劇場公開日 2019年10月18日

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「それぞれの楽園」楽園(2019) さくらんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0それぞれの楽園

2019年10月9日
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鑑賞方法:試写会

悲しい

難しい

澄み渡る青空の下、緑生い茂る田園風景
そこにただ雑然とあるY字路、まるで人生の岐路の選択を迫る様に、いつまでも変わらずにそこにある。その存在感は何かとても大きなものを感じる。
この作品は1度観ただけでは、ちょっと理解できないと思う。1つの事件がきっかけになって、いろいろなことが絡み合い、それぞれの人達に心の変化だったり、人間のいい部分と、悪い部分を両方見せつけられる。2つの接点のない原作が不思議なことに1つの作品に仕上がる。そこにあるテーマは同じで…
さすが瀬々監督の手腕は素晴らしいと思った。

村や集落、現代で言えば学校、会社なども同じで集団心理の恐ろしさもまじまじと感じた。
最初はウエルカムムード全開だったのに、ちょっとしたことで次の日から急に村八分だったり、弱者に全て罪をなすりつけて、追い詰めるといういじめと同じ構図。

そんな中で楽園とは?となる。私はこの作品で感じた『楽園』は、自分が生きやすい場所、居心地がいい場所なのかなと思う。楽園を見つけられた人、作れた人、なかった人、これから見つける人、この作品にも人生においても、同じなのではないかと思います。
豪士にとっての楽園は、愛華ちゃん、紡に出会ったことによって、自分が生きていること、存在を認めてもらえた、それこそが彼の『楽園』だったんではないでしょうか。

役者陣皆さん、迫真の演技で素晴らしかったのですが、なかでも綾野さん、佐藤さんの追い詰められ、絶望で張り裂けそうな状態で死を覚悟するという演技、言葉にならなかったです。
ぜひ、理解できるまで何回もご覧になって頂きたいです。

さくらん
さくらんさんのコメント
2019年10月23日

わんこさん、なるほどです。コメントありがとうございます。
私も原作読んでるんですけど、そんな豪士を犯人とは推してなかったと思ってました。
そうですね。Y字路のそれぞれにある限界集落。結局、どっちでも内容は違えどやってる事は同じ。
人間の悪い部分ですよね。それって…
ちょとした事で、話を膨らませて、事実でないことを作り上げる。それで、人を追い詰める。
なんか、すごいやっぱり深い話ですね。そんな芯の部分まで理解できてるって、ワンコさん凄いです。2回観てますけど、まだこんな理解力です…
ありがとうございました(^^)

さくらん
ワンコさんのコメント
2019年10月23日

僕達って、人をそうやって確認しないで、罪があるように言ったり、疎外したりしてるってことが、小説の言いたいことであり、この映画の伝えたいことだと思うんです。あと、善次郎のことで言えば、集落の上下関係が人を追い詰めて良いなんてことはないし。なんか、現実感もあって怖い話だと思ったんです。

ワンコ
ワンコさんのコメント
2019年10月23日

すみません。横に逸れました。それでも、豪士はやってるかやってないか、判断できませんよね。きっと、僕達が、親やおじいさんや、あの近所の人達と同様き、きっと豪士、やってたんだって思わせようとしたんだと思うんです。それで、あんた達も一緒じゃないって。これって、考えると、山村の限界集落の話じゃないって言おうとしてるんじゃないかって。考えすぎかもしれないけど、そう思うんです。

ワンコ
ワンコさんのコメント
2019年10月23日

質問があったの見過ごしてました。すみません。
あのシーン、意味深ですよね。
多分、豪士はやったのではないかと思わせようとしてるんだと思うんです。最後に、豪士が女の子のあとをついて行っているように見せてるのと同様。
僕達を試してるというか。
小説は、証拠もないのに豪士が追い詰められるだけなんです。
善次郎も、小説では、村八分でちょっと気が変になってる感じ。

ワンコ