37セカンズのレビュー・感想・評価
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今年度の泣カデミー賞✨
これは、ロードムービー
もう、才能が溢れすぎて言葉がうまく見つからない。
脚本の構成がうますぎる。
ああ、そうだった。エンタメってこうだよねと再認識しました。
主人公は本人も主人公と似た境遇で生まれた女の子。
この子が「生きる」ということに、まっすぐに向き合う姿に、
私たちは何をしてあげられるだろう?から、
その気持ちが失礼なんだとすぐに思い知らされる。
彼女は、普通の女の子。
ただそれだけのことなのに、
こんなに豊かに表現できるものなんだと驚きました。
ただひとりの悪人(友人)は、観客全員が「地獄に落ちろ」と思っただろうけれど、
きっと彼女はまったく思っていないはず。
彼女の冒険を応援する優しいひとたち。
なんと私の狭量なことか…。
これはれっきとした彼女のロードムービー。
普通の23歳の女の子が抱く好奇心。
映像も音も良かった。
若干、編集に???と思った点を除けば、
はー、いい作品だった。と言える。
人は欲望を足がかりにして成長していく
1979年にNHKで、『車輪の一歩』というドラマがありました。山田太一の脚本。障害のある青年が、母親に「トルコへ行きたい」と頼むんです。トルコ風呂、今でいうソープランド。両親はお金を出して「行っといで」と送り出す。でも店は危険を理由に入れてくれなくて、家に帰って「あはは、よかったよ」って言いながら、泣きくずれる。
当時、高校生だった私には、その切なさが心にしみました。(健常者です、私は)
2005年『私は障害者向けのデリヘル嬢』が出版され、障がい者の性がオープンに語られること、それが商売の対象になっていることに驚きました。
そして、NHK教育放送の『バリバラ』では、障がい者の性が主要なテーマの一つになっているように思います。
遅々とした歩みではあるけれど、障がい者の欲望が、肯定的に取り上げられる世の中になってきていることは喜ばしいことです。
そして、この『37セカンズ』。初の長編作品とは思えない、HIKARI監督の力量に驚きました。女性の障がい者の性を切り口にしながらも、親からの自立、成長の物語として、つまり誰にも当てはまる私自身の問題の形で提示してくれました。
映像による説明は的確で、説明くささはみじんもありません。台詞とのバランスでしょうか。そして、画像の構図の面白さ、色調の美しさ。繊細な感性を感じます。
わき役の演技も秀逸でした。神野三鈴さん、渡辺真起子さん。舞台で活躍してきているんだろうと思わせる演技に、心動かされました。その演技を引き出すのはHIKARIさんの人柄なんでしょうか?いやいや、技と感じさせないさりげない技が、役者を生かすのかもしれません。
たまたま入った創作料理の新しい店が、思いもよらず最高だった。まだそれほど人知れた店ではないけれど、何度もリピートしたくなる。そんな存在がHIKARI監督になりました。
ホンマに観て良かったし、なるたけ多くの方に観て欲しい!
