グリーンブックのレビュー・感想・評価
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エロくそチキン主演男優賞に決定!
ビゴ・モーテンセンが素晴らし過ぎる。
始まってすぐに気づくトニー(モーテンセン)の嫁さんや二人の子供たちへの深い愛情、そしてこの家族を含むイタリア系移民たちの固い絆。何かいいですね。
時は1962年、南部ではまだ黒人が同じ人間として扱われず、白人によるリンチや殺人がまかり通っていた時代である。そしてJFケネディはまだ生きていた。
NYはカーネギーホールで暮らす黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)はトニーを運転手に雇いディープ・サウスに8週間の演奏旅行に出る。
この旅を続けるなかで二人は深いところで繋がっていく……いわゆる「いい話」なのだが、まったく嫌味がない。アカデミー賞作品賞も納得の感動作だ。
個人的には作品賞よりも脚本賞よりも助演男優賞よりもモーテンセンに主演男優賞をとって欲しかった。
暗い背景でも笑って見られるロードムービー
基本的には「フライドチキンを素手で食べることにすら抵抗がある、上品で意志の強い天才ピアニスト」と「粗野で無教養だが素直で、やたら大食らいのイタリア系ブロンクスっ子」の凸凹コンビによるロードムービー。人種差別に対する真面目な問題意識がある映画だが、コメディチックな二人の掛け合いと、クラシックと60年代の軽快なポップスの両方を活かした音楽のお陰で肩肘張らずに楽しめる。オチもバシッと決めてくれる。
アメリカ(特に南部)での人種差別というのは頭では知ったつもりでも肌感覚ではアメリカにいたわけでもないのでわからない。とはいえ最初は黒人を「黒ナス」呼ばわりしていたトニーと、トニーの粗野さに眉を顰めていたドクが打ち解けていく様は自分の良心にとって心強い。
暴力では何も解決しない
2回目も爆発的幸福感を味わう。
何度も見返したくなる一本となった。
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2019.3.9 TOHOシネマズ西新井にて1回目
最近歳のせいか涙腺が緩くなり
幸福感に浸ると自然と涙が溢れてくる。
この映画もその例に漏れず
ラストに向かうにつれて涙また涙。
ちぐはぐな男二人のロードムービー
珍道中の果てに二人はバディへ
その行程の可笑しさったら…。
ヴィゴとアリの息の合った掛け合いに
シンパシーも増幅していく。
インテリのピアノ奏者として
白人の知識階級にもてはやされ
しかし町中に戻れば
市井の黒人と同じ扱いを受け
黒人からは異端の目を向けられる。
孤高の天才の立ち位置のゆらぎに
計り知れない孤独の闇を感じる。
まるでその答えを出すように
暴力ではない手痛い一発を食らわし
お飾りの演奏家ではない
自分の心からの音楽を奏でる姿。
批判の声は聞いておこう。
でもおいらはこの二人が大好きだ。
笑いと涙に溢れたこんないい話は
差別云々の側面だけではない
必ず誰かを幸せにできる映画だ。
アメリカ映画伝統の味のフライドチキン
さすが作品賞
マハーシャラ・アリは素晴らしい
脚本が素晴らしい
デコボココンビのロードムービー
居心地の良い場所
暗い話ではありません! 見て暖かい気持ちになる、素敵な映画
タイトルの意味から、差別を描いた暗い話しかと少し躊躇しましたが、素敵な映画でした。見て良かった!
一方は、教養溢れる天才黒人ピアニスト
他方は、お金の為にそんな黒人にドライバー兼ボディガードとして雇われる立場になった、「粗野な」イタリア系白人
二人が60年代に黒人差別が色濃いディープサウスをコンサートツアーで巡る様子を描いた、一種のロードムービー
差別は描かれますが、それがいちばんのテーマではありません
いろんな状況のなかで対極的な二人が少しずつお互いを受け入れて少し変わっていく、そんな姿を描いた映画です
興味がある方には是非お勧めします!
===== ★以下、個々の話の結末は書かないのでネタバレではないつもりですが、幾つか大まかなプロット展開に触れるので、気にされる方はすみませんが、この先読まないでください★ =====
冒頭、NYの高級クラブで用心棒をしているトニー・リップ
上客が「これは母親から貰った大事な帽子だから命懸けで守れ」とチップを弾んでクロークで帽子を預けるのを見ると、トニーは、それを寄越せと言って係の女性から帽子を取り上げてしまう
いったい何をするつもりなのか??
いきなり話に引き込まれます
彼の世慣れた抜け目なさが印象的に描かれます
その後の、黒人の修理工が家に来たときの彼のさり気ない行動、そしてその後の奥さんのさり気ない行動で、彼と奥さんの黒人全般に対するそれぞれの態度が見られます。こういう人物描写が簡潔で上手いです
陽気で世慣れて現実的で大食いで、愛する妻と子供たちのために生活費を稼ぐ、地元のNYからおそらく外に出たこともないであろう根っからの庶民
もう一人の主人公、ドク・シャーリーは、ロシアの音楽院に黒人として初めて入学を許されたピアニスト。学位を複数持ち、複数のヨーロッパ言語に堪能
服装、立ち居振る舞い、話題や語彙、厳格な道徳観、いつも静かに思索に耽る姿など、凡ゆる面で品格と教養が滲み出てきます。そして孤独でもあります
無学無教養で貧しい黒人というステレオタイプとは対極にある黒人
そんな黒人にドライバーとして雇われる立場になる白人トニーとのデコボココンビ。白人といっても労働者が多い下層であるイタリア系というのもポイントです
公民権運動前夜の時代、旅が南に進むにつれ、いわゆるレッドネック(南部下層白人)や地元警察の差別に会ったりします。そういう地域・時代の有様はいろいろと描かれており、なるほど具体的にこんな扱いを受けたり制約があったりするんだなと、言い方は変ですが、勉強になりました
しかし一番のテーマは差別を描くことではなく、そんな状況のなかで、生い立ちやら境遇やら性格が全く異なる二人が、二ヶ月に及ぶクルマの長旅を通して、少しずつお互いに影響を与えていく、そんな様子を描くことです
先にトニーを「粗野な」と形容しましたが、そうでない彼の人間性がドクとの付き合いのなかで徐々に顕になります
道中、トニーはNYで待つ妻に手紙を書くシーンが何度か出てきますが、それが話のいいアクセントになっており、何度かクスリと笑いました
最後に立ち寄った地元の黒人バーのシーンはいいなあ
そしてトニーの奥さんが可愛くて素敵ですw!
音楽と演技に酔いしれる
アカデミー賞では同性愛や黒人差別といった米国が抱える課題を取り上げた作品が賞を受賞することが多く、作品の質でない部分で評価されていると感じることがあるが、この映画はそのような面を抜きにしても受賞するに相応しい映画作品であると感じた。文句無しのストーリーとは言い難いが、魅力ある登場人物と耳を離れないピアノの音色が作品に深みを与えており深く心に響く作品になっている。ムーンライトでアカデミー助演男優賞を受賞したマハシャーラ・ハリの演技が今作でも飛び抜けて素晴らしい。品格を感じさせながらも愛嬌もあるという人物を見事に演じ切った。再び劇場へ足を運びたくなる映画だった。
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