グリーンブックのレビュー・感想・評価
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永遠に繰り返されるテーマを陳腐化させずに描いているのはやはり凄い
皆様のレビューを拝見すると、この映画のことは殆ど言い尽くされており、レビューボタンをクリックしたものの書くことがあまり浮かばないので、鑑賞記録として、感じたことを少しばかり書いてみました。
❶愛が普遍的であるように差別もまた普遍的に存在する。
あらゆる人間関係において、差別する側とされる側の立ち位置が生まれ得る。
ナチスが出てくるような映画でもよく描かれますが、差別されている側から、スパイ役を買って出たり、賄賂などで差別する側に擦り寄り、いつの間にか同胞を差別している人がいる。本作の主人公は道徳的に清廉だが、自分のように闘わない多くの同胞への失望という形での違和感(差別とまでは言えないが)があったと思う。白人を雇うという行為は、自分は他の黒人とは違うというアピールに繋がり(実際にはそう思っていなくても)、それを受け止める他の黒人からは一種の差別に見えたはずだ。少なくとも車の冷却水を替えている時、沿道で農作業中の黒人たちからはそう見えていたのではないか。あの黒人は白人側の人だと。
❷差別されている同胞のために闘う人は、ほぼ例外なく初めは同胞からの蔑みの視線によりこの上ない孤独感に苛まれる。余計なことをするから却って懲らしめのために差別が助長される現象が起きるのだ、ありがた迷惑だと。しかも困ったことに最初にその闘いを始めた人の勇気を称賛するのは(大抵上から目線の揶揄的なものであるが)寧ろ差別してる側だったりすることが多い。これはイジメに置き換えれは容易に想像できる。
エマ・ストーンがキング夫人を演じた『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』でもそうだったような気がするし、これから公開される『ビリーブ』でもそのようなシーンが出てくるのではないか。
人間社会が人種や民族にとどまらず、永遠に解決できない差別(自分との差異化による優越感の獲得)という問題だからこそ、いつまででも繰り返し言い続けていかなければならないテーマなのだが、陳腐な印象を与えずに描ききったこの映画はやはり凄いのだと思います。
名シーンがいっぱい
アカデミー作品賞!
人種差別がテーマ?いやいや、それだけじゃない。だから凄い。
ビゴモーテンセンが四六時中何かを食いまくる映画です。というのは嘘です。凸凹コンビのロードムービー。ドッカンドッカン爆笑するわけじゃないですが、この世界って良いな、と思わず笑みがこぼれました。
あとこれ、クリスマスに観たかったなぁ。。。悔。
この映画は人種問題を扱っているのですが、正直なところ、僕はあまりそのテーマ性を強く感じませんでした。むしろ「万引き家族」に近いテーマ性があるような?気がしました。
1番好きなシーンは、旅の途中、クルマがエンコして農園の横に停車するシーン。ここだけ音響がピタッと止まる。農園の虫の音だけが聞こえる。開かれた視界の先では、黒人労働者が草刈りをしている。黒人労働者とエリート黒人ピアニストであるドクター・シャーリー、両者のコントラスト。
このシーンは凄かった。音楽もアクションも台詞もなく、たった数秒間だけのシーンにも関わらず。
この映画、中盤までは人種問題がテーマっぽいです。しかし終盤「ドクター・シャーリーが南部へのツアーを行った動機」が示され、「あー、そっちが本当のテーマだったのか?」という風に思ったんですよね。
劇中、トニーの家に集まるイタリア人達が超貧乏で、超頭悪そうで、黒人を完全に見下しているんだけど、とても楽しそうだし良い人達なんだよね。(まぁ多分、黒人に対する偏見を持っているだけで、根っからの黒人嫌いという訳ではないらしい。)
反対に、ドクター・シャーリーは、超金持ちで、超頭良くて、人に対する尊敬の念に溢れてるんだけど、すんげーつまんなそうにしてる。
ドクター・シャーリーに無いものは、コミュニティなんだよね。
これが「万引き家族っぽいなぁ」と思った理由です。
「万引き家族」は「コミュニティがない日本の社会構造マジやばいっすよ」という映画だとすると、「グリーンブック」は「たとえ地位・金・名誉があってもコミュニティに属していなければ無意味っすよ」という映画だと思いました。
Fantastic
エロくそチキン主演男優賞に決定!
ビゴ・モーテンセンが素晴らし過ぎる。
始まってすぐに気づくトニー(モーテンセン)の嫁さんや二人の子供たちへの深い愛情、そしてこの家族を含むイタリア系移民たちの固い絆。何かいいですね。
時は1962年、南部ではまだ黒人が同じ人間として扱われず、白人によるリンチや殺人がまかり通っていた時代である。そしてJFケネディはまだ生きていた。
NYはカーネギーホールで暮らす黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)はトニーを運転手に雇いディープ・サウスに8週間の演奏旅行に出る。
この旅を続けるなかで二人は深いところで繋がっていく……いわゆる「いい話」なのだが、まったく嫌味がない。アカデミー賞作品賞も納得の感動作だ。
個人的には作品賞よりも脚本賞よりも助演男優賞よりもモーテンセンに主演男優賞をとって欲しかった。
暗い背景でも笑って見られるロードムービー
基本的には「フライドチキンを素手で食べることにすら抵抗がある、上品で意志の強い天才ピアニスト」と「粗野で無教養だが素直で、やたら大食らいのイタリア系ブロンクスっ子」の凸凹コンビによるロードムービー。人種差別に対する真面目な問題意識がある映画だが、コメディチックな二人の掛け合いと、クラシックと60年代の軽快なポップスの両方を活かした音楽のお陰で肩肘張らずに楽しめる。オチもバシッと決めてくれる。
アメリカ(特に南部)での人種差別というのは頭では知ったつもりでも肌感覚ではアメリカにいたわけでもないのでわからない。とはいえ最初は黒人を「黒ナス」呼ばわりしていたトニーと、トニーの粗野さに眉を顰めていたドクが打ち解けていく様は自分の良心にとって心強い。
暴力では何も解決しない
2回目も爆発的幸福感を味わう。
何度も見返したくなる一本となった。
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2019.3.9 TOHOシネマズ西新井にて1回目
最近歳のせいか涙腺が緩くなり
幸福感に浸ると自然と涙が溢れてくる。
この映画もその例に漏れず
ラストに向かうにつれて涙また涙。
ちぐはぐな男二人のロードムービー
珍道中の果てに二人はバディへ
その行程の可笑しさったら…。
ヴィゴとアリの息の合った掛け合いに
シンパシーも増幅していく。
インテリのピアノ奏者として
白人の知識階級にもてはやされ
しかし町中に戻れば
市井の黒人と同じ扱いを受け
黒人からは異端の目を向けられる。
孤高の天才の立ち位置のゆらぎに
計り知れない孤独の闇を感じる。
まるでその答えを出すように
暴力ではない手痛い一発を食らわし
お飾りの演奏家ではない
自分の心からの音楽を奏でる姿。
批判の声は聞いておこう。
でもおいらはこの二人が大好きだ。
笑いと涙に溢れたこんないい話は
差別云々の側面だけではない
必ず誰かを幸せにできる映画だ。
アメリカ映画伝統の味のフライドチキン
さすが作品賞
マハーシャラ・アリは素晴らしい
脚本が素晴らしい
デコボココンビのロードムービー
居心地の良い場所
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