「【ディレクターズカットで変わったもの】」この世界の(さらにいくつもの)片隅に abuさんの映画レビュー(感想・評価)
【ディレクターズカットで変わったもの】
クラウドファンディングで成功した『この世界の片隅に』に、約40分を加えた物語だと思っていた。
しかし実際には、すずの人間味がより生々しく描かれ、前作ではぼやけていた物語の輪郭がくっきりと浮かび上がる。
だからこそ、玉音放送を聞いたすずが叫ぶ言葉が、すべて胸に突き刺さる。
戦争に負けた悔しさ、悲しさ、怒り——そのすべてが、声優・のんの演技を通してひしひしと伝わってくる。
同感・同意・共感——日本人だからこそ感じ取れる想いが、ほのぼのとした絵柄の奥から溢れ出す。
ハートフルなアニメタッチと、残酷さを突きつける音響とのギャップが強烈で、この作品を日本映画史に残る戦争映画へと押し上げた。まさに傑作。
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