「素晴らしい人間ドラマだ。」グリーンブック 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい人間ドラマだ。
黒人ピアニスト、ドン・シャーリーと、彼の運転手兼ボディガードでイタリア系のフランク・「トニー・リップ」・ヴァレロンガが、1962年にディープサウスを演奏旅行した実話に基づくロードムービー。
黒人と非黒人でロードムービーというと、『ドライビング Miss デイジー』もある。ただし、あっちは老齢のユダヤ人未亡人で、本作はイタリア系の用心棒。
本作は、人種差別が根強い米国最南部が舞台だが、娯楽色の強い作品だ。さまざまな困難や屈辱を乗り越える黒人音楽家とイタリア系用心棒の友情を、ユーモアを交え、ハートウォーミングな演出で綴っている。
善意さにあふれたベタな映画で、安心して見ていられるし、よく練られた大人の寓話だ。数々の気の利いたやり取りを、ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリが軽妙に演じ切っている。何度でも見れる、素晴らしい人間ドラマだ。
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