをしています!
広い視野を持つことが長旅のコツ。後ろの友人にサンドイッチを渡すことを忘れずに。
思想も人種も経済環境も違う2人が、ディープサウスを旅することにより友情を育んでゆく様を描くバディ・ロードムービー。
主人公トニー・リップを演じるのは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『はじまりへの旅』の名優ヴィゴ・モーテンセン。
トニーを用心棒として雇う、天才ピアニストのドクター・シャーリーを『ベンジャミン・バトン』『ムーンライト』の、オスカー俳優マハーシャラ・アリが演じる。
🏆受賞歴🏆
第91回 アカデミー賞…作品賞、脚本賞、助演男優賞(アリ)の三冠を達成‼️
第76回 ゴールデングローブ賞…脚本賞、作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、助演男優賞(アリ)の三冠を達成‼️
第43回 トロント国際映画祭…ピープルズ・チョイス・アウォード!
第72回 英国アカデミー賞…助演男優賞(アリ)!
第90回 ナショナル・ボード・オブ・レビュー…作品賞!
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実話を元にした伝記映画だが、その内容はかなり脚色されているようである。
当時30代前半だったはずのトニー役に、ヴィゴ・モーテンセンがキャスティングされていることからも分かるように、実話をベースにした創作であると認識した方が良いだろう。
粗野で乱暴、ギャンブル好きで無学だが、口上手で機転の利く、家族を愛する合法磊落なイタリア系移民のトニー。
彼の雇用主であり、繊細かつ知的、常に冷静だが少々世間知らずで、融通が効かないところがある黒人のシャーリー。
正反対の2人が、旅を通して友情を築いていく様子は定番ではあるがやはり楽しい。
トニーが書く手紙を、シャーリーが添削し助言を与えている場面は微笑ましすぎて何故か泣ける。
旅に出る前のトニーは黒人、ドイツ人、アジア人、ユダヤ人など、自分と異なる人種の人間に対して差別的。
ただ、これは60年代初頭のアメリカ人としてはおかしなことではなく、寧ろ普通の感覚だったのではないだろうか?
彼は世間の「普通」に順応して黒人を嫌悪していたのであり、特別な理由があって差別をしていたわけではない。
その為、持ち前の陽気さですぐに黒人たちとも仲良くなり一緒にギャンブルをして遊んでいる。
だからこそ、ディープサウスのあまりに苛烈な差別意識に困惑し、怒りを覚える。
そして、自らの差別意識の間違いに気付き、意識を改める。
広い視野を持ち、実際の体験を経ることこそが偏見を無くすのだということをこの作品は説いているのである。
人種差別の描写は気分が悪くなるほど陰惨。だが、映画全体の雰囲気はコメディ調であり、娯楽作品として楽しめる。
この映画の魅力はやはりシャーリーというキャラクター。
黒人でありながら大富豪。その為、他の黒人の人たちに馴染むことが出来ず、孤独な心を抱えている。
貧しいながらも家族や友人に囲まれているトニーとは対称的であり、天才的な資質や物質的な豊かさが必ずしも幸運とは限らないことが示唆されており、この辺りも映画として上手いなぁと感じる。
この複雑なキャラクターを演じ切ったマハーシャラ・アリの技量には脱帽。賞を総なめにするのも分かる。
娯楽作としても楽しく、人種差別のことを考えることも出来、2人の友情に涙することも出来る。
素晴らしいクオリティの映画だが、ケチをつけるとすれば音楽描写が平凡だったところ。
特にクライマックスのバーでの演奏はもっと盛り上げても良いと思う。リトル・リチャードの「ルシール」を演奏しても良かったかも。
また、シャーリーのゲイセクシャルの描写も取ってつけたようで、あまり必要性を感じなかった。
同性愛者の黒人という、人権派の人達が喜びそうな設定ではあるが、人種差別というテーマ性がぶれてしまうのであまり良いとは思わない。
一番気になったのはシャーリーの兄。如何にもな感じで会話に出しているのだから、やはり兄に向けて手紙を書く場面は必要だったのではないかと思う。
多少の傷はありますが、アカデミー賞で作品賞を受賞するのも納得な傑作!