37秒
ユマの小鳥のような声
人生全て、自分次第。
一人の人間の苦悩と成長の物語
凄くフレッシュな感性を感じた。映像のポップさや瑞々しさも勿論の事ながら、生きたいように生きる事への肯定感、踏み出して世界を広げる事の重要性、多様性への寛容などの、考え方、センスが、とても現代らしく若々しい。
一方で、親の過保護、その干渉から抜け出したい欲求、思春期の逡巡や憧れ、劣等感、焦り…などの普遍的なテーマも、自然な形で表されている。
私としては、障害者の性という面よりは、一人前の人間として認められない苦悩と、人間的な成長に焦点を当てた物語と思えた。
『パリ、嘘つきな恋』でも描かれていたが、人として当たり前に、能力を認められたい、経済的に自立したい、外食も、旅行も、お洒落も、恋も、セックスだって、あれこれ経験して、人生目一杯楽しみたい!という欲求は、誰でも持っているものだし、素敵な生き方。それが、女だから、障害者だから、同性愛者だから、老人だからという理由で、出来るわけない、非常識だと否定されるのは、寂しく悲しい。誰もが幸せを求める事が許され、その為の少しの助けが自然に成される世界になればいいね。
現代は自己責任論が台頭し、他人の手を煩わせるのは悪い事だという意識が強い、障害者や老人、貧困層を切り捨てるような思想や事件の裏に、その考え方が見て取れる、という内容の記事を、先日読んだ。歓楽街や外国などのアウトサイドに居場所を見い出すのも、そういった許容力の在処を示しているのかもしれない。
人間として認められたくて、自立したくて、煩悶した彼女。自分の原点を辿り、向き合い、最後には、今の自分である事を受け入れて生きる決意をした。容姿、能力、経済力、健康。何を得て産まれるかは選べない。それでも、今持てる全てで、前を向き、手を伸ばしたからこそ、手に入る物もある。
罪悪感に俯く妹を抱きしめ、涙をこぼす母の手を握る彼女は、愛と慈しみを他者に与える事のできる、魅力ある人間に成長していた。
その顔つきの変化までも、体当たりで演じている佳山さんの姿か圧巻で、強く視線を惹き付けられる。
障害者ではない。普通の女の子です。
これこそ映画だなぁと
著名人のチンケ映画を上回る
知人に勧められ、仕事帰りの観賞で寝てしまうかなぁ~と思いきや。
ストーリーの展開と役者さん各々の【台詞が心に響く】素晴らしい作品でした。
こういうのが本来の日本映画であります。
【台詞が心に響く】から、自然と涙腺が緩み自分の気持ちとも対峙できる……。
貴重な時間となりました。
昨今の日本映画は名だたる役者が出ていても【役を生きてない】ため、やっつけ仕事かよ‼️と思ってしまいます。
日本映画は【観賞料金を捨てるようなもの】なので、ここ暫く観なくなりましたが、この作品だけは勧めてくれた知人に感謝です。
エンドロールが英語表記なのも斬新で良かったのと、スタッフが日本人だけじゃなく様々な国の方と作ってたと知り、いろんな意味で観賞料金を払ってまで観るに値する素晴らしい日本映画でした。
しかしながら、昨今の日本は年々つまらない国になってますね~。
ドラマや映画が本っ当に面白かった時代に戻ってほしいもんです。
馬鹿な政治家が蔓延り、国民の為と言いながら国民にアツレキを掛け、我が私腹のことしか考えない今の日本。
最低極まりない!
人生観を変えるほどの力を宿している
生きていく強さ弱さが交錯する。SNSの時流にうまくのるアニメ作家の女性の変化に順応するしたたかさは、ユマと対極的である。ユマは弱いかというとそうでもなく、屈辱に耐えたり苦悩とつきあっていく覚悟があったり、我慢強く辛抱強い。優しさと厳しさも交錯する。いろんな立場の人が登場し、それぞれの立場で優しさと厳しさをみせていく。キャスティングや衣装がよいのか、いかにもという顔・スタイルをしているのが、おかしいまでにしっくりくる。
なんとなく見てしまうとEテレでよく見る障がい者ドキュメンタリーのドラマチック版にすぎないが、観る側の感性次第では、この2時間足らずの一作品の観賞で以降の人生観を変えるほどの力を宿しているなと私は感じた。
観た後に知ったことだが、最初は交通事故で脊髄に損傷を負った女性を主人公に設定していたらしい。それがオーディションで実際に障がいをもつかたを得て脚本を書き直したそうだ。一言でいえば障がい者の自立を描いている本作は、主人公の障がいはなんだってよかったのである。だから肢体不自由から脳性マヒへと乗り換えできた。しかし乗り換えた先でドップリとハマった。タイトルが「37セカンズ」とまでになったほどに。どんな障がい者でもよかったテーマが、一転、このユマでないとダメな作品へと転身した。その転身で、付け加わったもの、そぎ落とされたものを想定しつつ理解を深めたい。
脳性マヒという障がいについて一点補足しておくと、原因が脳損傷であるゆえ知的障害を合併するケースもあるが「脳性マヒ」という病名自体は知的障がいを含まないということ。障がいはアナログなもので有無をデジタルに判定できるものではないし、障がい者の生活環境が健常者一般と乖離する性癖を備えさせる面もある。だから作品の設定としては脳性マヒであるが、ユマについては映画の中のあのとおりでよいと思う。
しかし場当たり的なモノづくりをしたと白状する監督さん、仕事としてマイナス面もあろうに、そこにこだわらなかったのもユマのちから。作品の完成度第一で突っ走る、それは作品が訴えている素直・正直・生真面目とシンクロする。
新反則映画。てっきりドキュメンタリーと思ってました。 主役の彼女が...
