女王陛下のお気に入りのレビュー・感想・評価
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The Favourite Is My Favorite
ヨルゴス・ランティモス監督作品は、今回初。
ロブスターは、
ちゃんと観ておけば良かったと思っているので、
見直す予定。
この物語に出てくる、
セリフのある登場人物の大半が、
そこはかとなく狂っている。
でも、狂っているのが、当然ですが何か?
という感じなので、
この映画で描かれる世界全体が、
狂っているように見えてくる。
観ている自分は、狂った世界にいきなり飛び込んで、
置いていかれる。
その狂人らが見せつける、露悪的な描写は、
ある意味で人間本来の姿の一部を描くがごとく美しい。
思わず笑みがこぼれる位に、素晴らしく、
唾棄すべき言動ばかり♡
菓子を貪り食い、嘔吐し、
吐瀉物が髪についたまま、
また貪り食い続ける女王。
そして、
その女王へ取り入ろうと、様々な策略を巡らす、アビゲイル。
舌で女王を慰める下りは、どうかしている。
レディ・サラの強烈な攻撃性そして、支配力。
鳥撃ちが趣味で、女王すら支配している、
その姿も美しい。
復讐に乗り出すところも素敵だったなぁ。
奇抜な格好の野党党首や、アヒルを連れて散歩する与党党首も
どう見ても、ずれている。
〜〜〜
アビゲイルとレディ・サラが初めて、鳥撃ちをするシーンは、
衣装といい、印象的なシーンで、ハッとした。
アビゲイルはそれまでは、割とまともな世界の住人だったはずだが、
没落した地位を取り戻すために、
狂っている世界に飛び込む入り口のように思えた。
この映画の主演と言って良い、
三女優の演技はとにかく、素晴らしく。
久々に観ていてワクワクとした。
ただ、観る人を割と選ぶ映画なので、
番人受けはしないとは思う。
想定の範疇の想像外
予告編が良かったのか、ずっと気になってたので、空いた隙間にスルリ。
展開や流れは「ん~、そーだよねー」なのですが、端々の処理の仕方が絶妙というか、あり得るものをあり得ない見せ方にするのが上手いというのか。ともかく、目を離せない時間でした。展開もくどくなくサクサクしてるのも良かったのかな。
感想としては「ですよね。」でしたけれども、アリでした。
ウサギを踏まないで!
中世の史実に基づいた話なのに広角レンズで撮影してるので何だか普通じゃない雰囲気。
でもこの監督の他の作品よりはわかり易かった。
撮影はハットフィールド・ハウス。15世紀末に高位聖職者の邸宅として建造された建物だとか。これにセットや美術変更を加えて撮ったらしい。どれが作りものか分からんかった。泥舟風呂場作ったらしい。
その8まであったかな。
エマストーンが意外なシーンおっぱい出しててびっくり、それまでは出そうでも隠してたのに。
百合三角関係
だんだんヘロヘロになっていく女王様痛々しい。
六本木には撮影で使った衣装が展示。
思ったより質素というかゴージャス感薄い。映像ではきらびやかにみえたのに。
後味悪い
あまりにも後味が悪いから、
このシーンで終わらないで!と
思ったシーンで終わりました。
残ったのはアビゲイルですが、
野心家で人心掌握は長けているが、
サラほどの政治的手腕や実務能力を
持たない彼女には、到底アン女王を満足
させコントロールすることはできない
でしょう。
一方、仮にサラが残ったとしても
アビゲイルによってアン女王は自尊心を
少し取り戻しており、これまでのように
アン女王と均衡をうまく保ちつつ政治を
牛耳ることはできないでしょう。
3人で保っていたバランスが崩れ、
誰も勝者はいない状況で、
サラ戻ってきて!と願いましたが
エンドロールとなり、大変後味が
悪かったです。
かわいい顔して清々しい程野心家の
アビゲイルと、毒を盛られ馬に引き
摺られてもピンピンしてる豪傑な
サラと、繊細で欲深く愚鈍に見えて
切れ者でそれをすべて瞳で語ってくる
女王を見ているだけで、楽しく、
ラストまであっという間でした。
シニカルな笑いに気をとられるが実は深い
三人が織り成す心的な展開をシニカルな笑いを入れながら表現しているのは見事!三人の演技も素晴らしい!でも権力は人を幸せにしないことを痛切に教えてくれるラストの展開に本当のこの映画の素晴らしさがある!