全人類に見て欲しい一本です。
奇妙な二人
1962年と言えばNASAでの黒人女性の活躍を描いた映画「ドリーム」と同じ時代背景なので察しはついた。人種偏見を扱った映画は多いので不謹慎ながら食傷気味になっていた。
確かにそういった範疇ではあるものの、むしろ人種問題や雇用関係を超えた二人の魂の化学反応を愉しむ趣向に仕上がっていてうれしい誤算だった。
そういえば「ロッキー」もイタリア系と黒人チャンプの炎の友情だった、アメリカではイタリア系移民も下に見られていたので黒人蔑視はあながち他人ごとではなかったのかもしれない。
普通なら交わることの稀な二人が出会い相互に感化されてゆく話は「最強のふたり」と似ているが貧しい側の筈の黒人がVIPというのは予想外だった、その辺が映画化への弾みだったかもしれない。
エピソードの選択と配列も巧み、程よいユーモアも和みを加え、音楽が人の心を開くという展開も見事でした。社会派ドラマと気負わずに奇妙な二人のロードムビー、ゴールが雪のクリスマスイブ、かかるBGMがシナトラのHave yourself a merry little Christmasというベタな演出も微笑ましい、素敵な音楽と共に楽しめる良作でした。
差別による孤独、そして友情という救い
差別について歴史で学ぶだけでは本当に起こったことを理解したとは言えないと感じた
実話をもとにしたこの映画を観ることができて良かった
心に残った台詞
どんなに虐げられていても、耐えて品位を保つ
信念に突き動かされた言葉
You never win with violence. You only win when you maintain your dignity.
どこにも属さない孤独
帰国子女の自分には一番刺さった言葉
If I’m not black enough, and if I’m not white enough and if I’m not man enough, then tell me Tony, what am I?
勇気ある行動が、同行するTonyの中の差別の心を溶かし友情へ変えていった
You asked once why Dr. Shirley does this? I tell you. Because genius is not enough. It takes courage to change people’s hearts.
そして旅の最後、クリスマスの夜に、Tonyを思いやるShirlyと、離れていてもShirlyの思いやりに気づいているTonyの妻の言葉が救いになる
素敵
2人の友情が育むハートフルな物語
久々に温かい気持ちにさせられた映画でした。
黒人差別が厳しい1962年のアメリカで白人のトニーと黒人ピアニストのシャーリが旅を続ける中で友情を育んでいく物語。
ピアニストのシャーリは舞台では拍手喝采を受けるものの舞台の外では人としてまともな扱いをしてもらえない。そんな厳しい環境の中で、心優しいシャーリは誰にも心を寄り添える仲間がいなかった。トニーはそんなシャーリに心を寄せ、彼の凝り固まった心を徐々に溶かしていく。
シャーリも遠距離となったトニーに対して妻のドロレス宛の手紙を手伝ったり、トニーの子供じみた行動を説教する。
お互い言い合うけど、そういうやりとりの中で2人の友情が育んでいき、最後は仕事としてではなく、本当の親友として終わりを迎えたことに心が温かくなりました。
自分が生まれていなかった時代のアメリカはこんなに黒人に対しての差別が酷かったのかと知り驚きました。
ただ、そんな時代にいろんな世間の目はあった中でも人として接していたトニーはほんと温かい人だなと思いました。周りがどうとかじゃなく、自分を持ってるからこういう優しい人間でいられるんだろうなと思いました。
非常に良かったです。心に残したい作品になりました。
話はそれますが、トニー役を演じたヴィゴモーテンセン
ロードオブザリングが好きだった自分からしたらそれ以来に見たのでそれだけで泣けてきそうでした。
