「美咲でなく未咲」ラストレター ゴーゴさんの映画レビュー(感想・評価)
美咲でなく未咲
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福山雅治さんが、陰のある人を演じると趣きがでますね。普段がエネルギッシュなだけに。集団左遷の片岡洋役は、熱量が多すぎてちょっとどうかなって、思ってしまいました。容疑者Xの献身の堤真一さんの役と福山雅治さんの役が入れ替わっても面白いのでは?とふと思いました。
それはそれとして、乙坂鏡史郎は誰の人生を生きているのか?大学時代の遠野未咲と付き合っていたときから先に進んでいないのは、あまりにも人として弱いです。未咲が阿藤と駆け落ちしたのも知らずに独身のまま想い続けても自己陶酔にしか見えず、阿藤のセリフの「お前は未咲の人生に何の影響も与えていない」は、豊川悦司さんの圧倒的な演技と相まって、乙坂のダメさを端的に示していると感じました。裕理の家を東京から尋ねる行動力があるのだったら、もっと早く動けと思います。
生徒会長でマドンナだった遠野未咲が、乙坂の反動で阿藤の男らしさを勘違いして駆け落ちし、美しく咲くことなく、未だ咲かずにそのまま落ちてしまったのは、阿藤だけの所為ではないのでは?と思いながら見ていました。
鮎美は、まだ子供なのでDVの阿藤に対する恨みがあり、温厚で優しい乙坂が素敵と考えるかも知れませんが、未咲の遺書は「鮎美の人生は無限の可能性があり、自分で考えて『積極的』に生きて行け」と言っているようにさえ思えました。乙坂は、一度しかない乙坂の人生をどう生きたいのか?フラストレーションが溜まってしまいました。
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