新反則映画。てっきりドキュメンタリーと思ってました。
主役の彼女がもう完全に女優。引き出した監督の手腕に拍手。彼女の自立の物語なのだが、私は別の目線で見てました。それは母親の視点。自分の子どもに対し、障害ゆえか、つい過保護に。でもそこには確かな愛があった。
今、息子が高校受験。親の期待を意識してか、結構無謀なチャレンジに臨みます。止めるのが正解か、いや後々恨まれても…結局何もできません。そんな現実からお母さんに感情移入してしまい、終盤は涙、涙でした。神野三鈴さんって女優さん、すごい実力者です。
主役が離れていったYouTuberの困惑が、ざまあみろ、で笑えました。
シアター1座席D-4、やや前過ぎた。観客10名弱。ゆっくり見られます、国際松竹。
ボ〜っと生きてんじゃねーよ!!(笑)
ノーマークの作品でしたがTBSラジオの番組
ライムスター宇多丸の
「アフターシックスジャンクション」で
リスナー推薦枠で紹介されることになったので
興味を持って観に行きました。
よく言われることだけど
障碍が有っても無くても
頭の中で考える事はみんな同じで
嫉妬や反発もすれば性欲だってある。
ただ、ちゃんと行動に移すか移せないか〜
そういう意味では言い訳ばかりして
何もしようとしない健常者よりも
この映画の主人公の方が
よっぽど前向きで
傷つくことを恐れない強さがあって
ボ〜っと生きてんじゃねーよ! と、
ブン殴られた様な気恥ずかしさを感じました。
私も第二の人生への出会い系頑張ってみようかな〜(笑)
何かを変えたくても一歩踏み出せない方!
ぜひご覧下さい!!
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
いや〜〜頑張ったよね〜〜主演の佳山明さん!!
この映画のためにオーデションで選ばれた
本当に障碍を持って生まれた女性!
この映画の主人公も私から見れば
とても大胆な冒険に走るのだけど
それを演じた彼女も大冒険だったでしょう。
お疲れ様です!!
そして、出て来る中堅女優さんがみんないい仕事してる!!
母親役の神野三鈴(かみのみすず)さん!!
障碍者専門の売春婦を演じた渡辺真起子さん!
出版社の編集長役の板谷由夏さん!!
この辺りの女優さんが出て来ると画面が安心!!
みんな素敵!!
障碍者のセックスと自立を扱った映画として
1913年に日本公開された「セッションズ」を思い出すけど
この映画はそれほどセックスに絞った話では無く
障碍の無い人が、
障碍の有る人を
どこまで手伝えば良いのか?
みたいな話だと思いました。
駅などで障碍者をよく見かけしますが
何かを手伝ってもらうたび、
「ありがとう」「すいません」を連発してる。
障碍がなければわざわざ言う必要のない言葉を
健常者の自己満足のために言わされてる様に
見える時もある。
障碍者をよく見て、本当にできないことだけ、
お手伝いすれば良いのでは?といつも思います。
@お勧めの鑑賞方法は?
この新人監督HIKARIさんを応援する意味で
劇場で観て下さい!!
瑞々しい
めっかっちゃった!
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