アラゴルンはクールでかっこいいイメージしかなかったけど、トニーはそれとは全然違ってワイルドだけどちょいと子供っぽいところもあったり、手紙がうまく書けなかったりと、また違った良さが出てました。
これからも頑張ってほしいです。
泣ける
クリスマスになんとかトニーを自宅に返してあげようと、まさかの雇い主のドクターが睡魔でダウンしたトニーがクリスマスに帰宅するのは間に合わないがモーテルで泊まろうと言ったけど、ドクターはトニーに変わって運転をして自宅へ送り届けた。
トニーが目を覚ますと自宅前だった。
ドクターは一度自宅に戻ったが、
最後はドクターもトニーの家にやってきてみんなでクリスマスをワイワイ祝った。
トニーの奥さんがドクターとハグをし、手紙はあなたが書いたのねありがとう、とささやく。
奥さんは気付いていた。
トニーが、旅の前は黒人を差別していたのに、クリスマスパーティーの会話中に誰かがニガー はどうだった?とトニーに旅の感想を聞いた時にトニーが ニガーと言うな!と叱った。
それをみた奥さんは、明らかにトニーが変わった、と思ったのだろうなという表情をしグッときた。
最後とトニーの奥さんとドクターがハグするシーンも泣いたなあ
あー良かった。
中盤くらいから2人の変化がみられて見えない絆がうまれはじめてると感じた。
2019年 マイベスト!!な感動作でした
観たいみたいと思いつつようやく観た1本。
ピアノの演奏が素晴らしくて
人種差別を超えて、心が通い合っていく過程が
心に響きます。
奥様に手紙を描くシーンが
最後の奥様と対面場面での完結の展開に
思わずこちらも笑顔になってしまう
心にくい展開。
素晴らしかったです。
良いな〜
見たかったけど、仕事が忙しくて、劇場では見られなく、WOWOWで見ました。
良かった点は、他の人も書いてる通り。
あと、自分はラストに尽きる。
旅から何とかしてクリスマスイブに帰って来た2人。
トニーは家族、友達が居る温かい家庭へ、ドクは優雅だけど1人で寂しい部屋。
そして、ドクはトニーの家のクリスマスへ行く。
ドクを紹介したトニーの友人達は一瞬固まるけど、直ぐにドクを受け入れる。
トニーの奥さんに関しては、一瞬の迷いもなく彼に笑顔で接して、ハグまでする。
そして初対面なのにドクの笑顔。
ここを何回でも観たい!
観なきゃ損!
いい映画だった!この思いは誰かに伝えたい。そして、ぜひ観てほしいと薦めたい。正直、あまり期待せずに観だしたのだけど、一気に引き込まれて途中で止められなくなった。
時代は1960年代。まだ黒人差別が色濃く残る南部アメリカへ、黒人ピアニストのドン・シャーリーは演奏ツアーに赴く。随行するのは運転手兼用心棒のトニー・リップ。始めはギクシャクしている2人だったが、苦労を共にするうちに友情が芽生えてくる。
映画の音楽も素晴らしい。特に飛び入りで演奏したショパンは絶品。ちなみに私はジャズを好んで聴くけど、シャーリーのことは全く知らなかった。調べてみると本当に才人で、最近まで存命していたのにどうして埋もれてしまったのか謎。
車中でフライドチキンを食べるも面白い。ただ、フライドチキンのルーツは黒人奴隷の料理にあることを知っているとまた観方が変わってくるかも知れない。
一方で映画には批判もある。黒人差別を批判的に描いているように見せて、その実、常に白人に救われる黒人を描くことで二重に差別しているのではないかというもの。なるほど、そうした感性は研ぎ続ける必要があるなと反省。しかし映画で描かれるトニー自身、イタリア移民で、必ずしもアメリカ白人のメインストリームにはいない。移民で構成されるアメリカ社会の複雑さを感じる。
めちゃくちゃいい映画
説教臭くなく絶妙なバランスで
見た後は爽やかな気持ちよさが残る。
いい映画だなぁ。
余計な説明や演出がなくて良い。
テンポがいいし、笑いもある。
このご時世にこういうテーマだと重くなりがちで
メッセージ性が強くなる傾向にある。
それはそれで好きではあるけど、
この映画はそこを強調しすぎず、
「人間捨てたもんじゃないな」って思える。
ドクが初めてフライドチキン食べるシーン最高!