英国は侮辱されている
スカッとした映画や感動する映画
日常的に考えさせられる映画。
そういう映画が観たいバカです。
小難しい英国王室のドロドロやいい加減な
政治。
日本の大奥に似ためちゃくちゃな政治判断
英国にあったなら衝撃的でした。
演者の演技力に文句はありません。
ラストシーンはよくわかりませんでしたが、
よくある自分で考えてみろよ的な感じがして
しかし英国をあそこまで侮辱して
下品過ぎるストーリーに監督の考えがわからない。
気持ち悪くなります。
女達の化かし合い。
歴史物と言う事もあり、ヨルゴス・ランティモス監督のシュールで難解なファンタジーの世界観は封印。
そこがちょっと物足りなくもあり… 見やすいと言えば見やすい。
その分、いつもの理不尽な人間関係が際立ち、三者三様の女達の化かし合いが面白く、3人の女優の役所がピッタリで楽しめました。
当時の宮廷の生活、装飾、衣装がリアルで美しく見事でした。
期待以上に面白かった
エマ・ストーン 嫌いじゃないけど、あまり興味もなかったので、観に行くつもりはなかった。それに、映画祭で受賞する映画は、面白いと思えない作品が多いから、あまり期待もしてなかった。でも、誰かが絶賛してるのを見て、面白そう…と思ったので、観に行ってみた。期待してなかった分、すごく面白かった。女王陛下と二人の女の人間ドラマなんだけど、いつの時代も、一緒なんだな…と。この作品では、女同士の話だけど、これって、男女の恋愛においても当てはまること。エマ・ストーン の策略、腹黒さは、見事だった。このしたたかさに、みんな騙されるんだよね…。そして、勝つんだよね…。この作品の中では、勝負に勝ったけど、虚しそうだったね。結局、女王陛下の心までは奪えなかったってことだよね。でも、こういう駆け引きの上手な人、羨ましいです。
この3女優のオスカーが楽しみ!!
18世紀のグレートブリテン王国にて頂点に君臨するアン王女(オリヴィア・コールマン)の下で女官長をしていたサラ(レイチェル・ワイズ)。女王のお気に入りだったサラだが、没落した元上流階級のアビゲイル(エマ・ストーン)が城のお手伝い係として採用され、、、。
FOXサーチライト(低予算主体)興行映画なのに、こんな豪華作品作るんですね。
話的にはこの3人による王女お気に入られ合戦なのだが、もう演技が見事でしかない!
王女役のオリヴィア・コールマン。少し老けた女王役なのだが、1974年生まれとは驚きだ!
17人の子供に先立たれ、代わりに17匹ウサギを飼っている孤独感たっぷりの女王を見事に演じ切った。
権威とおぞましさも見事に演じて、今回アカデミー賞主演女優賞にノミネート。期待出来る。
また、その脇を固める2人が凄い。
レイチェル・ワイズは純粋さは無いものの、常に忠実。気品はあるが自分をわきまえており、女王の良さも分かっており引き出しが上手い。
エマ・ストーンは一度落ちぶれた元上流階級の人間らしく、一般人としての知識、人からのなつかれ易さがあるものの、一族の血か?欲が徐々に出て来てしまう実情をうまく演じた。
この2人の美しさと醜さ、愛と憎しみは観るものを飽きさせない。この2人も助演女優賞にダブルノミネート。
オスカー半分ずつにして2人に分け与えてもいいくらいであった。
当時中世宮廷内の楽しみ方なども映画で堪能出来、パーフェクトでは無いものの、ワクワクさせてくれるものがあった。
マイナスはややBGMが単調な所と男性陣の腑抜けぶり。
観た後パンフレット久しぶりに買いました。
オスカーが楽しみです!
多分、映画としてのクオリティーはとても高い…。
多分、映画としてのクオリティーはとても高く、非常に計算された脚本と三者三様の素晴らしい演技が織り成す、絢爛豪華な宮廷絵巻とも言えるのでしょう。
後半の女王の決断は、二人の愛人の狭間で揺れた情事の結果でしかないとも見えるし、重税に苦しむ民を救い、無用な流血がこれ以上続くの止めた英断だったとも見えます。
ラストシーンも、エマ・ストーン演じる女中の策略により、国家の財政を使い込んでいた事にされてしまった様にも見えるレイチェル・ワイズだけれども、実際、最前線に居る夫の為に、どうせ承認が下りるハズと、前倒しして使い込んでいた事実があったのかも知れません。
ただ一つ確かに言えるのは、エマ・ストーン演じる女中が、己の欲望の為だけに人として遣ってはいけない行いによって、権力の中枢の座を手に入れたという事実です。厳しいけれども、自分を引き上げて呉れた恩人に対して、恩を仇で返したという事実です。
キャッチフレーズにある様に、宮廷に良心は不要という事なのかも知れませんし、現実社会も似た様な物なのかも知れません。けれども、だからこそ映画の中には夢を見たい、人を信じたいという思いがいつも強く有ります。
そう言った訳で、主人公に深く感情移入する事が出来ませんでした。育ちが悪い人間は、心根までひねくれてしまうといった偏見を助長する様にも思われます。
見終わった後に、酷く複雑で陰鬱な感情に見舞われました…。
虚ろで混沌とするラストに感動する
アカデミー賞の発表前に観るべき作品かと思い、ぎりぎり滑り込んだ。やはり作品賞ノミネート作は特別だ。
ヨルゴス・ランティモス監督と言えば「ロブスター」を見落とし、「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」は好きになれず、イメージとしてはマイナスのスタートだったが、いい意味で予想を裏切られた。
女王アンを演じたオリビア・コールマンが秀逸で、わがままだが脆く弱い裸の王様、ならぬ「裸の女王」を好演した。
アンの幼なじみで彼女の信頼と愛情を一身に受けてきたサラ(レイチェル・ワイズ)と、没落貴族の娘でどん底を味わったサラの従妹のアビゲイル(エマ・ストーン)の二人が女王の寵愛の争奪戦を展開するが……
バイセクシャルな女王と二人の女性との関係が下世話でいい感じ。
そして虚ろで混沌とするラストが素晴らしすぎる。女王アンが確固たる主役であった。
コールマンの主演女優賞もあると思います。
【2019,2.27 追記】祝アカデミー賞主演女優賞!
