劇場公開日 2019年10月18日

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「「呪われた村」の呪いとは何か」楽園(2019) hhelibeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「呪われた村」の呪いとは何か

2020年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

打ちのめされた。

ファーストカット、田んぼと町と山の遠景カットを見て思ったのは「あ、うちの実家だ」だった。
Y字路、田んぼ道、ホームセンター、祭り…全部見覚えがある。
美しい木々、田園、川、青く広い空。
ここを鶴瓶が訪れれば、さぞや「のんびりしたあったかい村」に見えるだろう。
でもそこにあるのは、外からじゃ決して見えないどんづまりの人間関係。

事件が起こり、表沙汰になれば「呪われた村」みたいなキャッチコピーがつく。
でもその「呪い」を丁寧に見れば、誰かが誰かを攻撃し、その人が別の誰かを攻撃し、みんなが小さな加害者であり被害者である、という構図が見えてくる。
そしてみんな、自分を加害者だとは夢にも思っていない。
(それを一番分かりやすく体現していたのが柄本明だろう)

まあうちの田舎はさすがにここまでやばくはないな…とも思うけど、でも田舎に帰ると東京では考えられないようなやばいことが平然と起こってしまいそうなダークな空気はいつも感じる。
綾野剛が蕎麦屋で起こしたあの事件とか、今度帰省した時に地元のおばさんの世間話として聞かされてもおかしくない。

佐藤浩市はもちろん、綾野剛、杉咲花、柄本明、黒沢あすか、他みんな素晴らしい熱演だった。もうちょっと話題になってもいい映画だと思う。

しかし佐藤浩市が若者として扱われる限界集落のしんどさよ…あんまりだ…あといぬ…いぬ…!

hhelibe