トニーの心根がいい。真っ直ぐな人間性に惹かれる。
グリーンブックってそういう意味なんだ。
ドクの放つ「黒人でも白人でもない」って言葉に凝縮されてるけど、当時のアメリカで黒人で裕福、インテリかつ最高峰のアーティストでゲイってなると、ものすごく孤独で生きづらかったんだろうな。
南部ツアーに出るときの彼には理解者もいないっぽかったし。
そんな状況に彼自身心を閉ざして見えたし。
良かったよホント、トニーと出会えて。
ラストも良かった。
トニーの奥さん、わかってたのね。
いい女だね!
いや〜映画って、本当にいいものですね。
水野さんなら、淀川さんならこの映画
どんなふうに紹介してくれるのかなー。
才能だけでは十分じゃないんだ。勇気が人の心を変える
映画「グリーンブック」(ピーター・ファレリー監督)から。
人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部が舞台なので、
作品の中に「黒人差別」についての表現が出てくる。
タイトルの「グリーンブック」そのものが、
「南部を旅する黒人が泊まれる宿が書いてる」本のこと。
黒人が「不愉快と縁のないバカンス」が出来る本ということらしい。
黒人ジャスピアニストを演奏会のゲストに招いた主催者でさえ、
演奏前の食事を、白人とは別にしておきながら、
「個人的な差別じゃない、土地のしきたりなんだ」と言い切る。
そんな時代に、風穴を開けた主人公の行動は、
私たちでは想像もできない痛みを伴いながらも、
少しずつ理解され、今日に至っていることを実感できた。
当時の黒人が、人種差別著しいアメリカ南部で、コンサートを開くことは、
誰もが、どうして?と首を捻るようなことだったに違いない。
その理由を、物語後半に私たちは知ることになる。
「ドクターがなぜこの旅に出たのかと尋ねたな?」と、
同行している楽器演奏者が、イタリア系白人運転手に告げる。
黒人の彼は、こう言ったようだ。
「才能だけでは十分じゃないんだ。勇気が人の心を変える」
どんなにピアノ演奏が上手くても、人の心は変えられない。
差別されることを知っていても、それに対して行動する勇気、
それこそが、人の心を動かすことになる、ということなのだろう。
パイオニアと呼ばれる人は、みんな同じフレーズを心に秘めているな。
良くも悪くもいい話
人種も生活水準も性格も違う二人が、心を通わせていくところまでは、心温まる素晴らしい話だと思った。キャストのお芝居も素晴らしく、とくにトニーの妻を演じたリンダ・カーデリーニの表情に心をつかまれた。
が、終盤。白人向けレストランでの演奏を断り、黒人の集まるバーで頼まれてシャーリーが演奏するシーン。黒人どうしでも、生活の違いでわだかまりが起こることもあったのに、ここはすんなり過ぎない?
そして、ラスト。トニーの家のクリスマス・パーティーで、シャーリーが歓迎を受けるシーン。バックにクリスマス・キャロルが流れ、判で押したようなアメリカの幸せなクリスマス像。それまで丁寧に描いてきた、アメリカの人種差別問題の根の深さに対し、「でもね、友情で乗り越えられるんだぜ!それが自由の国アメリカさ」と上からフタをされてしまったようで、なんだか釈然としなかった。
実話だと言われれば、そうなんだけど、、
旅は道連れ、世は “ 品格 ”
人種差別を暴力で解決しようとするのでなく
《品格》で持って世直しをしようとしたふたりの物語。
肌は白いが “ イタリア系 ” というだけで
差別を受けてきたトニー。
“ ニガー ” と罵られながらも毅然とした振る舞いで
音楽という文化的な武器で世を渡るシャーリー。
人種と階級層が渦巻くニューヨークのナイトクラブで
用心棒を続けてきてヒトの底辺を見てきたトニーは
腕力と、でまかせ(はったり)でしか
世渡りの術を知りませんでした。
劇中でトニーが言います。
「俺は黒人よりも黒人だ!」と…
一方、当のシャーリーは
幼い頃からピアノの才能を見出され今に至るので
虐げられている同胞の苦労を
真の意味で理解していなかったかもしれません。
また彼らを救う術も持ち合わせておらず
無力感にさいなまれ、
少し卑屈になっていたと思います。
実はシャーリーよかトニーの方が
人種差別という問題を
より肌身に感じていたのかもしれません。
が、トニーに卑屈さは微塵も感じませんでした。
旅の道中で音楽や文化、そして食べ物という
《共通の言語》をふたりが獲得していき
同じ目線、同じベクトルが重なったときが
本作『グリーンブック』が提示している
差別と偏見に対する考え方の
ひとつの答えなのでしょう。
決して卑屈な態度でいるのではなく
品格と笑顔で持ってしてヒトと接し
(あと多少のハッタリも必要かな?)