けだものの本性を隠すために着飾り、豪勢な宮殿に住む、国家を蝕む悪女たち。
さすがランティモス監督、「ロブスター」「聖なる鹿殺し」に連なる世界感。
政治倫理観を現代の尺度で測るのはフェアではないことは重々承知だけど、国民を露ほども顧みず、我が身の欲望のみに執着する姿を、ここまで見苦しいことなく描けるのは監督の手腕。むしろ、その傲慢さと権力への執着は潔いと思えるくらいだ。そう思えるのは、それぞれが自分の利己主義ぶりに気付きながらもそれを良しとしてふるまっているからだろう。だから、『私はいつだって自分の味方よ』と言い切るアビゲイルの視線が、かっこよく見えてしまう。エマ・ストーンもレイチェル・ワイズもいい顔してるんだよ、腹黒なのに。ラストの王女との嫌味合戦なんて、そこいらのセレブが足元にも及ばぬ火花が散る名シーンじゃないか!
うーん、切ない
冒頭の乗合馬車のいかがわしい雰囲気、女中のイジメ、女王様の痛風の原始的な治療、貴族の退廃的な遊び・・・ヨーロッパのドロドロした雰囲気全開で、グロ苦手な私は最後まで見られるか少し不安でしたが、結局お話の面白さにあっという間の2時間でした。
3人の女性の中で一番生身の人間臭く感情移入できたのはアン女王。女王と雖も17人もの子を失い今は持病に悩まされて自由に歩くことも好きなものを食べることもできない悲哀さに、何度も胸が締め付けられました。これなら多少の我儘は許してあげてーって気持ちで見てました。
サラとアビゲイルどっちって言われると、私は当然クールビューティのサラ派なんですが・・・一番印象に残ったのはサラの最後のセリフ。やっぱりこの人は聡明な女性だったわ。結局女の幸せを掴んだのもこの人なんだなあと感じつつ、幕。
寵愛を得る者
女性版大奥と聞いて観賞しました。
シスターフッドの関係を描いた作品は結構ありますが女性版のホモソーシャルものは中々珍しいと感じました。男性版はそれこそ沢山あるのに。
結局権力と感情が絡むと性別に関わらず泥沼になるよなぁと。滅茶苦茶床の事情が反映されている。
ラスト、アビゲイルが女王の唯一の寵愛を手にし地位も手に入れ勝利した様に映りますが、実際は女王の永遠に埋まらない空白を慰める為の道具になったに過ぎず。
幼い頃から寄り添い恐らく女王の本質を誰より理解していたであろうサラを結局は捨ててしまう 気まぐれで尊大で脆い女王様の気がいつまた変わるとも知れず、とても不穏な結末を迎えます。
結局このシステムから抜け出し穏やかそうな夫と共に暮らすサラが一番幸せだったのかも知れないです。(国外追放を受けていますが…)
女王宛の手紙をしたためるシーン好きだったな… 執着するのを止めさえされば酷く楽になれる筈なのにという…
女性のバトルが壮絶
この監督の作品は初めてだったけど最も好きな女優エマ・ストーンとかつて好きだった(久々見たな)レイチェル・ワイズがいい感じに女性のバトルを繰り広げる。そこにまあダメな女王を演じるオリビエ・コールマンの演技も絶妙に加わる。
ダンスを辞めさせるシーンで女王に顔面ドアップ長回しとかの演出は良かった!英国王室、女王とそれを取り巻く女達がテーマにもかかわらず、ふんだんに変態的な下ネタを散りばめているのも監督が鬼才と呼ばれる所以なのだろうか。
最後はなんじゃこの終わり方と思ったけど、ウサギと同じfavouriteの1つでしかないという理解で腹落ちしました。
魚眼レンズ
監督の過去作と比較して、残念だが興味が薄い内容である。英国版大奥といったプロットで、世界中で起こっている浅ましい人間模様を描くスタイル。
カメラの構図や、表題の通り特殊なレンズを使用しているところが変わった作りとして目を惹く。
ドライに突き放すような演出が監督の特徴なのだと過去の2作との比較で分る。
登場人物はwikiでも出ているので実際の人なのだろうが、あくまでも繰広げられている顛末はフィクションであろう。ただ、今作は自分にとってあまりのめり込めるような題材ではなかった。それぞれのエゴがぶつかり合うガチンコの中で、唯々、市井の人達がこの茶番の犠牲になっている事実を、今の時代も同じ構図として繰広げられている様は、本当に悪夢であり、無常観に苛まれるのみである。女性が観ればまた違った感想なのだろうか・・・
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