長いお別れのレビュー・感想・評価
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身につまされる
超高齢化社会なんて、6文字で表せないぐらい、世の中は高齢者であふれている。
家族が最後まで認知症の高齢者を看ることに、社会はこれほど不寛容なのか?と思い知らされる。
上映後、期せずして監督のトークショーに参加することができた。
父が「はい!」と答える演技をした山崎努さんについて、監督は「子どものように」と形容してたけど、ちょっと違うと思った。
山崎さんの演技は素晴らしい。
認知症の高齢者をとても研究されていると感じた。
「はい!」の意味は、人それぞれ違うのではないか。主人公は教師だったから。
父もまったく同じテンションで「はい!」を繰り返したけれど、これが認知症の状態像なのだと。
最後の母の覚悟も素晴らしかった。
欲をいえば、こんなハッピー家族、夫婦、姉妹、いるかな?
現実は両親のどちらかが倒れる、亡くなると相続だの、愛憎劇になるのが現実じゃない?
毒も盛り込んでほしかったかも。
老いも、忘却も、全てが日常
高齢化社会と呼ばれる今日、高齢者の認知症患者数は460万人とも言われている。家族であっても介護は楽なことはないし、自分の家族の記憶が徐々に消えてくることは言葉では言い表せない悲しみがあることだろう。私の祖母も認知症を患い、10年以上も介護施設に入所したまま人生の幕を下ろしている。晩年は面会に行っても私が誰か分からないままだった。
しかし、この作品はそんな介護の辛さや悲しさをあまり表に見せない。むしろ、父親の認知症を機に家族の絆が深まっていく様を描いていく。「長いお別れ」というタイトルは実にピッタリだ。記憶が次第に失われていく中で、ポツリ、ポツリと父親の中での記憶が蘇るも、また消えていく。それは現在の父の記憶であったり、昔の父の記憶であったりと様々。特段、2度目のプロポーズシーンには笑いながらもホロリとさせられるし、時折見せる“父親”の顔も家族の励みとなっていく。その表情、その笑顔、山崎努の演技が実に見事だ。
もちろん、介護している側も疲労が蓄積する。辛いこと、大変なことが多いのが実際であるし、この作品のように明るく振る舞える家族はごく少数であろう。しかし、これは誰にでも起こり得る話だ。自分が介護する側になるかもしれないし、介護される側になるかもしれない。だからこそ、老いることも、記憶がなくなっていくことも、ごくごく日常的なことで、悲観する必要はないのだよと本作は言っているように思える。『ペコロスの母に会いに行く(13)』もそうだったが、そういった介護の中でつながる絆の存在を伝えていくことがこれからの社会には必要なのかもしれない。ただ、ラストをあの形で締めくくるのであれば、もっと孫の存在を大きく描いて欲しかった。
それぞれ
誰もが自分ごととして考えられるテーマ
カメラ視点の変化
認知症の親と介護する家族・子供を描いた作品ですが、このジャンルでは『花いちもんめ。』(1985年)という先達する佳作があります。「おじいちゃんが壊れていく、家族の戦争が始まる」という宣伝用キャッチフレースのように、呆けが進行する社会的地位のある父親と家族との間の壮絶に泥濘化するドラマでした。
高度経済成長ピークのバブル期に、未来に先駆けた警鐘のように描出されたこの社会問題は、「アルツハイマー病」という言葉にまだ新鮮な響きがあり、センセーショナルではあっても、当時はまだそれほど深刻には受け留められなかったように感じます。
30有余年を経て、この問題が広く遍く人口に膾炙するだけでなく、高齢化が加速し実際に身の回りに多く散見さるようになった今、却って直接正面から在るがままに描くのは、露出症的な嫌いとなり、あまりに身につまされるために映画としては憚られるのでしょう。
本作は、発症から最期を迎える7年間の本人と家族を描いたドラマですが、エッセイ風に淡々と事実を綴った叙事詩であり、いわば日記のような客観的記録といえます。
本人の可笑しな所作・言動の滑稽さや大仰さは抑えられ、家族が狼狽える様も限定的に留められています。寧ろ、この7年間の妻と二人の娘の、認知症の夫・父を抱えた制約のある生活日誌という構成であり、そこにはドラマティックな筋立ては殆どありません。
