「あの頃の自分と重ねてしまう切なさ」ラストレター カモシカヤマネさんの映画レビュー(感想・評価)
あの頃の自分と重ねてしまう切なさ
福山雅治が小説家、となればスマートでカッコいい姿を思い描くが、この物語の彼は初恋を引きずり、一冊しか本を書けず、ボロアパートに暮らしている、ちょっとしょぼくれたおじさん。こういう福山雅治は見たことがなかった。なかなか良い。というか、こんな彼をもっと見てみたくなった。
その寂しげな感じの理由が、明かされていくストーリーによって理解できていく。
彼の少年時代を演じる神木隆之介も、出番は少ないがコレまた繊細な演技で惹きつけられた。
実らなかった若い恋の想い出が心の奥でずっと眠っている自分には、この話が沁みてしょうがなかった。
『誰もが等しく尊く可能性に満ちていた青春時代が、大人になるにつれて個々に分かたれていく』
このテーマが胸に残る。
忘れられない恋を胸にしまったままで大人になったひとには、おすすめの作品です。
しばらく、昔を思い出してしまいそう…
ちなみにちょい悪オヤジ役の豊川悦司が大事なところでちょっと出るのだけど、ホントにクズで最低な男なのに、セリフまわしがカッコいい。脚本が良い。
豊川悦司じゃなかったらただの嫌なやつで終わってたかも。福山雅治が飲み込まれているように見えました。やっぱりすごい俳優ですね。
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