「女は強し…」ROMA ローマ shokotenさんの映画レビュー(感想・評価)
女は強し…
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1970年代の激動のメキシコ。
そこに住む中産階級の一家と
仕えるクレオの物語。
タイルとブラシで掃く音、流される水。
冒頭のシーンでモノクロの世界へ
引き込まれていきました。
一家の主人は女をつくり、4人の子供を
置いて出て行き、クレオの恋人は妊娠を
告げられるとデート中、彼女を置き去りに
姿を消すという始末。
奧さんは自暴自棄になりながらも、
必死に子供達のために踏ん張り、
クレオの妊娠もこんな時だから、
怒り狂うかと思いきや、
まるで家族の事のように受け入れる。
思わず心の中で、ブラボー!(笑)
クレオもただ仕えるという立場ではなく、
愛情を一家に注ぐ。荒れ狂う社会情勢と
重なるように一家にも荒波が打ち寄せる。
最後に一家は海辺へ旅行に出かけ、
奧さんは子供達に、パパは帰らない。
これからは冒険よ!と吹っ切れたように告げる。
冒険、なんてチャーミングな表現かと感嘆。
子供達の悲しみも不安もきっと半分に
なったのではないかと。
クレオは浜辺で、赤ちゃんを産みたくなかったと
家族に吐露し、皆で抱き合うシーンは涙が溢れました。ここで、一家とクレオはほんとうの意味で家族になったと確信をしたのです。…
血の繋がりがある本来の家族は容易に
家族を捨て去り、素性の何一つ知らない
家政婦のクレオが
家族の繋がりを超えた、絆で結ばれる。
万引き家族と同様、家族ってなんなんだ?と
深く問われたし、また人生どん底であっても、
太陽は登り、必ず明日が来る。
生きる、ということを教えられ、
もがきながら前を向こうと挑めるのは、
奥さんもクレオも心豊かな持ち主だったに
違いない。
家族=血の繋がり、という一辺倒な概念は
そろそろ捨てた方がいい、と思えた
感慨深い作品でした。
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