寄せのカットが殆ど無いことも、被写対象を突き放してクールな目で捉えている現れです。本人・妻・娘たちの、多分抱いたであろう苦悩、悲憤、瞋恚、憎悪、困窮、絶望等の剥き出しの感情の奥底の起伏を深くは掘り下げず、即ち情緒的には一切捉えず感情を抑えて決して善悪や正邪を判断しない、やや物足りない気もする訥々とした語り口でした。
このスタンスは、脚本の重心の推移にも顕著です。
前半は全体の関係性の説明のために第三者の客観的視線であり、中盤は家族の介護の中心となり本作の主役といえる蒼井優扮する次女の視点、そして後半は妻・娘二人の各々の視点で、夫・父と己との関係性とそれによる生活の波紋を描いています。ラストは、竹内結子演じる長女の息子という、家族の中で最も遠い縁者の目線で終えており、将に家族にとって静かで穏やかな終焉でした。
それにしても、殆ど台詞がなく、動作も少なく、表情に変化もないにも関らず、フレームに入るだけで画面全部をそのオーラが覆い尽くしてしまう、呆けた夫・父役の山崎努の圧倒的存在感は印象的であり、本作の基調となっていたと思います。
ファンタジー
事前情報を取得していなかったので、認知症を鍵とした
大いに身につまされて泣ける映画だと思いこみ
泣く準備万全で臨みました。
認知症の深刻さや悲惨さがえぐく描かれるかと思いきや、
それが前面に出てくることは全くありません。
逆に、とぼけた笑いがいっぱいです。
認知症になった昇平のとぼけた言動が、
とぼけた笑いを生み出します。
さらに天然ボケともいえる明るい妻の態度も、
それに輪をかけます。
終始とぼけた笑いの続く明るい映画でした。
なので、認知症の親の介護をした経験のある人や
現在介護中の人が観たら、ふざけていると
怒ってしまうかもしれません。
認知症の親を抱える天然系の家族の中にも
いろいろドラマがあります(娘とその息子の断絶や
次女の飲食店を持つ夢など)が、認知症メインではなく
それらのドラマに認知症がアクセントとなっている
感じです。
認知症の昇平が娘たちに力を与えるというお話し
となっていて、一種のファンタジーだと思われます。
認知症の症状も7年間の間にそんなんに劇的に悪化
するとこなく、終盤までとぼけた感じの認知症を
山崎努がうますぎるくらいの演技で演じています。
ちょっとうますぎて少し引いてしまいします。
妻役の松原智恵子の天然系の演技もうますぎてこれもまた
少し引いてしまいます。
そんな中
【ネタばれ注意報】
記憶を失った昇平がもう一度妻ににプロポーズするシーン
には唯一泣いてしまいしまた。
※蒼井優はこの時もう付き合っていたのか。
※「長いお別れ」の意味(元は英語)を初めて知りました。
なんだろこの違和感…
くりまるな、ゆーとすればいいんだ
かつて中学校の校長をしていた厳格な東昇平(山崎努)。
ふたりの娘は独立し、妻・曜子(松原智恵子)とふたり暮らし。
昇平の70歳の誕生日に、長女・麻里(竹内結子)、次女・芙美(蒼井優)は久々に実家に顔を出し、一家が揃った。
が、そこで母から父が認知症を発症している旨を告げられる・・・
といったところから始まる物語で、認知症を扱ったドラマも多く、ドキュメンタリーには佳作・秀作も何本もあり、いまさら・・・感もある。
期待するところは、前作『湯を沸かすほどの熱い愛』でみせた中野量太監督の熱い演出なのだが、前作程の熱さがない。
ベテラン山崎努、実力派・蒼井優の見ごたえある演技で飽きずに観れるが、妻や長女の人物造形が類型的すぎる。
冒頭と終盤に登場する遊園地のシーンなんかは、やはり監督の演出力を感じさせるが、アメリカ住まいの長女とその息子の話など、ノーリアリティといってもいいぐらい。
とはいえ、途中、昇平が芙美にアドバイスする「くりまるな、ゆーとすればいいんだ」なんて、印象的な台詞もあり、そう悪い点も付けたくないなぁとも思います。
ラストが疑問
素直に感動できる良い作品。
役者さんもナチュラルで、心地よかった。
ラストが残念。
あの終わりはもったいない。
孫が外国人の先生と会話するところ。
あんなシーンで終わりにしてしまうな!と思った。
で、君の不登校はお祖父さんのせいではないんだよね?→はい
何で不登校だったの?