人類共通の文化的な言語を用いて
ヒトとヒトとが理解し、共感し合える。
そんな世界の、そんな人間に、わたしはなりたい…
個人でも社会でも外交にでも言えることですよね!
スピルバーグ氏のNetflix作品への一連の発言で
部門新設などの大改革にブレーキをかけたり
米アカデミー賞にて司会者の “ 差別発言 ” だったりして
本作『グリーンブック』が作品賞に輝くとは
なんとも皮肉なものですね…
2019/03/14 劇場にて鑑賞
もうひといき
当たり前にはびこる人種差別の描写はとても良かったが、無骨な白人がヒーローとしてインテリではあるが弱者でもある黒人を助けるイメージが強い。差別する側だけでなくされる側の心理にもう少し踏み込んで欲しかった。とくにドクターの「自分は社会の中の白人にも黒人にもなりきれない」という葛藤は見ものであり、掘り下げてほしい。また主人公以外の白人による差別については解決に至らなかったというか、踏み込まれなかったのも悲しい。
王道を行くロードムービーに捻りはない
顎高く孤高な主人公:ピアニスト・ドクは彼自身の全てを対比されるようなガサツな男と旅をしていく中で、
最後には「孤高な主人公の顔の表情までもが変わった!」という王道を行くロードムービーに捻りはない。
2人の登場人物のキャラクター性すら直球勝負なので、
予告編を観ただけで、映画の内容すべてが解ってしまいます。
そして、ロードムービーお約束の警察登場!
映画全体に影響を与えることなく、定番としてエピーソドに入れたはいいが
その後での扱い方が判らず、後半には対比させる為に、2回目の出来事までつくってしまう。。。
脚本家の苦悩は解るが、
もっとシンプルな構成にした方が良かっただろう。
映画のキーポイントになる筈のグリーンブックに関するネタはないが、編集でカットしてしまったのか?
レインボーネタも不要。
ピアニスト・ドクが差別の残る南部での演奏ツアーを行った理由は説明会話で解ったが、
突っ込んだエピソードが入らず残念。
アカデミー作品賞を受賞するも、シナリオの脆弱さは隠しきれない。
アカデミーショーは只「黒人映画」に賞を与えたかったのであろう。
帰り道、アメリカの縦(南北)横断を2日で走破するという凄さ!
2人で何を話したのだろうか? 表現したら野暮だな
KFCが出てくるが、僕達の知っているKFCではない
晩餐で鶏肉が出るが、手で食べるエピソードが入ると思ったが
編集でカットされちゃったのでしょう。
途中、ララランドの曲が一瞬かかるが、その意味は解らなかった。
ゴミ箱でパーキングメーターを隠すシーンで笑えばいいのだろうか?
アメリカ文化が判らない僕には、どこで笑ったらいいか判らない。差別問題を深く考えさせられる映画
だが、戦ってはいないし、抵抗はするが社会への問いかけや広がりは与えていない。
それでは、何をしにツアーに出かけたのか?
この映画を観たら、次に「最強のふたり」「ドライビング ミス デイジー」を観たらいいと思う。
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