わかる方教えて下さい。
山崎務さん松原智恵子さん
蒼井優と山崎努の場面が印象的
内容としては途中間延びがあって泣かせる感があったが、蒼井優と山崎努の役者としての存在が大きい。二人でのシーンのやり取りが一番自然体で良かった。
蒼井さんご結婚されて、幸せな顔のイメージが脳裏に染みついてたので、映画の役との落差に少し笑ってしまった。料理されてる姿と食事のシーンがいつも良くて、本当に素晴らしい女優さんです。山崎さんもいいな。
人生に行き詰まった時、受け皿になるのが家族
認知症というテーマを扱いながら、心がほのぼのと温かくなる映画だった
仕事を引退して、お母さんと二人暮らしのお父さんが、ある日、認知症になってしまう
これは、そのお父さんの介護をめぐる家族の物語だ
私は、両親の近くで暮らす独身の次女・茉美(蒼井優)の視点で、この映画を観た
きっと、私もいつか茉美のような立場になる時がやってくると思ったからだ
では、家族が認知症になってしまった時の介護には、どんなイメージがあるだろうか
きっと多くの人が、キツイ、臭い、危険という3Kを思い浮かべるのではと思う
私も、その覚悟をしなきゃいけないと、日々思い始めている
しかし、この映画は、そんな時でも悲観的にならず、時にはコミカルに、そして前向きに描かれていたので、その姿にとても救われた
基本は、お母さんがお父さんの世話をする老々介護
でも、お母さんが一人で解決できない時は、近くに暮らす娘がかけつけ、場合によっては、ロスに暮らす長女もかけつける
お母さんがダメなら次女が、次女も長女もダメならヘルパーさんや、デイケアを頼れば良い
場合によっては、施設を頼ることも選択肢の一つだ
もちろん、各家庭の経済事情もあるだろうが
大切なことは、全てを一人で背負い込もうとしないことだ
お母さん一人だけが頑張らない
大変な時は「大変だから助けて欲しい」と言うこと
そのために家族はいるのだ
その家族への視線がとても温かく、優しいところが良かった
人生、思い通りにいかないこともある
歳をとったら認知症になる
そうやって、人生に行き詰まった時、受け皿になるために家族はいるんだ
甘えたい時は、甘えても良い
その温かくて優しい思いに救われた映画だった
最後に「長いお別れ」の意味がわかって、すごくジーンとした
そうか
そう思えば、悲しくないかな
蒼井優が良い
鑑賞日が14日だからか、平日にもかかわらず、観客は意外に多く、そのほとんどが中高年だ。
家族が認知症になり、その介護に当たることなる可能性は誰にでもある。
今のうちに準備というか、それなりに覚悟しておかないといけないと思った。
2人の娘の家族や、仕事などを描きつつ、適度にユーモラスで、泣けるシーンもあり、重過ぎず軽過ぎず、とてもバランスの良い作品だ。
笑い声とすすり泣く声が、何度となく館内に響いたが、私は笑うことも涙することも無かった。
それでもメリーゴーランドのシーンでは、込み上げるものがあった。
役者さんたちは山崎努をはじめ、主要な4人の演技が素晴らしかったが、特に蒼井優が良い。
仕事も恋も、上手くいきそうで、なかなか上手くいかず、そんな中父親の世話に追われる次女を熱演していた。
先ごろ、プライベートでも結婚発表をしたが、末永く幸せになって欲しい。
くりまらないようにゆーっとすればよいお話
冒頭からしっかり掴まれてお話に引き込まれ、役者さんの演技も概ね自然体で違和感少なくとても安心して観られたのですが★4、中盤あたりから段々と退屈を覚え★2.5、後半はまるっと観終えてしまいました。
徐々に認知機能の衰えてゆくお父さんと7年に渡って付き合う家族の葛藤と人間模様を描いたお話なので、題材からしてそんな派手で愉快なものにはなり難いテーマですが、どこの家庭でも高齢者は大なり小なりこうなる可能性があるわけで、そんな忍耐力勝負な様をつい我が身にも当てはめて想像してしまい、こんななったら周りは大変だな〜 自分だって(世話する側としてではなく)この先どうなることやら〜 と観ててちょっとしんどい気分にもなりがちで考えさせられます。覚悟しとかなきゃね。で、覚悟しててもやっぱり大変だしね。人生最後の終活ってめんどくさ〜いわ😩
このお話はお母さん他周りの見守る人々の懐の深さもあり、ロングなのは辛くて大変でしたでしょうが、ソフトなランディングであったと言えるのではないでしょうか。
追記:八十後半になり物忘れが増えてきた我が父とそして彼を世話をする母も、今後こうならずに済めば良いのですが一応ケーススタディというか予習的な意味合いも込め、この作品を観ておいて貰いたいなぁと常々思いつつ機会を伺っていたところ、ちょっとした勘違いによる抵抗の齟齬も乗り越えてやっと念願が叶い皆で一緒に自宅鑑賞をすることができました🙏🏼
両親からは登場人物たちが前向きで、タイトルで警戒していたのと違い暗い悲惨な話などではなくなかなか良い映画だったという評価を貰いました🙆🏻♂️🙆🏻♀️
「認知症」とは長い時間を掛けお別れしていく事。私も劇場鑑賞時の印象は薄れつつでしたが、改めて深く感銘を受け直すシーンもあり見直したのと、こうやって家族皆で問題をシェアできる良作品への感謝の意味合いも込め+⭐︎0.5👍🏼
父が認知症になったことをきっかけに家族も変化していく、認知症がテー...
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